58.連携訓練
短いです
翌朝。
緑風の丘の空気は、昨日よりもさらに澄んでいた。
鳥の声が響き、草の匂いが風に乗って流れてくる。
俺たち十二人は、簡易拠点の前に集まっていた。
「よーし! 今日も気合い入れていくぞー!」
ジンが朝から全力で叫ぶ。
「ジンくん、朝は静かにしようね」
エマが笑いながら言う。
「いや、朝だからこそ元気にだな!」
「元気と騒音は違うよ」
ノアが淡々と突っ込む。
「ノア、お前は朝から冷静すぎるんだよ!」
「普通」
「普通じゃねぇよ!」
朝からこの調子だ。
でも、このにぎやかさが《黎明の翼》らしい。
「ユート、今日の訓練はどうする?」
カイルが剣を肩に担ぎながら聞いてくる。
「今日は“連携訓練”を中心にする。
昨日のブラックウルフで、油断できないってわかったしな」
「だな。あれくらいなら余裕だけど……油断は禁物だ」
リオが静かに頷く。
「ユート、私たちは魔法の連携を練習したいな」
ミナが言うと、
「わ、私も……ミナさんと合わせてみたいです」
セリナが控えめに手を挙げた。
「じゃあ、ミナとセリナは魔法連携だな」
「エリオットくんは?」
「ぼ、僕は……強化魔法の精度を上げたいです」
「いいね。中衛の要だからな」
後衛組も動き出す。
「ルナちゃん、幻術の練習しよ!」
「うん……エマが爆発しないなら」
「しないよ! 今日はしないよ!」
「“今日は”って言うなよ……」
レオンが苦笑する。
「ピコ、今日もがんばろうな!」
「ピィ!」
十二人がそれぞれ準備を始める。
この光景を見るだけで、胸が熱くなる。
◆
「よし、まずは本当の戦闘だと思って動く練習をしよう。
前衛・中衛・後衛、それぞれ役割を意識して動くぞ」
「了解!」
「任せて!」
「ピィ!」
俺たちは三隊に分かれ、広い草原へ散開した。
◆
「ユート、今日は俺が一番動くからな!」
「カイル、張り切りすぎて転ぶなよ」
「転ばねぇよ!」
「ジンは突っ込みすぎるなよ」
「わかってるって!」
「わかってない顔してるぞ」
「ノアかよ!」
リオは静かに木刀を構える。
「ユート、今日は“型”を崩さずに動くことを意識する」
「了解」
◆
「ミナさん、合わせます」
「うん、セリナちゃん。タイミングは私が合わせるよ」
「エリオットくん、強化お願い」
「は、はい! 任せてください!」
「ノアくんは……」
「勝手にやる」
「……うん」
◆
「ルナちゃん、幻術で相手の動き止めて!」
「わかった……」
「テオ、ピコの援護頼む」
「任せて! ピコ、いくぞ!」
「ピィ!」
「エマ、爆発は……」
「しないよ! 今日はしないよ!」
「……信じる」
レオンが小さくため息をついた。
◆
「さっきブラックウルフを見つけたから、おびき寄せてきた。練習を生かして戦おう。
じゃあ――突撃!」
俺の合図で、十二人が一斉に動いた。
前衛が突っ込み、
中衛が魔法を構え、
後衛が援護の準備をする。
「ミナ、風を!」
「うん! 《ウィンド・ショット》!」
「セリナ、氷で足止め!」
「《アイス・バインド》!」
風と氷が交差し、前衛の動きをサポートする。
「エリオット、強化!」
「《マジック・ブースト》!」
俺とカイルの身体が淡く光る。
「ジン、突っ込みすぎるなよ!」
「わかってるって!」
「わかってないだろ!」
「うるせぇ!」
「ルナ、幻術!」
「……《幻蝶》」
光の蝶が舞い、視界を乱す。
「レオン、狙撃!」
「了解……《スナイプショット》!」
「テオ、援護!」
「ピコ、火球!」
「ピィ!」
十二人の動きが、少しずつ噛み合っていく。
――これだ。
これが《黎明の翼》の強さだ。
◆
「ふぅ……いい動きだったな」
俺が言うと、
「ユート、俺どうだった!?」
「ジンは……まあ、いつも通りだな」
「なんだよそれ!」
「カイルは動きが速くなってる」
「だろ!? もっと速くなるからな!」
「リオは安定してた」
「型は裏切らない」
中衛組も集まってくる。
「ミナさん、合わせやすかったです」
「セリナちゃんもすごかったよ」
「エリオットくん、強化魔法完璧だったよ」
「ほ、本当ですか……!」
「ノアくんは……」
「普通」
「普通じゃないよね!?」
エマが突っ込む。
後衛組も笑いながら集まる。
「ルナちゃんの幻術、すごかった!」
「……ありがと」
「ピコ、今日もがんばったな!」
「ピィ!」
「エマ、爆発しなかったな」
「今日はね!」
十二人の笑い声が草原に響く。
――これだ。
これが俺たちのギルドだ。
足跡の不穏さはまだ残っている。
でも、今日は一旦練習に集中しよう。
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