表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/71

56.出発

昨日寝落ちしてました、すいません。

あと、書き方を結構変えました。


変更

ホーンラビットのステータスを少し変更しました。

夏の朝は、街の喧騒が薄れていくほどに、空気が澄んでいく。

 蝉の声が遠くで鳴き、草の匂いが風に乗って流れてきた。


「よーし! ついに始まったな、夏の強化期間!」

 先頭で両手を伸ばして叫んだのは、体術バカのジンだ。


「ジン、朝からうるさい」

 ノアが淡々と突っ込む。黒いローブを揺らしながら、まるで温度のない声で。


「うるさくねぇよ! 元気が一番だろ!」

「音量の問題」

「ノアくん、そこは“元気だね”って言ってあげようよ」

 エマが笑いながら言う。腰の薬瓶がカチャカチャ揺れている。


「エマ、爆発物が揺れてるぞ……」

「大丈夫大丈夫! 今日は爆発しないから!」

「“今日は”って言うなよ……」

 俺は思わずため息をついた。


そんな俺の横で、ミナがくすっと笑う。

「ユート、みんな元気だね」


「まあな。……ミナは大丈夫か? 荷物重くない?」

「うん、大丈夫。ありがとう」


ミナの笑顔は、夏の光より柔らかい。

 その笑顔を見ると、胸の奥が少し軽くなる。



前衛を歩くのは、俺・ジン・カイル・リオの四人だ。


「ユート、今日こそ勝負しようぜ」

 カイルがニッと笑う。短髪が風に揺れ、腰の細身の剣がきらりと光った。


「勝負って……歩きながらするもんじゃないだろ」

「いや、気持ちの勝負だ! 剣術二位の俺が、いつまでもユートに負けっぱなしじゃいられないからな!」


「カイル、焦る必要はない」

 リオが落ち着いた声で言う。木刀を背負い、姿勢が美しい。

「剣は“型”だ。急ぐほど崩れる」


「リオは相変わらず真面目だなぁ」

「真面目で何が悪い」

「悪くないけどさ!」


前衛は前衛でにぎやかだ。



中衛を歩くのは、ミナ・セリナ・エリオット・ノア。


「ミナさんの精霊魔法……本当に綺麗でした」

 銀髪のセリナが、少し照れながら言う。

 彼女の周囲の空気は、ほんのり冷たい。


「ありがとう、セリナちゃん。セリナちゃんの氷魔法もすごかったよ」

「い、いえ……まだまだです。でも、いつか一緒に練習したいです」


「もちろん!」


ミナとセリナの会話は、聞いているだけで和む。


一方、エリオットとノアは――


「ノアくん、魔力の流れが……その、普通じゃない気が……」

「普通だよ」

「え、でも……」

「普通」

「……そ、そうなんだ……」


エリオットが困っている。

 ノアは本当に“普通”なのか、俺にもよくわからない。



後衛は、ルナ・テオ(+ピコ)・エマ・レオン。


「ルナちゃん、幻術ってどんな感じなの?」

 エマが興味津々で聞く。


「ん……見せてもいいけど、怖くないやつにするね」

 ルナが指をひらりと動かすと、

 草原の上に小さな光の蝶が舞い始めた。


「わぁ……綺麗……!」

「ピィ!」

 テオの肩のピコが嬉しそうに跳ねる。


「テオ、ピコは今日も元気だな」

 レオンが微笑む。背中の弓が揺れた。


「ピコはいつでも元気! な、ピコ!」

「ピィ!」


後衛は後衛で、のんびりとした空気が流れていた。



十二人で歩く道は、ただの移動なのに、どこか楽しい。

 夏の空は青く、雲がゆっくりと流れている。


――この夏で、絶対に強くなる。


胸の奥で、静かにそう誓った。



しばらく歩いたところで、俺は仲間たちに声をかけた。


「そろそろ休憩しよう。水分補給もしておきたいし」


「賛成〜!」

 真っ先に地面へ座り込んだのはジンだ。

 あいつは体力があるくせに、こういう時だけ妙に早い。


「ジンくん、まだ全然歩いてないよ?」

 エマが笑いながら水筒を渡す。


「いや、歩いたって! 俺は繊細なんだよ!」

「繊細なやつは“繊細”って叫ばないと思うけど」

 ミナがくすっと笑った。


「ミナさんの言う通りです」

 セリナが静かに頷く。

 その周囲の空気がほんのり冷えて、夏の暑さが和らぐ。


「セリナちゃん、涼しい……助かる」

「えっ……あ、すみません、無意識で……」

「いや、むしろありがたいよ」


俺がそう言うと、セリナは少し照れたように俯いた。



「ユート、これ飲む?」

 ミナが俺に水筒を差し出す。


「ああ、ありがとう」


水を飲むと、喉を通る冷たさが心地よい。

 ミナは俺の隣に座り、空を見上げた。


「……夏の空って、なんか好きだな」


「どうして?」


「なんかね、“これから何かが始まる”って感じがするから」


ミナの言葉に、俺は少しだけ胸が熱くなった。


「……そうだな。俺もそう思うよ」



一方その頃、後衛組は――


「ピコ、ほら、これ食べる?」

「ピィ!」

 テオが小さな干し肉を差し出すと、ピコが嬉しそうに食べる。


「ピコって何食べても元気だよな」

 レオンが笑う。


「ピコは最強だからな!」

「いや、最強は言いすぎだろ」

「ピィ!?」

「ほら、ピコが怒った」

「怒ってないよ!?」


ルナはその横で、光の蝶をふわふわと飛ばしていた。


「ルナ、それ綺麗だな」

「ん……ありがとう。みんなが落ち着くかなって思って」


「落ち着くどころか、癒されるよ」

 エマが目を輝かせる。



中衛組は中衛組で、魔法談義が始まっていた。


「エリオットくんの魔導書、すごく古そうだね」

 ミナが覗き込む。


「え、えっと……これは、祖父の代から受け継いだもので……」

「へぇ……素敵だね」

「は、はい……!」


エリオットは顔を赤くして本を抱えた。


「ノアくんは魔導書とか使わないの?」

「使わない」

「え、でも魔法って……」

「普通に使える」

「普通……?」


ノアの“普通”は絶対普通じゃない。

 俺はそう思いながら、休憩を終えるために立ち上がった。


「よし、そろそろ行くぞー!」


「はーい!」


十二人の声が重なり、再び歩き始めた。



しばらく歩いた頃だった。


「……ん?」


俺は足を止めた。

 草むらが、わずかに揺れた気がした。


「ユート、どうしたの?」

 ミナが首を傾げる。


「なんか……動いた気がして」


「またフラグ?」

 ジンがニヤニヤしながら言う。


「ジン、黙れ」


草が、もう一度揺れた。

 今度ははっきりと。


「全員、構えろ!」


俺の声に、仲間たちが一斉に動く。


前衛が前へ、中衛が後ろへ、後衛がさらに後ろへ。

 十二人が一瞬で隊列を整えた。


「来るよ……!」

 ミナが小さく呟いた瞬間――


白い影が飛び出した。


「ホーンラビット!」


俺の視界に淡い光が走る。


◆【名前】ホーンラビット

◆【分類】獣系

◆【危険度】Fランク

◆【特徴】跳躍力/群れで行動

◆【弱点】側面・背後が弱い/魔法耐性が低い


「よっしゃ来たぁぁぁ!!」

 ジンが前に飛び出す。


「ジンくん、突っ込みすぎ!」

 エマが叫ぶ。


「大丈夫だって! 殴ればなんとかなる!」


「いや、なんとかならない時もあるだろ!」

 俺が叫ぶが、ジンは聞いていない。


「カイル、リオ! ジンのフォロー頼む!」

「了解!」

「任せろ」


三人が前衛でホーンラビットを囲む。


「跳ぶぞ、左だ!」

 ノアが冷静に言う。


「ノアくん、なんでわかるの!?」

「癖」

「癖!?」


ホーンラビットが跳ねた瞬間――


「ミナ!」

「うん! 《ウィンド・ショット》!」


風の弾丸が放たれ、ホーンラビットの足元を撃ち抜く。


「ナイス!」

「ミナさんすごい……!」

 セリナが感嘆の声を漏らす。


「エリオット、援護魔法!」

「は、はい! 《マジック・ブースト》!」


前衛三人の身体が淡く光る。


「よっしゃあああ!!」

 ジンが拳を構え――


「ジン、倒すな! 弱らせるだけでいい!」

「えぇぇぇぇぇ!?」


「素材が欲しいんだよ!」

「そっちかよ!!」


ジンが泣きそうな声を出しながら、拳の力を弱める。


「じゃあ……これくらいで!」

 ドゴッ!


「弱めてないだろ!!」

 俺とカイルとリオが同時に叫んだ。


ホーンラビットはその場に倒れ込んだ。


「……討伐完了だな」


「ジンくん、加減しようね?」

 エマが微笑む。


「む、難しいんだよ……!」


十二人の笑い声が草原に響いた。



「ユート、ちょっと来てくれ」


ノアが草むらの奥を見つめていた。


「どうした?」


ノアが指差した先には、地面に深く刻まれた“何かの跡”があった。


「……でかいな」

 リオが低く呟く。


「ホーンラビットのじゃないよね?」

 ミナが不安そうに言う。


「違う。大きさが全然違う」

 俺は跡に手をかざした。


蹄のようにも見えるが、形が歪だ。

 何より――重い。


「ユート……なんか、嫌な感じがする」

 ミナが袖を掴む。


「俺もだ」


「これ……Fランクじゃないよね?」

 エリオットが震えた声で言う。


「少なくとも、ホーンラビットの仲間じゃない」

 ノアが静かに言った。


「ユート、どうする?」

 カイルが問う。


「予定通り緑風の丘へ向かう。でも……全員、気を引き締めていこう」


十二人全員が頷いた。



歩き続けると、視界が一気に開けた。


「……見えてきた」

 ミナが指差す。


そこには、緑の丘が広がっていた。

 風が草を揺らし、太陽の光がきらきらと反射している。


「ここが……緑風の丘か」

 俺は息を呑んだ。


「よーし! ここで強くなるぞ!」

 ジンが拳を突き上げる。


「ジンくん、まずは落ち着こうね」

「なんでだよ!」


「でも……本当に綺麗だね」

 ミナが微笑む。


「うん。ここなら、きっと強くなれる」


夏の風が吹き抜ける。

 その風は、どこか新しい冒険の始まりを告げているようだった。


感想、ブックマーク、評価、リアクション、お願いします!!

誤字報告や文法がおかしいなども是非!!!


あと魔物のステータスはユートがこっそり、《原初魔法》のもっとも簡単な《鑑定》でみてます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ