フレンチトースト
拙作を読んでいただき、ブックマーク、評価、感想ありがとうございます。地味に続編「座敷童子が毎日小豆ご飯でもいいと言っています。」の需要があった事に驚いています。……わらしENDを1/3の読者が願っていたなんて。←エンディングわかってるのを読むなら脳内補完でもいい気がしますが、完結に向けて頑張ります。
いろんな技を習得した後、一輪車熱が冷めると思っていた『チームわらし』のメンバーは、本棚に56巻まで並んだママチャリで秋葉原まで通っていた少年が、ロードバイクと出会って自転車競技にのめり込んでいく漫画にド嵌りして、推しのロードバイクまで購入してしまった。
あんなに廃ゲーマーだった4人が健康的なスポーツに打ち込んでるんだから止めはしまい。
日焼け止めちゃんと塗るんだよ。私は、緑髪のロン毛クライマー推しだけど、坂道を自転車で登るなんて根性は無いから見学でよろしくね。
部活のマネージャーらしくストップウォッチを持ってゴールで待っていると、車体をぶつけたりかなり荒技を使っている。大阪の地下鉄線と同じ名前のヒールキャラみたいな姑息な手段まで取った接戦。成人体型の四人が押し合いへし合いペダルをこぐ様は、迫力があり過ぎて怖い。ほぼ一列に並んだ4人に順位をつけられるか不安になった私はスマホをもってゴールライン真横にスタンバった。
写真判定の結果、拮抗した勝負の勝者はチコちゃんだった。荒い息を吐きながら誇らしげなチコちゃん。スピードと妖力は関係なかったようです。
もう一勝負しようとする4人を制して、お昼ご飯にすることにした。だってこの4人止めないとエンドレスで勝負するんだもん。自転車置き場に自転車を止めた4人はさっさと洗面所に手を洗いに行った。
「のりちゃん、今日のお昼ごはんは何?」
「フレンチトーストだよ。」
「のりこちゃん、お手伝いする。」
「あたしも。」
「オレも。」
この出遅れ感が稲荷様らしくていい味出してるよね。
「今日はホットプレートでみんなにフレンチトーストを焼いてもらうよ。」
あらかじめバットに牛乳、卵、砂糖を混ぜた卵液にパンを浸してある。Myコテをそれぞれに持ってうずうずして貰おう。
「目玉焼きとベーコンもそれぞれで焼いてね。」
「「「「は~い。」」」」
お手伝い職人の4人は卵が上手に割れるくらい料理の腕が上がっていた。
1枚目はベーコンと目玉焼きにメープルシロップをかけて食べてもらう。
「のりちゃん、甘じょっぱいっっ。」
「甘いとしょっぱいはジャスティスだよね~。」
「のり子、おかわり。」
稲荷様、フレンチトースト飲み込んだのか!?フレンチトーストは飲み物じゃないよ。食べるの早過ぎる。
「食パンの他にフランスパンもあるよ。」
「フランスパンにする。」
「あたしもフランスパン焼きます。」
チコちゃんも早いな。
フランスパンと共に、他のソースやジャムもテーブルに並べ始めると、シュタッと椅子から降りたカハクちゃんがお運びを手伝ってくれた。
しめじと玉ねぎのバター醤油炒め、クリームチーズ、イチヂクジャム、ブルーベリーソース、ハーシーズのチョコレートソース、アイスを乗っけたかったらセルフで冷凍庫から出してね。
わらしさまと稲荷様は、通常運転でフードファイトを始めてしまったし、カハクちゃんはデコレーションケーキか!?くらいの作品を作り上げていた。チコちゃんはそんな3人を尻目に黙々とフレンチトーストを消化している。
それぞれの目論見が違うから当たり前なんだけど、パン足りるかなぁ?
◆◇◆
連日自転車競争をしているから、あんなになまっ白かったわらしさまも、こんがり焼けてしまった。大人サイズになると、自由奔放に愛を囁く国の人みたいになるから、最近はお手伝い以外はちびっこわらしさまになってもらってる。
リアルに萌えは必要ないぜよ。
萌えと言えば、お料理スキルを更に上達させたいと思った社長は、市で開催されるお料理教室で、意中の彼女ができたらしく、お弁当のおかず交換の時に、意中の彼女へのアドバイスを求められている。
結婚寸前で破局した私に相談する社長の気持ちが全くわからない。社長は、友達が少ないのかしら?
お昼が高カロリーだったから、夕飯はあっさりしようと思ったら、わらしさまに育ち盛りの子供には栄養が足りないと抗議された。
……わらしさま見た目子供だけど実際は子供じゃないよね?と言うツッコミはごっくんしておいた。
この肉食男子め。




