行きたいです!!
明王の友人と出会い、とうとうはじまる東京旅行!
「荷物はホテルに置いとくから。今日一日、東京を満喫してくるといいよ」
「皆さんにとって、素敵な一日になるといいですねっ」
二人はそう言って、私達と別れた。
なんか、すごい人達だったなあ。
あんな人が、神宮さんの友達なんて。
玲音さんはまあ分かるけど、よく悠翔さんみたいな人と仲良くできたな。
ああ、タイムスリップして学生時代が見てみたい!
「んじゃ、今から東京を回るわけだが……どこに行きたいとかあるのか?」
「はい! 池袋に行きたいです!」
そう声をあげたのは他でもなく、私だ。
勢いよく言った私をめずらしそうに輝流さんが言った。
「へ~意外。にがっちゃん、池袋行きたいんだ?」
「池袋っつったら若者の街だろ。お前が行ってどうすんだ」
「失礼な! この中じゃ私、一番年下ですよ。それに池袋にはアニメショップの本店があるんです!」
キラキラ目を輝かせる私を呆れたように見る尾上さんに、苦笑いを浮かべる輝流さん。
誰がなんと言おうと、アニメショップだけは行きたい!
都会と田舎じゃあ、格が違いすぎるんだから!
「池袋ですかあ。私は渋谷に行ってみたいですねえ。洋服がたくさんあるので」
さすが天衣さん。同じ女子なのに、何だこの差は。
「うちは特にないわ。マスター達はどうなん?」
「オレは東京見て回れればどこでもいいや~」
「俺も」
「お前らに任せる」
「んじゃ決まりやな」
ん? 今の返答で何が決まったんだ?
きょとんとしている私達に向かって、美宇さんはにやにやした笑みを浮かべた。
「行くとこ決まってないなら、二人一組にするのはどうや? マスターは如月、尾上は天衣。んで、うちはリュウと」
ええええ!? か、神宮さんと!?
無理無理無理! 死んじゃう!
「おい待て。なんで俺が桜庭と……」
「なんや、天衣と行くの嫌なんか? お・が・み~♪」
「別にそういうわけじゃ……ちっ……鈴木てめぇ、覚えてろよ」
同じ立場である尾上さんは、怒りをあらわにするかのようにため息をつく。
こうなってしまってはもう逃げられない。
こうして美宇さんの強引な提案により、私は神宮さんと行くことになってしまったのだった。
「うわ~~~~! 大きい!」
感嘆の声を上げながら、店を見上げる。
電車を乗りまくり、ようやくついた池袋。
さすが東京、人がいっぱいだ。
どうやら私は、東京を甘く見ていたようだ。
道は複雑、電車はたくさんありすぎてどれがどれだかわからない。
神宮さんがいなかったら、絶対辿り着けてなかったな……
「すみません、神宮さん。なんか、ほとんどお任せしてしまって」
「別に。ただ、自分が方向音痴だってこと自覚しろよな」
うう……以後気を付けます……
「行きたかった場所なんだろ? 俺はどう見ていいか分からないからついてくけど、かまわず見ていいからな」
はうわ! 優しい!
ではお言葉に甘えさせていただきます!!
アニメ専門店の中は、予想通り素晴らしいものだった。
色々見ていく中、神宮さんにも説明していく。
彼は笑顔でそうだなと相槌をうってくれた。
初めてだな、私のオタク話にひかない人。
優しいその笑みに私、感動です!
「あ、あきお様のグッズ発見! そこみてもいいですか?」
つぶやきながら、ポスターや下敷きを見て回る。
東京すごい! あきお様のポスターがある!
超イケメンだ! 買わなきゃ!
「水瀬ってほんっとあきおってのが好きだよな」
ふいに声をかけられ、後ろを向く。
すぐそこに私の肩に手をのせた神宮さんが、ポスターをのぞき込んでいた。
「水瀬が好きっつうから俺なりに調べたんだが……ほんと俺とうり二つだな」
「え、えっと~」
「それに、かなり性格悪いんだろ?」
確かに、あきお様の性格や見た目には賛否両論ある。
昔が昔だからか、あまり好かれないんだよなあ。
でも……
「あきお様、かっこいいんですよ。少なくとも、私はそう思います」
「はいはい。分かった、分かった」
さっきまで笑顔で聞いていた神宮さんが、不機嫌そうに私から離れる。
当然、恋愛に疎い私が彼の気持ちを知ることはなかった……
(つづく・・・)
ちなみに私自身、東京には一回しか行ったことがないです。
あそこはホント迷路ですよね、田舎人としては。
実際の地名をそのまま出してはいますが、問題になりそうな店の名前などは
ちゃんと伏せますのでご安心を。
次回、魁皇と天衣の様子をお届け!




