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華咲く頃  作者:
4/7

第3話:お国のおはなし。

むかしむかしあるところに、貴族のお屋敷がありました。


そこには優しい女の人と、少し厳しいおばあちゃんと、それからお国の王様がいらっしゃいました。


ある日、女の人と王様の間に、可愛い小さな女の子が生まれました。

名を「幸」といいます。


名前の通り、幸は幸せに、明るく元気な子に育っていきました。


しかし、そんな平和な日常も束の間。


ある年の冬、幸のお母さんも、幸のお父さんも、幸のおばあちゃんも。

みんなみんな、死んでいってしまいました。


お母さんは病気で。

おばあちゃんは老衰。

お父さんは自害なさいました。


幸のまわりには、つかいの男以外、誰も、誰も、いなくなってしまいました。


やがてその男も亡くなり、幸は本当に独りぼっち。


もう笑うこともできない。

話すこともできない。


とうとう幸は、何もできなくなってしまいました。


ただ毎日、生きていくだけ。

不思議と、何も食べなくても生きていけるようになりました。


そして、まだ幼かった幸には、みんなの死がそれほどショックだったのか、成長もしなくなってしまいました。


背も伸びない。

太らない。


大人になれない。


それからずーっと、火事でお屋敷が無くなっても、お国が戦争でボロボロになっても。


幸は生き続けました。


やがて平和になり、街には灯りも増え、身につける服までも変化をしていきました。


人の顔も、変わりました。

優しい人が、減りました。


けれど、たった1人だけ、心優しい少年がいました。

その人は、昔幸につかえていた男に、すごくよく似ていました。


不幸だけど、いつも笑ってて。

お人よしで。


幸はその人と、お友達になりたいと思いました。


だから一緒に、旅に出ました。


遠い遠い、あのお屋敷を目指して。



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