おっさん”あなたも小説家になれる図書館”にはまりこむ
さて、俺はすっかり”あなたも小説家になれる図書館”にはまり込んでしまった。
よくあるソーシャルゲームやMMOのように常にゲームに張り付いている人間が有利になるというようなこともクランやギルドに入らないといけないということも、レイド討伐のために特定の時間にログインして他のメンバーと打ち合わせなどをしないといけないということもない、実に自由な時間にログインして適当なところでログアウトしても一向に構わないゆるい雰囲気はいいよな。
現実じゃないゲームで討伐数ノルマとかがあると結構きついものがあるのだ、ゲームの中で位はゆっくりしたいとマイペースな俺は思うんだがな。
そして参加した以上はランキングに入ることを目指したくなってトップランカーに入るためには常にログインしてゲームに張り付いていないといけない上に、多額の課金が必要とかでもないのは本当によい。
まあ、いまの俺にはゲームの中のランキングはまったく関係ないけど。
「そういや昔アイドル育成のソシャゲのSSRカードを手に入れるときに
うん万円つぎ込んだことも有ったっけなぁ……」
はまり込んでる時はどうしてもそのキャラのカードが欲しくてついついゲームに課金したりしてしまうが、ゲームに飽きた後で考えるとカード一枚に何万もの金をつぎ込むくらいなら、一人焼肉でも食ったほうがまだ良かったような気もする。
まあ、どっちも金を消費したらなくなっちまうものではあるし、焼肉の場合腹の周りに贅肉が貯まるだけかもしれないが。
もっとも形として残るもののほうが引っ越しのときに困ることもあるけど。
たとえば等身大抱きまくら何かを捨てようとすると燃えるゴミに入り切らないから粗大ゴミになるわけだが、粗大ごみは役所に電話して名前を書いたごみ処理券を張っておかないといけない。
ゴミ置き場に自分の名前を張った等身大抱きまくらをおいたりするのは結構な羞恥プレイだったりする。
いや、周りは別に気にしないかもしれないけど。
それを考えるとこのサイトはいい、なにせ50万もの作品がありそれは全て無料で読めるのだ。
しかも、最初だけ無料で続きを読むには課金をしないと読めない本があるわけでも無いんだからな、これはすごく有り難いことだ。
電子書籍、特に漫画なんかは最初だけ無料というケースが多いからな。
「それになんだかんだで面白い作品も多いし
目当ての本が貸出中で読めないことも無いしな」
たとえば公立図書館は無料で本を借りることができるが、すでに他の誰かが借りていて目当ての本がない場合もあるし、図書館までの距離が結構あって返しに行くのにタイミングが合わないというようなことも結構有ったりする。
ついでに言えば図書館の本というのは娯楽的なものは圧倒的に少ない。
日本国内で出版されたすべての出版物を収集・保存する日本唯一の法定納本図書館である国立国会図書館などにはあるんだろうがそこまで借りに行く気にはならないよな。
それにウエブ上の小説や電子書籍は微妙に細切れで読みづらかったりするものだが、VR技術で仮想とは言え書籍になっているお陰で紙の本になれている俺にも読みやすいのがいい。
書籍の文字の大きさなども調整つできるし何より本自体の重さがないから手も疲れづらい。
いや、なんとなく癖で仮想の書籍を手に持って読むようにしてるが、別にそうしないといけないわけではないんだけどな。
「まあ、せっかく続きを期待していたのに
突然更新されなくなる作品や更新されないまま
投げ出された作品も多いのはちょっと困りものだけど」
基本的には市販の書籍というのはある程度物語がまとまった状態で1冊ずつ刊行される……はずだ。
まあ、明らかに続きものなのに続きが出ない本も結構あるけどな。
しかし、このゲームの中だと話が序盤で止まってしまったりすることも少なくない。
「もったいないよなぁ、面白いのに。
まあ、書き手も無料でやってるんだからしょうがないけど」
このゲームの面白いところは戦闘も育成もスキルも能力も無いのにランキングはあることだ。
通常のゲームランキングだと敵を倒した数などで決まるが、このゲームではちょっと変わった方法でランキングが決まる。
それはサイト内の登録者がブックマークやポイント評価をつけることによって作品のポイントが入っていくという仕組みなことだ。
なので”あなたも小説家になれる図書館”に登録しているとは言え、その中で実際に小説を書いている人数は100万人中の1割の10万とか一分の1万人くらい、実はもっと少なくて位かもしれない。
まあ、ソシャゲでもアクティブユーザーなんてそんなにたくさんいる訳でもないからここなんかはむしろ賑わってる方だとは思うけどな。
そして俺のような小説を書くわけではない人間は読み専と呼ばれているな。
実際読み手が作品を選ぶ基準としてこのポイントというのは結構大事だとおもう。
多くの人がブックマークしたり評価している作品はやっぱり面白いものが多いしな。
こうして、俺は空いた時間には”あなたも小説家になれる図書館”にログインして新着作品などを読み漁ってしまうほどはまり込んでしまったのだ。