なんだか照れちゃいますね
ルナティックハウスをはなれ、舞台は東京へ!
如月は明王と満喫する一方、魁皇は天衣と慣れない二人きりに!!
東京旅行 in魁皇&天衣バージョン!
如月視点ではないので、ご注意ください!
「えーっと、今がここだから…………あ、やっとつきました!道案内ありがとうございます、尾上さん」
「別に。たいしたことしてねぇし」
そう言いながら、見えない角度でため息をつく。
尾上魁皇は現在、今までにないくらいの危機に直面している。
隣にいるのは同じバイトで働く仲間でもあり、ひそかに思いを寄せている桜庭天衣だ。
如月同様、彼も強引に天衣と二人きりで行くことになってしまったのだ。
「俺でよかったのか」
「はい?」
「渋谷に行くのだよ。こういうのは鈴木と行けばいい話だし、俺にも輝流がいるっつうのに……」
魁皇が不満のような愚痴を言うと、彼女は苦笑いを浮かべた。
「美宇ちゃんはいつもああですから。私は男性の意見ももらいたいですし、尾上さんならすごく頼もしいです」
「頼もしい、か」
ぽつりとつぶやきながら、ふと空を見上げる。
満点の青空を見つめながら、天衣に仕方なくついていったのだった。
そこからの天衣は、とてもかわいらしかった。
純粋に洋服を見て自分にあてる。
まるで、デートに行く前に服を選んでいる恋する女の子みたいで……
そんな天衣を椅子に座りながら、魁皇は見ていた。
どうも落ち着かなくて、ついきょろきょろしてしまう。
「尾上さん、これ、どっちがいいと思います?」
「んなの鈴木と水瀬に聞けよ」
「送ったんですが、如月さんは既読がつかなくて。美宇ちゃんからは尾上さんに聞いた方が早いって」
あの野郎と思いながら、重い腰を上げる。
洋服を交互に見たあとに天衣をちらりと見ると、小さくため息をついた。
「どっちも買えばいいじゃないか。俺的には二着ともいいと思うけど」
「そう、ですか? 私こういう派手な色着たことなくて……」
「デザイン気に入ったなら、それでいいんじゃねぇの?」
「似合いますかね、私」
自信なさげに顔を俯かせる。
自分に自信がない彼女にとって、派手な黄色をしたワンピースを着るのはさすがに気が引けたのだ。
もう少し他のを見ようかなと考えていた、その時だった。
「似合うよ、お前なら」
ふいに聞こえた魁皇の言葉に、びっくりして顔を上げる。
彼女の顔を見て自分が何を言ったの彼に帰った魁皇は、訂正するように慌てて言った。
「いや、その。お前見た目いいから、何でも似合いそうってあいつらが言ってたというか……」
魁皇はもう、何がなんだか分からなくなっていた。
赤くなる頬を隠すように、そっぽを向く。
天衣は天衣で戸惑う半面、うれしさがにじみ出ていた。
この嬉しさが何なのか、彼女には分からない。
心なしか、彼女の胸の脈拍が上がり……
「フフフフフ、なんだか照れちゃいますね」
そういった天衣の照れた笑いは、ものすごくかわいかった。
「ありがとうございます。じゃあ思い切って二着買っちゃいますね」
そういってとたとたとレジへ行ってしまう。
くそ、反則だろ。今の顔は。俺を殺す気かよ……
内心そう思いながら、はあっと深いため息をついた。
「お待たせしました~……っとっと!」
魁皇のところに来る直前、彼女は石につまずいてしまう。
前のめりに倒れる彼女を、ふわりと抱き留めるものがいた。
気が付くと天衣は、魁皇に支えられていた。
「大丈夫か」
「は、はい……すみません……」
「ったく、世話かかるやつだな」
ふっと浮かべたその笑みに、天衣の心が揺れる。
彼女の中で少しずつ何かが動き出しつつあった……
(つづく!)
この二人、ほんとじらしてきますよね。
天衣ちゃんにかなわない魁皇の図が、
私はにやにやが止まりません。
さて、この二人が進展することがあるのかないのか・・・・
実は昨日、なんやかんや
一年くらい放置しかけてた作品が完成しました
完成すると、達成感が半端ないですね
自己満足のように聞こえちゃいますが
いつか機会があればみれるかもしれませんよ? なんて
次回! 美宇ちゃんのたくらみの全貌が明らかに?




