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ほしくないのか~?

初詣で明王の誕生日を知った如月が

とった行動とは?

「うわぁ……今月号見てるアニメの特集ばっかじゃん……ぐぬぬ……ほしい……」


一人でぶつぶつつぶやきながら、はあっとため息をつく。

水瀬如月、十九歳。ただいま人生の壁に衝突中であります。

年が明けすっかり大学も新学期へ向けての締めくくりが始まるこの頃だが、今日は二月九日。

神宮さんの、誕生日前日なのである。


いやあ、まさか明日が誕生日だとは知らなかったな。

なぜ私がこうして行動を起こしているのか、理由は一つ。

今年ひいたおみくじに、告白すれば告白すれば恋は実ると書いてあったこと。

それを実行するなら、誕生日が一番のチャンス!


しかし私は、大事なことを忘れていた。

自分が極度な優柔不断だということに!

相手は大好きな人だぞ!? 何をあげろと!?

そもそも誕生日プレゼントなんて、友人ぐらいにしかあげたことないし!

しかも店には誘惑の数々!

くそっ! アニメ雑誌ほしい! でも金がねぇ!


「あれ? にがっちゃんじゃん」


ん? な~んかどっかで聞いたことあるような声が……

振り返るとそこにいたのは、私服姿の輝流さんと尾上さんだった。


「やっほ~! 奇遇だね、こんなとこで」


「一人で買い物か。さみしい奴だな」


「余計なお世話です。二人して買い物ですか?」


「ん♪ 大学帰りに寄ったんだ」


そういや劉生大学は私服通いだっけ。

輝流さんはいいとして、尾上さんの私服姿は初めて見たな。

なんというか、こう……大人っぽい……というか。

……ん? 待てよ、そういえば……


「休む連絡をした私はまだしも、輝流さんって今日シフト入ってませんでしたっけ?」


「ん? さぼった♪」


こ、こいつはあ!

くびだ! 私が社長だったら即くびにしたい!


「んで? 本屋前で何やってたんだよ。なんか一人でぶつぶつ言ってたが」


「き、聞こえてたんですか!?」


「話しかけたくなかったくらいにな」


く、屈辱! これだからこの人は苦手なんだ!

いや、待て。冷静に考えろ、如月。

今ここに神宮さんと付き合いが長いであろう二人がいる。

しかも今から買い物に行くときた。

ということは!


「尾上さん、輝流さん! お願いがあります! 私と一緒に、神宮さんの誕生日プレゼントを選んでください!」



私のわがままにも関わらず、輝流さんは気楽にオッケーしてくれた。

尾上さんは嫌そうな顔をして拒んでいたが、何とか説得させて共に行動中である。

私の事前調査によると、男性にあげるプレゼントはハンカチやネクタイが多いらしい。

だが、普通の男性と一味違うのが神宮さんなわけで……


「何をあげればいいか、分かんないんです。何か、意見とかありませんかね?」


私は手を合わせ、頭を下げてみる。

すると意外にも尾上さんが意見を述べた。


「マスターにあげるんだろ? 喫茶店関連でいいじゃねぇか」


「と、言いますと?」


「例えば、マグカップとか。コーヒー豆とか」


おお! それは思いつかんかった! さすが尾上さん!


「マグカップならこんくらいじゃね? にがっちゃんが好きなの選んじゃいなよ」


「え? 私の好みでいいんですか?」


「心さえこもってれば、なんだって喜ぶよ」


はへ~すごいな、輝流さん。言うことが違うわあ。

きっと今までに多くの女子にプレゼントをあげていたんでしょうねえ。

うーん、私が選ぶって言ってもなあ。

シンプルすぎるのよりは、模様がついてた方がいいのかな?


「あ、これとかいいんじゃない? 名前入りマグカップ~♪ プラス千円で可能だって」


名前入り、か……確かに自分だけのって感じでいいかもな。

いや、待てよ、この商品説明に書いてあるのは……


「輝流さん! これ、結婚祝いにオススメって書いてありますよ!? ダメじゃないですか!」


「え~いいじゃ~ん。いずれはにがっちゃんも結婚するんだし?」


「私のも買うつもりだったんですか!?」


ダメだ、この人やっぱりあてにならん!

大体そんなに買えるほど、私は金に持ってないぞ!


「マスターなんだし、シンプルでいいだろ。色違いで買うとか」


「だから、なんで私の分まで買わないといけないんですか……」


「おそろいのマグカップだぞ~? ほしくないのか~?」


尾上さんのいやらし~い声が私に向けられる。

差し出された色違いのマグカップに、私はどうしようもなく……


「ああ! もう分かりましたよ! 買います! 買えばいいんでしょ!」


「さっすがにがっちゃ~ん、分かってる~♪」


「最初からほしかったくせに、意地張ってどうするんだよ」


「うるさいです!」


それだけ言い残した私は、マグカップを手にレジに走った。

せっかくアニメグッズ買おうと思って、余分にためたのになあ。


「なんてね」


財布から小銭を出そうとしていると、輝流さんが隣にやってきた。

彼は私にウインクしてみせた。


「にがっちゃんの分は俺がおごったげる♪ オレからのプレゼント♪」


「え……そんな、悪いですよ」


「いいって、いいって。日頃かわりに仕事してもらってるお礼♪」


そういってはいと五千円札を渡して、尾上さんのもとへ歩いていく。

そんな一部始終を見ていた店員さんがポツリ。


「素敵な彼氏さんですね」


うがああああああああ!


(つづく!!)

音楽機器の話をよくしてきた私ですが、とうとうコードまでだめになったようで

充電すらできません。もはや何もできない状態になってます。

新しいのを買うべきか、そろそろ携帯で音楽を聴くか・・・

私も如月みたく、輝流におごってもらいたいものです。


次回、三人の買い物の行方は?

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