デートやとぉ!?
明王の深い秘密を知った如月。
すると彼から、バレンタインのお返しにとデートのお誘いを受けてしまい・・・?
どうしよう、どうしよう、どうしよう!
心の中で叫びながら、カレンダーに×を付ける。
三月九日。神宮さんとのデートまで、あと一週間もない。
あれから一人で色々恋愛についての本やらなんやらで探しては見たが、デートについてなんもわかんない!
そもそも私、かわいい服とか持ってないし!
仕事をしながら気を紛らわそうとしても、頭はそのことでいっぱい。
そうだ、美宇さんや天衣さんに相談すれば……
『マスターとデートやとぉ!? こうしちゃおられへん! うちが恋愛の極意について教えたる!』
『デートですかあ。私恋愛についてはよく分からないので、本を読んで研究してきますね』
うん、妄想だけで却下!
美宇さんは余計なことしかしなさそうだし、天衣さんは時間かかりそうだよなあ。
「にがっちゃん、どうしたの? 最近ボーっとしてること多くない?」
その声を聴いてはっと振り向く。
そこにいたのは台拭きを持った、輝流さんだった。
彼の顔を見た途端、あのセリフがふとよみがえる。
『オレを仮の彼氏にしてよ。もし王様とデートするってなった時に練習としてできるでしょ?』
今が、その時なんじゃないか?
輝流さんは友達みたいなもんなんだし、浮気にはならないはず……
困ってるんだし、こんな時に頼らなくてどうする!
「あの、輝流さん。お願いがあるんですけど……」
「ん? 何?」
「ここじゃダメなんで、休憩室で……」
いくら何でも、神宮さんには知られたくない。
かっこ悪いと思われるのだけは遠慮したいしな。
そんな私の考えを理解しているのか、輝流さんは神宮さんに「休憩とりまーす」とだけ言って私を休憩室に連れて行った。
「んで、なに?」
「あのぅ……非常に言いにくいんですが……私、神宮さんとホワイトデーにデートすることになってしまいまして……」
輝流さんの笑顔が、ピクリと反応した気がした。
気のせいだったのだろうか、彼は私に嬉しくててたまらない様子で口を開いた。
「す……すごいじゃん、にがっちゃん! いやあ、めでだいめでたい」
「それなんですけど。輝流さん、前私に言ったこと覚えてますか?」
「ん?」
「もしよかったら、神宮さんのデートの練習に付き合ってくれませんか……?」
言っていることが恥ずかしくなって、顔をそらす。
なんて図々しいお願いだ、輝流さんもきっと呆れて……
「ちちちちょっと待って! それってにがっちゃんとデートするってこと!? オレと二人で!?」
「そうですけど……あれってそういう意味じゃなかったんですか?」
「え? いや、そうなんだけどさ。その~びっくりした、というか……オレのことちょっとは信頼してくれてんだなあって」
輝流さんの言ってることは、よくわからない。
ただ彼は、いつにもまして嬉しそうに見えた。
「よっしゃ、わかった! んじゃ明日行こう!」
「明日!?」
「日曜日しかチャンスないじゃ~ん。服は自由でいいから、そんな気にせず楽~にしてきてね」
こうして、輝流さんとの仮という名のデートが幕を開けたのです!
(つづく!!)
今回から、デート編with輝流です。
第二部は主に如月と明王なものですから、
若干美宇ちゃん達の出番が少なめですね。
それでも爪跡を残してくるあたり、彼女達らしいですが。
次回、輝流とデート練習します。




