表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/27

なんちゅうことしてんねん!

エイプリールフールに告げられたのは

嘘でも何でもない、東京への旅行計画だった!

「ついに来た~!!! 初東京!」


異常にテンションが高い輝流さんを横目で見ながら、私は大きく息を吸った。

私を含めたルナティックハウスの従業員全員は、現在一泊二日の社員旅行に来ている。

その場所はまさかの東京だ。


一人十万持って来いと言われた時は殺す気かと思ったりしたけど、母や弟からかっぱらってきてなんとか払えた。(もちろん自分の払ってはいるのでご安心を)

早朝5時に集合と言われ、約4,5時間かけてようやく到着した頃にはすでにお昼の時間帯だった。


「うっわ~……都会の空気はいつ吸っても変やな~」


「そうですね~やはり東京は人口も多いですから」


「お二人は東京、行ったことあるんですね」


「あるはあるけど、あんまみとらんで。そういう如月はどうや?」


「はい、まあ一度だけ」


私達が話しているのを聞きながら、輝流さん達が口をはさんだ。


「いいなあ、にがっちゃん達。オレらなんて京都だよ?」


「建物見物しただけでなんもなかったもんな」


「え~! 京都、いいじゃないですか。私、行ってみたいです!」


「でもさあ修学旅行って言ったら東京じゃない? 王様に連れてってもらった時は楽しかったけどさあ」


ん? 王様にって?


「この旅行、うちらは三回目なんや。最初が福岡、次に広島で去年が京都やったっけ?」


うわ! うらやましい!

京都以外は行ったことあるが、神宮さんと旅行に三回も行ったとかうらやましすぎるだろ! ちくしょう!


「荷物持ったか? 誰かいないとかねぇよな」


「はっ! チューンがいない!」


「殺すぞ」


「冗談だよ、冗談。んで王様、これからどうすんの? ホテルとかは?」


「目立つからすぐ見つかると思ったんだが……」


歩きながら神宮さんは、きょろきょろあたりを見渡していた。

何を探しているのだろう。

不思議に思っていた、その時―


「ミョウちゃ~~~~~~ん!」


聞きなれない声が、私達の耳に響く。

数メートル先に人影があるのが分かった。

どうやら二人の男性のようだ。

そのうちの一人がぶんぶん手を振りながら走り、神宮さんに向かって……


「おっ久しぶりですぅ~ぎゅ~」


「よぅ、悠翔。お前全然変わんねぇな」


「ミョウちゃんもちっとも変ってませんね! 抱き心地がとってもいいです♪」


「そりゃどーも」


ちょ、な、なんですかこれ!

知らない人が、神宮さんと抱き合っているですと!?

今までそういうのは輝流さんだけかと思っていたのに!

これは何とも萌える展開になってきたぁぁぁぁ!


……じゃなくて、この人誰!?

とか何とか思っている私に、その男性は気づいたようだった。

彼はきらりんっと顔を輝かせたかと思うと、視界に真っ暗になる。

気が付くと私は、彼の胸の中にいた。


「!?」


「かんわいいです! 高校生くらいでしょうか~? 僕のペットのにゃんこそっくりです~」


こ、高校生に間違われてるんですけど!?

ていうか痛い! この人の抱き方、めっちゃ痛い!

しかもにゃんこに似てるって……私猫以下!?


「ゆぅうぅとぉ……?!」


すごく低い声が、背後から聞こえる。

声のトーン的に神宮さんのようだった。

彼の周りから、どす黒いオーラが漂っているようにも見える。


「離れろ! 嫌がってんだろ!」


「あ、ごめんなさい。かわいかったので、つい」


かわいかったですまされるのか、これ!

危うく絞め殺されるところだった……

その人を改めてみると、黄色のウェーブがかった髪の毛が特徴的な人だった。


「王様! 何なの、この人! 知り合い!?」


「如月さん、大丈夫ですか?」


「こいつは大っ事な後輩やぞ! なんちゅうことしてんねん!」


「高校生じゃなくて中学生の間違いだろ」


ううっ……いい先輩をもって幸せだなあ……約一名をのぞいて!


「ごめんね、びっくりさせちゃって。君、痛いところはない?」


ようやく話してもらえた解放感に浸っていると、いつの間にかもう一人の男性がそばにいた。

その男性はもう一人とは対照的に黒髪の黒縁メガネで、肌が白く整った顔立ちをしていた。


「あ、大丈夫です。ありがとうございます」


「よかった。彼、いつもこんなんだからちょっと心配で。明王君もごめんね、せっかく久しぶりに会ったのに怒らせちゃった?」


彼の言葉を受けた神宮さんはさっきの男性にデコピンしながら、ため息交じりで言った。


「まあなあ。今回はこの辺にしといてやるが、次は覚悟しろよ」


「は~い……」


「ふふっ、変わらないね。君は」


「お前もな」


そういって彼に頬むと神宮さんは私達に、二人を指さしていった。


「こいつら、オレの高校の時の同級生なんだ。東京で働いてる」


「初めまして大空玲音おおぞら れのんです、よろしくね」


星悠翔ほし ゆうとって言います。仲良くしてくださいね~」


こ、この人たちが神宮さんの友人!

イケメンの友達は、やっぱりイケメンなんだな。うん。

そうして一人で興奮している中、荷物を運ぼうと動き出したのだった。


(つづく!!)

実際の地名を出していいのか悪いのか、いまだ判断が付いていない私です。

神宮さんの貴重な友人二人は、個人的にお気に入りです。

彼の高校時代、一度でいいから見てみたいものですね。


次回、東京探索!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ