BBQ
拙作をお読みいただき、ブックマーク、評価ありがとうございます。ポイントの桁が違うとはいえまさか流行りものじゃないのにランキング10位までに入るとは驚いております。回線がぶちぶち切れて、カスタマーに問い合わせたら、初期不良っぽく、今日は日曜日だから新しいルーターが届くのが火曜日か水曜日だそうで、次作が無事UPできるかはルターさんのご機嫌次第になりそうです。
バーベキューコンロに炭をセットして、着火剤に火をつけうちわであおぐ。この辺の地域は祭りがあると言えばバーベキュー。ちょっと人が集まってもバーベキュー。という具合に焼き魂が生まれた時から刷り込まれているかと思うくらい頻繁にバーベキューをする。なので一家に一台バーベキューコンロがあるといっても過言はない。
トングをカチカチさせてる3人は自分でお肉を焼きたくてうずうずしている。
「のりちゃんもう焼いていい?」
「もうちょっと炭火が安定するまで待ってね。」
カチカチカチカチ。人はなぜトングを持つとカチカチ鳴らしたがるんだろう。まだ陽が落ち切らない庭先でコンロの火を見つめながらトングを鳴らす3人は、アウトドアチェアに腰かけてお肉を焼くのを今か今かと待ち構えている。
「クーラーボックスの中に棒きゅうり入ってるから待ってる間にかじったら。」
カチカチさせながらわらわらと、クーラーボックスをのぞき込んできゅうりの浅漬けを各々取っている。串さしたくなるよね。
「冷たくてうまい。」
シャクシャクときゅうりににかじりついて冷たさにもだえてるのに片手はずっとカチカチしてるから笑えてきた。
「そろそろお肉焼いてもいいよ。」
僕が、オレが、私がと先を競い合ってお肉を焼く横で、お味噌を塗ったおにぎりも乗せた。お肉があらかた食べつくされた頃には空には白い月が登っていた。
デザートはスイカ。種の飛ばしっこしないとね。ベタな、夏の風物詩をやりつくすのだ。
私も大人げなく参戦する。
「のり子ずるいぞ。身長がある分遠くに飛ぶからしゃがめ。」
「そんなに変わらないと思うけどなぁ。」
「かはくちゃん種に妖力こめちゃだめだよ。」
「ばれたか。」
カハクちゃんも負けず嫌いを発動していた。
「のりちゃんこの種からスイカ生えるかなぁ?」
さっと手を挙げてスイカを生やそうとするカハクちゃんを慌てて止めた。庭の真ん中にスイカが生えたらバーベキューするのに手狭になってしまう。収穫の楽しみよりもお世話の方が大変そうだしねと付け足したら、
「引きこもりのわらしにお世話させればいいよ。」
カハクちゃん容赦ないな。
「わらしさまが育ててみたいならもうちょっと端っこに生やしてもいいよ。」
「うん。僕水やり頑張る。それでのりちゃんにすいかプレゼントする。かはくちゃん、この夏中に収穫できるくらいまで成長させて。」
「わかった。」
「収穫出来たらオレも食べてやる。」
3人はスイカをどこに植えるかで協議していたが、ここはプロにお任せするべきという案に落ち着きカハクちゃんが決めた場所でスイカの蔓を延ばしていった。
「引きこもりでヒモじゃぁ面目経たないからわらしものりこちゃんにプレゼント出来るものが作れてよかったね。」
「カハクちゃん、私ヒモ女じゃないよ。わらしさまのお陰で就職先も決まったし、お給料も前の会社よりいいんだよ。」
「そうだよ。僕お手伝いもしてるよ。」
「ゲーム三昧で美味しいご飯毎日食べられて妖力も高くなってるのに、のりこちゃんへの幸せ度が低くいと思うの。」
そんな不幸な女に見えるんだろうか。そりゃぁちょっと前までは、結婚が破談になって、会社は倒産と目も当てられない状態だったけど、今の私はかな~り幸せだと思うんだけど。
「そうだ。わらしはもっとのり子に幸せを運ぶべきだ。」
「カハクちゃん、稲荷様、私今十分幸せだよ。そろそろ花火やろっか。」
花火セットを見せて場の空気を換えた。
煙がもうもうと立ち込めてちょっと目にしみる。火薬の独特の匂いが庭中に蔓延している。ぐるぐる回すのも相手に火を向けるのも禁止ですよ。大きな花火にさっと手が伸びるわらしさまと稲荷様はやっぱり男の子だね。カハクちゃんは、イチゴの匂いのする花火を選んでいた。私の子供のころの花火セットと比べると花火も進化しているね。
ひとしきり花火を楽しんだ3人は円陣を組んでしめの線香花火競争に突入した。開始早々に火玉を落とした稲荷様が再戦を要求している。これは3回戦くらいやらないと気が済まなそう。
「やった~~~~。僕の線香花火が一番長く生き残った。」
「ヒモのくせにわらし生意気。」
「ヒモヒモってカハクちゃんうるさいっっ。僕ゆーちゅーばーになるっっ。それでのりちゃんを養うんだ。」
何故にユーチューバー!?




