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座敷童が小豆ご飯に飽きたと言っています。  作者: ヴぃc
第1章 アラサー無職彼氏ナシから頑張るゾ
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プロローグ

 ある日、出勤したら会社が倒産していた。こういうのを青天の霹靂というのだろう。倒産のお知らせの張り紙を唖然として実は間違いじゃないかとまじまじと読み返したが、どう見ても本物で、なす(すべ)もなくボンヤリと立ち尽くした。

 28歳ともなれば多少の蓄えはあるが、何の資格も持っていない『しがないOL』がこの年齢から就職先を探せるのかいささか不安になる。


 はぁ~。何度目かのため息。庭先の白いアジサイをボンヤリと眺めて、この先どうしようか途方にくれる私。

 

 はぁ~。何度目かのため息。庭先の白いアジサイをボンヤリと眺めて、この先どうしようか途方にくれる私。

 実際に今出来る事って、ハローワークへ行って失業保険貰う手続きして給付期間内に就職先を見つける事。口に出せば簡単だけど雇う側からしたら、30手前で何の資格も持ってない私を雇うよりは今年入った新人を育てる方をとるよね。5月病でさっさか辞めてて求人かかってくれてたら嬉しいんだけどな。


 本当だったら年内に寿退社しているはずだったのに。


 5年ほど付き合っている彼が大阪へ転勤する事になった。それを機会にプロポーズされたので、結婚して大阪について行く事にした。

 しかし、彼のご両親にご挨拶に行ったらけんもほろろに追い返されてしまったのだ。高1の時に交通事故で両親に先立たれ、祖母に育ててもらった私は、おばぁちゃんに早く楽をさせたくて高校を卒業後、今の会社に就職した。どうやら大学を卒業してない私は彼のご両親のお眼鏡にはかなわなかったらしい。

 結婚を許してもらえるまで2人で頑張ろうと言っていたのに。


「ごめん。母さんともさんざん話し合ったけど、yahoo知恵袋を見てたらのり子を母からかばう自信が無くなった。のり子にはもっといい人が見つかるよ。その人とどうか幸せになってくれ。」


  そんなたった1本の電話で私達の5年間にピリオドが打たれた。

 (まさる)があんなにマザコンで無責任な人だとは思わなかったよ。こんな時おばぁちゃんがまだ生きてたら顔を真っ赤にして怒ってくれたかな?もっと良い人に出会えるよ。って私の頭を撫でながら慰めてくれたかな?

 祖母が他界して3年。勝と過ごしていた時はこの家に一人で住んでいてもさほど寂しさを感じなかったけど私、本当に天涯孤独の身になってしまったんだなぁと身に染みた出来事だった。

 これからの私の人生一体どうなるんだろう。考えれば考えるほど不安が募る。ふいに寂寥感に襲われてほろりと涙がこぼれた。

 


 散々泣いて暫く悲劇のヒロインを味わった後、ぐいっと涙を拭いた私は、悶々と悩んでいても何も解決はしないからと、気分転換に散歩に出かけた。

 この後一生を左右される出会いがあるとも知らず、気分転換♪気分転換♪と変な調子をつけて無理にテンションを上げてぶらぶらと近所を散歩した。


  無職アラサー彼氏ナシ渡辺 のり子今日も何とか生きています。

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