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華咲く頃  作者:
5/7

第4話:声。

「・・・瑞樹・・・」


サチという名の少女の後をついていく僕の耳に、どこか聞き覚えのある、甲高い声が聞こえた。


「瑞樹・・・!」


自分の名前を、必死に叫ばれているような気がした。


「瑞樹、瑞樹・・・!!」


やっぱりそうだ。

これは、この声は。


「ユウ・・・キ?」


どこか遠くから聞こえてくるその声に僕は手を伸ばした。


「瑞樹!」

「ユウキ!」


僕の名前を叫んでいるのは、何年か前まで、毎日一緒に過ごしてきた、唯一の友達、久瀬ユウキだった。

今、僕とサチが探している、金髪の、明るく活発な少女。


「瑞樹、今、助けてあげるから・・・ごめんね、瑞樹、ごめん・・・」


あの時と同じ台詞が、また聞こえる。


「ユウキ!ユウキ、謝らなくていい、もう、謝らなくていいから、はやく戻ってきてくれよ・・・」


その時気付いた。

僕は完全に、弱っていた。

ユウキのいない生活が続き、不思議な少女に出会い、何も食べず・・・そうだ。

サチと出会ってからもう、3日が過ぎる。

僕は今きっと、幻聴を聞いているんだ。


「瑞樹・・・?どうしたの?」


だけどこの声は、やっぱり・・・


「ミズキ。」


透き通るような声がした。

前を向くと、サチが立っていた。


「何をしているんだ?行くぞ。」


無口な少女は、それだけを言い、また歩き出した。

僕もついていったが、それ以降、ユウキの声が聞こえることはなかった。


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