63.そのあと
短めです。
沈黙が落ちた。
草原の風が止まり、
仲間たちの表情が固まる。
最初に口を開いたのは、カイルだった。
「……て、転生者って……
あの、伝説とか神話に出てくる……?」
「そうだ。
前の世界の記憶を持って、この世界に生まれた」
リオが目を丸くする。
「じゃあ……ユートの戦い方とか、
ミナの魔法のセンスって……」
「全部、前の世界の知識があるから……?」
ミナが小さく頷く。
「もちろん、この世界の練習もあるけど.....うん……隠しててごめん。
でも、言ったらどう思われるか分からなくて……」
エマは涙を拭きながら首を振った。
「怖いとか思うわけないよ……!
むしろ……そんな秘密を抱えて、
二人ともずっと頑張ってたんだね……!」
仲間たちは次々と頷いた。
「ユート、ミナ……これからも一緒に戦おう」
「転生者だろうがなんだろうが、仲間だ」
「むしろ頼もしすぎる!」
「さすがに驚いたけどな!」
ミナはほっとしたように息を吐いた。
俺も胸の奥が軽くなるのを感じた。
「あと……一つ、お願いがある」
俺は真剣な声で言った。
仲間たちが姿勢を正す。
「俺とミナが転生者だってこと……
ギルドや他の人には言わないでほしい」
カイルは拳を握りしめた。
「当たり前だろ。
そんな大事なこと、誰にも言うわけない」
リオも頷く。
「ユートとミナが信じて話してくれたんだ。
俺たちも信じるよ」
エマは胸に手を当てて言った。
「絶対に秘密にする。
誰にも言わないって、ここで誓う」
仲間全員が頷いた。
その表情には、
恐れでも興味でもなく――
仲間としての覚悟 が宿っていた。
ミナは小さく微笑む。
「ありがとう……本当に……」
俺も深く頭を下げた。
「助かる。
これからも……頼む」
◆
「じゃあ……素材回収するか」
俺は《アイテムボックス》を開き、
ドラゴンの巨体に手を当てる。
黒い鱗、魔核、翼膜、牙、心臓――
どれも高級素材だ。
「うわ……これ全部、ギルドに持ってったら……」
「大騒ぎになるな」
「いや、国が動くレベルだろ……」
仲間たちがざわつく。
ミナが俺の袖を引っ張る。
「ユート……魔核、どうするの?」
「とりあえずギルドに提出する。
ただ……これは普通の魔核じゃない」
ドラゴンの魔核は、
黒い風を内包して脈動していた。
(《アビス・テンペスト》の残滓……
これは、ただの素材じゃない)
俺は魔核を慎重に収納した。
◆
街に戻ると――
ギルドは大騒ぎだった。
「テンペスト・アビスドラゴンを……倒した……?」
「嘘だろ……あれは討伐隊でも壊滅するレベルだぞ……!」
「一年生たちが……?」
ギルドマスターが飛び出してきた。
「ユート! ミナ!
本当に倒したのか!?」
俺は頷き、魔核を取り出す。
ギルドマスターは目を見開き、
その場に尻もちをついた。
「ま、間違いない……!
これはテンペスト・アビスドラゴンの魔核……!」
ギルド中がどよめく。
「ユートたち……CとかDランクでもないのに……」
「いや、もうSランク以上だろ……」
「何者なんだ……?」
ミナが不安そうに俺を見る。
俺は小さく首を振った。
(転生者のことは……言わない)
仲間たちも、
誰一人として口を開かなかった。
ギルド側はただ、
“強すぎる新人”として扱うだけだ。
◆
その夜、ギルドは宴会になった。
仲間たちは酒を飲み、
ミナは俺の隣で静かに笑っていた。
「ユート……今日、ありがとう」
「何がだ?」
「私……途中で倒れちゃったのに……
ユートが全部守ってくれたから」
「仲間だからな」
ミナは小さく頷いた。
それ以上は言わない。
言葉にしなくても、伝わるものがあった。
◆
宴が終わり、
ギルドの外に出ると、夜風が心地よかった。
ミナが隣に立ち、
星空を見上げる。
「ユート……」
「ん?」
「これからも……一緒に戦ってくれる?」
「もちろんだ」
ミナは小さく笑った。
「じゃあ……次は、
ユートのことも、もっと教えてね」
「……考えとく」
ミナはくすっと笑った。
その距離感は、
まだ“仲間”のまま。
でも、確実に近づいている。
夜空に星が瞬き、
静かな風が吹いた。
小説って.....むずいな.....(悟り
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