第5話:道。
そこには、真っ白な雪が広がっていた。
そしてその奥には、大きな洞穴とも、トンネルとも言えるであろう、穴があった。
僕とサチが、ユウキを探し出す為に動きはじめてから、もう半年が経っていた。
そして不思議と、僕はまだ、サチと出会った頃の高校2年生の姿のままでいた。
僕はひどく疲れていた。
サチは必要がないからと、食事はおろか、睡眠すらめったにとらせてもらえないのだ。
それでも、サチはどんどん進んでいく。
時に僕を気にしながら。穴へ消えていった。
僕もあとに続く。すると、半年前に聞いたものと同じ、ユウキの声が聞こえてきた。
「瑞樹?」
「ユウ…キ…?」
「瑞樹ッ!来ちゃ駄目!」
疲れている所為だろうか。
僕は、そんなことはおかまいなしに、ただサチのいる方向へ、足を伸ばす。
「瑞樹!?瑞樹ってば!」
雪に足を踏みつけて、穴に近づく。
穴に、入る。
瞬間、僕の身体が縮んだ気がした。
また一歩、歩く。
また、僕の身体が縮んだ気がした。
一歩、また一歩。
歩くたびに、僕の身体は縮んでいく。
前方に、サチの姿が見えた。
気付くと、ユウキの声は聞こえなくなっていた。
「ミズ…キ?」
サチの声は、僕の頭上から聞こえた。
「ミズキ…どうしたんだ?その姿は。」
サチに言われ、やっと気付いた。
『成長逆再生』
が、行われている。
しかし僕は、そんなことさえもおかまいなしに、ブレザーを引きずり、小さすぎる身体で歩き続ける。
サチも仕方なしに、ついてくる。
半ば、心の中で心配をしながら。
ズリズリ、ズリズリ…ブレザーの引きずる音がうるさい。
それでも、黙々と進む。
光が、見えてきた。
出口かと思った。
だけどそこには。