61.Bランク戦
ステータスをちょっと変更
ウィンドオーガ・ロードが咆哮した瞬間、
風の凹地の空気が震えた。
「来るぞ――!!」
俺の声と同時に、ロードが地面を踏み砕きながら突進してくる。
その巨体からは想像できないほどの速度。
「カイル、リオ、前へ!」
「了解!」
「任せろ!」
カイルが剣を構え、リオが木刀を低く構える。
二人の動きは、ここ数日の訓練で確実に鋭くなっていた。
ロードの拳が振り下ろされる。
風をまとった拳が空気を裂き、衝撃波が走る。
「くっ……重っ……!」
カイルが剣で受け止めるが、足が地面にめり込む。
「カイル、下がれ!」
リオが横から木刀でロードの腕を叩く。
だが、硬い皮膚に弾かれた。
「効かねぇ……!」
「リオ、無理するな!」
俺は剣を抜き、ロードの横腹へ斬り込む。
風をまとった皮膚が抵抗するが、刃はわずかに食い込んだ。
(硬い……! これがBランクの“ロード”か)
ロードが俺に気づき、拳を振り上げる。
「ユート、危ない!」
ミナの声が飛ぶ。
俺は後ろへ跳び、拳が地面を砕く。
土と風が混ざり、視界が揺れた。
「ミナ、援護を!」
「うん! 《ウィンド・スラッシュ》!」
ミナの風刃がロードの肩を切り裂く。
ロードが苦しげに咆哮した。
(よし、効いてる……)
だが――
その瞬間、違和感が走った。
(……今の、何だ?)
ロードの目が、俺たちではなく“後ろ”を見ていた。
まるで――
何かから逃げようとしているように。
◆
「ユート、なんか……変じゃない?」
ミナが小声で言う。
「ああ……攻撃が雑だ。俺たちを見てない」
ロードは拳を振り回しながらも、
何度も草原の奥を振り返っていた。
「……逃げようとしてる?」
セリナが呟く。
「いや、そんなはず……」
カイルが言いかけた瞬間――
ロードが突然、俺たちの横をすり抜けようとした。
「おい、逃げる気か!?」
ジンが叫ぶ。
ロードは俺たちを押しのけるようにして後退する。
その目は――恐怖で見開かれていた。
(……何を、そんなに……)
その時、風が一瞬だけ逆流した。
草がざわりと揺れ、
空気が重くなる。
(……嫌な予感がする)
だが、今はロードを倒すのが先だ。
「全員、集中しろ! こいつを倒す!」
「了解!」
◆
ロードが再び拳を振り上げる。
だが、その動きはさっきよりも鈍い。
(逃げようとしている……だから攻撃が甘い)
俺はその隙を見逃さなかった。
「カイル、リオ! 同時にいくぞ!」
「おう!」
「任せろ!」
三人で一気に距離を詰める。
ロードが拳を振り下ろす。
カイルが受け止め、リオが横から木刀で関節を叩く。
「今だ、ユート!」
「――っ!」
俺はロードの胸元へ剣を突き立てた。
「グオォォォォォォッ!!」
ロードが大きくのけぞり、
そのまま地面に倒れ込む。
土煙が舞い、風が吹き抜ける。
「……倒した……?」
エマが息を呑む。
「はぁ……はぁ……」
カイルが膝をつく。
「……強かった……」
リオも肩で息をしていた。
俺も剣を下ろし、深く息を吐いた。
(……ギリギリだったな)
ミナが駆け寄ってくる。
「ユート、大丈夫……?」
「ああ。みんなのおかげだ」
十二人全員が疲れ切っていた。
でも、勝った。
そう思った――その瞬間だった。
風が――止まった。
「……え?」
ミナが俺の服を掴む。
草が一斉に倒れ、
空気が重く、冷たくなる。
地面が低く震えた。
ドン……
ドン……
ドン……
(……来た)
丘の上に、
巨大な黒い竜が姿を現した。
黒い鱗。
風を喰らうように揺れる翼。
深淵のような瞳。
俺の《鑑定》が勝手に発動した。
◆【名前】テンペスト・アビスドラゴン
◆【危険度】Sランク
◆【特徴】風吸収/闇鱗装甲/魔力喰らい/広域咆哮/飛行
◆【スキル】テンペストブレス/アビスウィング/風魔力吸収/闇鱗硬化/暴風咆哮
◆【ユニークスキル】アビス・テンペスト
◆【弱点】光属性/胸部の魔核(露出時のみ)
誰も動けない。
誰も立てない。
でも――
ミナだけは、震える足で立ち上がった。
「ユート……行くんでしょ……?」
その声は弱いのに、覚悟だけは強かった。
「ああ。行く」
俺は答える。
ミナは一歩、俺の隣に立つ。
魔力はほとんど残っていないはずなのに、
杖を握る手はしっかりしていた。
「……私も行くよ」
「ミナ、お前は――」
「ユートだけに行かせるわけないでしょ。
だって……私たち、同じだから」
その言葉に、胸が熱くなる。
(……そうだ。
ミナも俺と同じ“転生者”だ)
この世界に来た理由も、
隠してきた力も、
背負っている秘密も――
全部、同じ。
だからミナは、俺の隣に立つ。
仲間たちが震える声で言う。
「二人とも……無茶だ……」
「死ぬぞ……!」
「もう……動けないんだ……」
俺は仲間たちを見渡し、
静かに言った。
「……この戦いが終わったら、
みんなに話したいことがある」
ミナも小さく頷く。
「だから……絶対に戻ってくるから」
テンペスト・アビスドラゴンが咆哮し、
風が逆流する。
俺は剣を構え、
ミナは震える手で杖を握りしめる。
二人で、前に出る。
「――来いよ。全力で相手してやる」
ドラゴンの瞳が、俺たちを捉えた。
僕は、早めになんか強さ明かすのが好きです。
遅くなりましたがあけましておめでとうございます!!
あと最近見てみたら、たまにランキング乗ってたり、ポイントもブックマーク、リアクションもめっちゃ増えててほんとうにうれしかったです!
やる気でてきたので、まだ一切手を付けてない冬休みの宿題が終わったら、一気に投稿します!
最近楽しくなってきたのでね。
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誤字報告や文法がおかしいなども是非!!!




