59.不穏な足跡
いとこの家族と自分の家族で新年会みたいなのがあって、完全に忘れてました。すいません。
変更
ホーンバイソンのステータスを少し変更しました
翌朝。
緑風の丘は、昨日よりも風が強かった。
草が波のように揺れ、遠くの木々がざわざわと鳴っている。
「……寒っ」
ジンが肩を抱えながらテントから出てきた。
「ジンくん、上着着て寝なよ」
エマが呆れたように言う。
「いや、昨日は暑かったんだよ! 夜中に脱いだんだよ!」
「それで朝に文句言うのは違うよ」
「違うのか……?」
「違う」
ノアが淡々と断言した。
「ノア、お前はなんでそんなに朝から落ち着いてんだよ」
「普通」
「普通じゃねぇよ!」
カイルは剣を磨きながら笑っていた。
「ジン、朝から騒ぐと体力減るぞ」
「カイルは朝から剣かよ!?」
「落ち着く」
リオは木刀を肩に担ぎ、軽く素振りをしている。
「ユート、今日は風が強い。魔法の軌道が変わるかもしれない」
「了解。ミナとセリナにも伝えておく」
ミナは髪を押さえながら出てきた。
「風、強いね……魔法、気をつけないと」
「ミナさん、私も……がんばります」
セリナが小さく頷く。
「エリオットくん、朝ごはん食べた?」
「は、はい……少しだけ……」
「もっと食べなよ! 動けなくなるよ!」
「うぅ……努力します……」
ルナは眠そうに目をこすりながら出てきた。
「……風、うるさい」
「ルナちゃん、寝起きかわいい」
「エマ、うるさい」
テオはピコを抱えて走ってきた。
「ユート! ピコが朝から元気だよ!」
「ピィ!」
「それは……見ればわかるな」
十二人が揃うと、自然と空気が締まった。
「よし、今日も動きながらの連携訓練をする。
魔物が出るかもしれないから、隊列は崩すなよ」
「了解!」
「任せて!」
「ピィ!」
俺たちは草原へ歩き出した。
◆
風が強いせいか、草原はいつもよりざわついていた。
鳥の声も少なく、どこか静かだ。
「ユート、なんか……音しない?」
ミナが耳を澄ませる。
「風の音じゃなくて?」
「ううん……もっと、こう……地面の奥の方から」
その瞬間――
ドンッ……!
地面が、低く震えた。
「地震……?」
エリオットが不安そうに言う。
「いや、違う。これは――」
ドンッ……ドンッ……!
連続して地面が揺れ、草が波のように割れた。
「来るぞ!」
俺が叫んだ瞬間――
巨大な影が三つ、草むらから飛び出した。
「うわっ……でかっ!」
ジンが思わず後ずさる。
◆【名前】ホーンバイソン
◆【危険度】Eランク
◆【特徴】高速突進/重量攻撃/地面揺らし
◆【弱点】急旋回不可/側面と背後が弱い
「ホーンバイソン……三体!?」
ミナが息を呑む。
「全員、構えろ! 突っ込むなよ!」
俺は剣を構えた。
◆
「来るぞ……!」
ホーンバイソン三体が同時に突進してきた。
地面が揺れ、風圧が肌を刺す。
「速っ……!」
カイルが目を見開く。
「ミナ、風で軌道をずらせ!」
「うん! 《ウィンド・カーブ》!」
横から吹きつける風が、
バイソンの突進をわずかに曲げる。
「セリナ、足元を凍らせろ!」
「《アイス・フロア》!」
地面が薄く凍り、
バイソンの足が滑る。
「リオ、右の一体を誘導しろ!」
「了解」
リオは滑ったバイソンの横へ回り込み、
木刀で角の軌道を逸らす。
「カイル、左を頼む!」
「任せろ!」
カイルはスピードで側面へ走り込み、
バイソンの脚を斬りつけた。
「ルナ、幻術で“偽の標的”を作れ!」
「……《幻影》」
草原に“もう一人のユート”が現れ、
バイソンの注意がそちらへ向く。
「テオ、ピコを前に出すなよ!」
「わかってる! ピコ、援護だ!」
「ピィ!」
ピコが小さな火球を放ち、
バイソンの足元を狙う。
「エマ、足場を固めろ!」
「任せて! 《固化薬・散布》!」
エマが投げた瓶が割れ、
地面が一瞬で固まる。
「レオン、足を狙え!」
「……《ピンショット》!」
レオンの矢が、
バイソンの足の関節を正確に射抜く。
「ジン、今だ!」
「任せろぉぉぉ!!」
ジンが拳を叩き込み、
バイソンの突進を横から弾き飛ばした。
「ユート、中央は任せた!」
カイルが叫ぶ。
「行くぞ……!」
俺は剣を構え、
滑って転倒したバイソンの角を狙って斬り込んだ。
――ドンッ!
三体のホーンバイソンが、
ほぼ同時に地面へ倒れ込んだ。
◆
「……勝ったな」
リオが木刀を下ろす。
「やったぁぁぁ!!」
ジンが飛び跳ねる。
「みんな、すごい……!」
ミナが嬉しそうに笑う。
十二人の連携は、昨日よりも確実に強くなっていた。
◆
「ユート、これ見て」
レオンが草むらの奥を指差した。
そこには――
昨日見た“巨大な足跡”が、さらに続いていた。
「……また増えてる」
ミナが不安そうに呟く。
「でも、姿は見えないな」
カイルが剣を握りしめる。
「ユート……なんか、嫌な感じがする」
ミナが袖を掴む。
「……ああ。何かがいる。
でも、まだ近くには来てない」
風が、ひゅう、と吹き抜けた。
その風は、どこか静かで、
何かを“待っている”ように感じた。
「今日はここまでにしよう。
油断は……まだできない」
十二人は頷き、拠点へ戻り始めた。
――何かがいる。
でも、まだ姿を見せない。
その静かな気配だけが、
夏の草原に残っていた
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