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華咲く頃  作者:
6/7

第5話:道。

そこには、真っ白な雪が広がっていた。

そしてその奥には、大きな洞穴とも、トンネルとも言えるであろう、穴があった。


僕とサチが、ユウキを探し出す為に動きはじめてから、もう半年が経っていた。

そして不思議と、僕はまだ、サチと出会った頃の高校2年生の姿のままでいた。


僕はひどく疲れていた。

サチは必要がないからと、食事はおろか、睡眠すらめったにとらせてもらえないのだ。

それでも、サチはどんどん進んでいく。

時に僕を気にしながら。穴へ消えていった。

僕もあとに続く。すると、半年前に聞いたものと同じ、ユウキの声が聞こえてきた。


「瑞樹?」


「ユウ…キ…?」


「瑞樹ッ!来ちゃ駄目!」


疲れている所為だろうか。

僕は、そんなことはおかまいなしに、ただサチのいる方向へ、足を伸ばす。


「瑞樹!?瑞樹ってば!」


雪に足を踏みつけて、穴に近づく。

穴に、入る。


瞬間、僕の身体が縮んだ気がした。


また一歩、歩く。


また、僕の身体が縮んだ気がした。


一歩、また一歩。


歩くたびに、僕の身体は縮んでいく。

前方に、サチの姿が見えた。

気付くと、ユウキの声は聞こえなくなっていた。


「ミズ…キ?」


サチの声は、僕の頭上から聞こえた。


「ミズキ…どうしたんだ?その姿は。」


サチに言われ、やっと気付いた。


『成長逆再生』


が、行われている。


しかし僕は、そんなことさえもおかまいなしに、ブレザーを引きずり、小さすぎる身体で歩き続ける。

サチも仕方なしに、ついてくる。

半ば、心の中で心配をしながら。


ズリズリ、ズリズリ…ブレザーの引きずる音がうるさい。

それでも、黙々と進む。


光が、見えてきた。


出口かと思った。


だけどそこには。

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