餃子後編
予想に反して、稲荷様とカハクちゃんは2人連れ立ってAM10:00に我が家に来た。今は3人仲良く通信対戦をしている真っ最中。
私はせっせと素麺を茹でている。今年初めての素麺デビュー。夏の間に何回素麺が登場するかは、今年の暑さに比例すると思う。つるっとしたのどごしが、食欲不振も払しょくしてくれるもんね。
茹で上がった素麺を冷水にさらしている間に、レタスをちぎる。水気を切った素麺を麺つゆの入ったお皿に盛りつけて、レタス、ツナ、マヨネーズ、鰹節、刻みのりをトッピング。サラダ素麺の完成。
「おひるご飯できたよ~。お皿運んでね~。」
「「「は~い。」」」
ドタドタと台所まで走ってくる3人は今日の献立をワクワクとした顔でのぞき込んでる。
「今日は暑いからサラダ素麺だよ。」
「こっちの方が多そうだからこれオレのなっっ。」
そんなに量変わらないと思うけど。
「足りなかったらまた茹でるから、どのお皿でも同じだよ。麺つゆ入ってるからこぼさないようにゆっくり運んでね。」
「私お運び上手。」
「僕だって毎日のりちゃんのお手伝いしてるから上手だよ。油揚げしか食べてないいなりがこぼさず運べるか心配。」
「オレだってこんなことぐらい朝飯前だ」
もう。寄ると触ると、張り合いたがるんだから。
それでは手を合わせて
「「「「いただきます。」」」」
ズルズルと麺をすする音が響き渡る。
「のりちゃん、マヨネーズが麺つゆと混ざるとこんなに美味しいんだね。」
「マヨネーズは魔法の調味料だからね。」
「のりこちゃん、この前のブーケサンドも美味しかったけど、こんな野菜の食べ方もあるんだね。」
「カハクちゃん、おうどんでやっても美味しいよ。」
「ふ~ん。」
「のり子オレおかわりっっ。」
「稲荷様そんなに急いで食べなくてもご飯は逃げていかないよ。」
「僕も僕もおかわりするっ。」
「はいはい。カハクちゃんもおかわりする?」
「私はこれだけでいい。」
お昼ごはんだけで2袋の素麺が消費されました。そう約2名がフードファイトしたせいです。
食後の休憩をはさんで、カハクちゃんがお庭をチェックしてくれると名乗りを上げてくれた。カハクちゃんがお手入れしてくれた植物たちは不思議なくらい美しい景観を保ってくれている。いつもだったら絶対ぼうぼうに伸びてるはずなのに。逆に紫蘇、バジル、パセリコーナーは収穫できるくらいに茂っている。
「ん。みんないい感じになってる。のりこちゃん他に何か欲しい植物ある?」
「お庭でみんなでバーベキューや花火がしたいから、何か虫よけになる植物があったらうれしいな。」
「バーベキューと花火絶対来るっ。この辺とこの辺に虫よけ生やすっっ。」
「うん来てね。もちろん稲荷様も来てね。」
「来てやる。」
「僕もバーベキューのお手伝いするっっ。」
「わらしさまよろしくね。とりあえずは今晩の餃子に入れる紫蘇を収穫しよう。1人3枚ずつ収穫してきてね。」
「「「は~い。」」」
3人が収穫している間に私は、キャベツの千切りを量産することにした。キャベツに塩を振って水気を絞る。収穫してきたとドヤ顔の3人からそれぞれ紫蘇を受け取って紫蘇も千切りにする。ひき肉、ウェイパー、しょうが、塩コショウ、片栗粉、水気を絞ったキャベツと紫蘇を加えて混ぜるのを3人が背伸びして見学してた。
「さぁ、準備ができたからみんなで餃子を包むよ。」
全部私が包んでもいいけど、自分で包んだ餃子を食べる方がこの子たちはきっと喜ぶと思うんだ。まずはひだを寄せるオーソドックスなやつ、それから棒状、風車、帽子、金魚、薔薇とゆっくりお手本に包んでいく。瞳をキラキラさせてじっと見入る3人。
「こんな感じ。コツは具を多く入れ過ぎないことと、しっかり皮を押してくっつけることくらいかな。好きな形に包んでみて。」
「のりちゃん僕金魚作りたいからもう一回やって。」
「私は薔薇。」
「オレは風車。」
ビギナーにはハードルの高いお手本を見せてしまった事をちょっと後悔したけど、お腹に入ってしまえば大差あるまい。誰が一番上手に包めるかとか、誰が一番多く包めるかとか、もっとかっこいい包み方を編み出すとかギャーギャー言いながら3人は、もう1枚もう1枚と餃子の皮を手に取っている。
皮を包むところから餃子パーティーは既に始まっているのです。賑やかにいろんな形の餃子を包む休日の午後、絵にかいたような理想的な休日だ。次々と出来上がっていく作品を眺めながら、私は幸せな心地よい雰囲気に身をゆだねた。
本作品を読んでくださりありがとうございます。友人からおすすめされた作品が約400万文字ほどあって第3章まで読み進めたところ主人公大ピンチ。気になって気になってしょうがない病発症中の為しばらくROM専に戻ります。6/24までは予約投稿してありますのでそれまでに寝食を忘れ読了できるよう頑張りますのでよろしくお願いします。




