納豆と鯖缶の巾着後編
帰宅ったらボリショイサーカスのチケットが当選していたので当選祝いに予約投稿分を実時間投稿にしました。こんな山も谷もない文章を読んでくださりありがとうございます。
食卓テーブルに着いた二人は、焼けた油揚げを不思議そうに見てる。
「のりちゃん、これ何が入ってるの?」
「ふっふっふ。食べてからのお楽しみだよ。」
「オレ焼いた油揚げ初めて。」
ええ!?い稲荷様は毎食油揚げなのに焼いたの初めてって一体どんな食べ方していたんだろう?怖くて聞けない。
「「「いただきます。」」」
稲荷様はポケットからスマホを出して写真を撮り始めた。なんだか笑える。わらしさまの飯テロは稲荷様限定だったらしく、撮影せず1つ目の油揚げにかぶりついていた。サクサクする触感を目を白黒しながら食べてる様がほほえましいね。
リメイクした昨日の残りの味噌汁も美味しい。目玉焼き私はしょゆ派なんだけど、わらしさまはソースで稲荷様は塩だった。休日のお昼ごはん(無職だけど)はこれくらいゆるっとでいいよね。
「のりちゃん。これ納豆とお魚?」
「そうだよ鯖の缶詰。」
「外はサクサクで、中はふわっとろで、甘じょっぱくて美味しい。のりちゃんちに来てから小豆以外の豆が出てきて嬉しい。」
あ、また切なくなるやつだよ。
「小豆もあんこなら味が違って感じると思うよ。」
「あんこ食べてみたい。」
「今度作るね。」
缶詰のあんこだがな。わらしさまとのやり取りに無言を貫き通す稲荷様は、5つ目の鯖納豆巾着を食べてる。大食漢なのか気に入ったからなのか初見では判断がつかない。夕飯多めに作った方がよさそうだね。
食べ終わった2人はまたイベントへ戻っていった。イベントは14時までだそうでラストスパートをかけてアイテムをGETするらしい。おやつ何にしよう。
夕飯を大量に作るとなると時間がかかるから今から取り掛かることにした。余ったら明日のお弁当にすればいいもんね。三角になるように斜めに半分に切った油揚げを熱湯で湯戻しして、箸でごーりごーりする。水気を切ったら、水、砂糖、しょうゆ、みりん、だしの素を沸騰させたなべに入れて、落し蓋をして15分くらい煮る。火を切ってそのまま放置。冷めるときに味はしみるからずっと火にかけておかなくてもいい。ひじき煮と、切り干し大根の煮つけをつくる。いつもは両方に油揚げ入れるけど今日はひじき煮には入れない。お米は5合でたりるかな?昆布を入れて17時には炊けるようにセットした。
洗濯物を取り込んだらおやつをつくろう。
洗濯物をたたんで台所に戻ってきたら、わらしさまと稲荷様も付いてきた。
「のりちゃん今日ずーっと台所にいる気がする。」
「そんなことないよ。今からおやつ作ろうと思ったんだけど要らない?」
「「いるっ」」
元気いっぱいのお返事だね。作るって言っても器に入れるだけなんだよ。
「僕、のりちゃんのお手伝いしたい。」
片手をあげたわらしさまが言った。私の勝手な思い込みで、わらしさまはお供えされた食べ物しか食べれないと思っていた。心の中の疑問を口に出さないで自己完結するのは悪い癖ってわかってるのになかなか治らない。こうやってわらしさまが飛び込んできてくれるうちにこの悪癖も治るといいな。
「じゃぁ3人で作ろ。」
にっこり笑って材料を食卓テーブルに並べた。取り出したるは丈の長いガラスのコップ。材料はフルーツグラノーラ、DOLEのフルーツボトル、バニラアイス、ハーシーズのチョコレートシロップ。これを順番にコップに入れるだけの簡単パフェ。
「好きな量を入れていってね。」
二人は真剣な顔で自分のコップに材料を入れていった。きっとコップからあふれるだろうけど、それも醍醐味。思い切って入れてくれたまえ。
出来上がったパフェを撮影する稲荷様。油揚げ以外の食材なのにうpするつもりなんだろうか?いけないいけない。また自己完結するところだった。
「稲荷様は、油揚げ以外の写真をタイムラインにあげても大丈夫なの?」
「参拝客が見るわけじゃないからいい。」
なるほど。イメージ戦略の一環だったのね。夕飯油揚げまみれにしちゃったけど、どうやら普通のおうちご飯でよかったみたい。次回遊びに来たときは油揚げ以外の献立にしよう。そうしよう。




