1章プロローグ
新章の始まり始まり~♪
シャッ……シャッ……シャッ……シャッ……
小さな工房で、砥石に刃物を滑らせる音が聞こえてくる。
何の変哲もない黒い石。しかし、これはこの工房の職人が選びに選び抜いた厳選された超一品。それを惜しげもなく使い、しかし何度も計算し、少ない回数で効率よく刃物を砥いでいく。
――――ふぅ~…………
ようやく砥ぎ終わったのか、刃物についた粒子を慎重に息でとばし、その仕上がり具合を見る。右目だけで刃先をすべてチェックし、歪みやムレがないかをその眼だけで見ていた。
「……よし、完成ですっ!!」
満足のいく仕上がりだったらしく、そう大きな声を上げると立ち上がった。
その職人の出で立ちは、艶のある明るい茶髪はとても長く伸ばされ、顔の左半分が隠れていて、綺麗な碧い瞳は右しか出ていない。ブカブカで大きな帽子を被っており、ちょっと間抜けにずらした被り方が愛らしい。そして、注目すべきは150㎝にも満たないその身長だろう。
彼女……そう、その少女は、その身の丈にはあまりにも不相応で無骨なロングソードを片手で持ち、満足そうに笑っていた。
少女の名前は、ファータ・プティアック。技術都市フォークスからやってきた、若くも才覚に溢れた技術者であり、職人である。ギルドからの依頼を受け、彼女は今日もまた、元気に仕事に精を出していた。
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