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7.カストルの気付きと、ミナの初光

超短いです

朝の光が屋敷に差し込む。

ユートはまだ眠そうに布団から顔を出し、目の前の世界をぼんやり眺めていた。

しかし、昨夜の初光の影響で、普段とは何かが違う。


――音が鮮明すぎる。

――空気の流れが見えるような気がする。

――胸の奥に残る“片翼の光”が微かに揺れている。


 

「おはようございます、坊っちゃん」

カストルが部屋に入ると、すぐにその異変に気づいた。

「……むむ。坊っちゃん、昨夜は何か特別なことでもあったのですか?」

ユートは少し戸惑いながら首を振る。

「え……? 特別なことって……」

しかしカストルの目は鋭い。

三歳の子供の身体なのに、魔力の気配がいつもよりはるかに広がっていることを見逃さない。

「……なるほど、どうやら坊っちゃんの魔力が、昨夜に何かを覚醒させたようですね」

ユートは眉をひそめる。

「覚醒……?」

「ええ。少し魔力の形が見え始めているのではありませんか? 坊っちゃん、昨夜中庭で何か試みましたか?」

胸の奥で、昨夜の光の感覚が再び微かに震える。

ユートは首を小さくかしげるしかなかった。

「……わからない。気づいたら光が出ちゃっただけ」

カストルは微笑み、優しく頭を撫でる。

「ふむ、なるほど。では今後は少しずつ、その力を整える練習をしていきましょう」

ユートは少し安心しつつも、心の奥で不思議な高揚感を感じていた。



同じころ、リュミエール家でも小さな変化が起きていた。

ミナは朝の庭で魔力の練習をしていた。

小さな両手を空中にかざし、ふわりと光を集める。

(今日も……うまくできるかな……)

集中していると、胸の奥に不意に熱い感覚が走った。

「……あれ……?」

目の前の空間が、いつもより鮮明に変化して見える。

魔力の流れが、まるで目に見えるように線や粒となって漂っていた。

(……光……?)

ふと手元を見下ろすと、手のひらに小さな光の粒が浮かぶ。

一つ、二つ……増えていき、やがて小さな羽根のような形を作った。

「……わっ!」

驚きで声を上げそうになるが、すぐに手を止めて息を整える。

胸の奥で、光の羽根がゆっくりと開いたまま止まっている。

(これは……なに……?)

ミナもまだ名前も知らないが、直感的にわかる。

これは特別なこと。


自分の魔力が、自分の意志とは関係なく世界に現れた瞬間だと。


空気に浮かぶ光の粒が、庭の花や葉に反応する。

かすかな揺れが、まるで魔力の風を起こしているかのようだ。

「……すごい……」

心臓がドキドキする。

でも怖くない。

胸の奥が温かく、全身に力がみなぎるような感覚。

(ユートくんも……もしかしたら、同じことを感じてるのかな)


ミナはふと思い、遠く離れたアルティナール家のことを考える。

もしかすると、ユートと自分の魔力は、こうして少しずつ“共鳴”しているのかもしれない――。


その予感に、小さく微笑みながら、ミナは光の羽根を手のひらで揺らした。

柔らかく、でも確かに、初めて自分の力を世界に見せた瞬間だった。


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