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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
第3章 たくさんの幸せを見つけるゾ
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桃モッツァレラ前編

拙作をお読みいただき、ブックマーク、評価、感想をありがとうございます。なるべく間隔があかないうちに更新したいと思っていますのでよろしくお願いします。

「かはくちゃん回り込んで。」

「わらし、オレ弾切れしそう。弾薬余分無い?」

「あたし持ってるよ。」

「わらしさまただいま~。みんな遊びに来てるの?」


 リビングに入ると、わらしさまがiPadを必死に操作していた。


「のりちゃんお帰り。ボイスチャットだよ。今戦ってるから最長30分かかるよ。」


 キャラクターの頭の上に数字が付いてる人が、どうやら仲間の様で、頭の上に何も付いていない人を4人で狩っていくゲームっぽい。

 前回の孤島に100人で生き残りをかけた戦いは、キャラクターが自衛隊みたいな装備をしていたのに、今回のゲームは下着しか着ていない。100%丸腰からの戦いの様だ。

 ボイスチャットをしながらプレイできるなら、それぞれ好きな場所でプレイしてても意思疎通が取れて便利なんだろう。

 最短でゲームオーバーにならない事を祈る。

 今晩はサケのムニエルと何にしよう。がさごそと、食材を漁っていたら、インターホンが鳴った。


「は~い。」


 応答ボタンを押してモニターを見ると小さな女の子が立っている。回覧板かな?背後からは、わらしさまの絶叫が。あ、うんやられちゃったのね。


「のり子さん今晩は。お願いがあってお邪魔しました。」


 初対面だと思われる女の子からのお願い。この子妖怪かな?


「わらしさま、この子知ってる?」


 ドスドスと音を立てながらモニターに近づくわらしさま、ゲームオーバーがよっぽど悔しかったようだ。


「あ、チコちゃんだ。」


 わらしさまのお友達らしい。


「今ドアを開けるね。」


 チコちゃんは、大事そうに桃を抱えていた。


「チコちゃん。急に反応しなくなったと思ったら、僕んちに向かってたんだね。お蔭で全滅しちゃったじゃないかっっ。」


 ぷんすか怒るわらしさま。そんなにヒートアップする程さっきのゲームにのめり込んでいるのか。


「立ち話もなんだから中に入ってもらおう。チコちゃんどうぞ。」

「お邪魔します。」


 ペコリと頭を下げてチコちゃんは家に上がった。

 リビングに戻ると稲荷様が仁王立ちになって待っていた。


「チコ!!勝手にのり子と会ってはダメだとあれ程口を酸っぱくしてオレが言ったのに何故いう事がきけないんだ。」


 わらしさまのぷんすかがかわいく感じるほど、稲荷様は烈火のごとく怒っている。


(あに)さまが、チコのお願いちっとも聞いてくれないからじゃないの。」


 びえぇ~んと泣き出してしまったチコちゃんと激怒している稲荷様をなだめすかして食卓に着かせた。


「稲荷様、説明してもらってもいいかな。」

「こいつは、妹弟子のチコ。仙狐(せんこ)になる為の修行をしているんだ。この前のり子に持たされたお宝煮を食べたら、オレの尻尾が2本になった。」

「いなり凄い。まだ500歳なのにもう尻尾が2本になったの?」


 稲荷様は、『まだ』500歳なんだとか尻尾って増えるんだとかちょっと突っ込みどころが満載です。


「のり子のご飯を食べて、わらしの妖力が上がったように、オレものり子のご飯を食べて霊力が上がったんだ。これは異例の速さだから隠しようがなかった。オレがのり子の都合を聞いてから連れてこようと思ていたのに、早く仙狐になりたいチコは、のり子に突撃訪問してしまった。出来の悪い妹弟子ですまない。」


 稲荷様が頭を下げるなんて明日はゲリラ豪雨だ。


「あたし、早く兄さまみたいに立派な仙狐になりたいんです。あと400年も待てない。この霊力たっぷりの桃をのり子さんにお料理してもらったら、1年でも早く仙狐になれるかもしれないと思ったんです。ボイスチャットでのり子さんの帰宅が分かったら居てもたってもいられなくて、アポなしでお邪魔してしまいました。申し訳ありません。」


 グスグスと鼻をすすりながらチコちゃんは謝った。


「チコちゃん、ご飯を作るのは構わないけど、材料がないとご飯も作れないから今度来る時は、前もって教えてね。」

「また来てもいいんですか?」

「もちろんだよ。」

「ありがとうございます。」

「のり子は優しすぎる。」

「そうだよ。のりちゃんはと~っても優しいんだ。」


サケの切り身2枚しかなかったようなぁ。今晩のおかず何にしよう。


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