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54.ギルド対決の余韻

短めです。

黒曜の盾の勝利で幕を閉じたギルド対決。

観客席の熱狂はまだ残っているが、

ユートたちはゆっくりと出口へ向かって歩き出していた。


ミナは胸の前で手をぎゅっと握りしめ、

まだ興奮が冷めない様子だ。


「……ユート……

 本当に、すごかったね……

 あんな戦い、初めて見た……」


ユートは静かに頷く。


「うん。

 あれが……上級生の本気なんだな」


ジンが肩を組んでくる。


「お前、途中からずっと拳握ってたよな?

 燃えてたんだろ?」


「……まあな」


ユートは苦笑したが、

胸の奥はまだ熱く、ざわついていた。


(あの舞台に……俺たちも立つ。

 絶対に)


ノアが横から冷静に言う。


「でも、現実的に考えると……

 今の私たちじゃ、あのレベルには遠いよ」


「わかってるよ」


ユートは素直に頷いた。


「だからこそ、強くなりたいんだ」


ミナがユートの袖をそっと掴む。


「……ユートなら、きっとなれるよ」


その言葉に、ユートの胸が少しだけ軽くなる。



昇竜の誓団の一団は、

観客席の上段からゆっくりと退場していた。


その中心にいるアレンは、

仲間たちと談笑しながらも、

ほんの一瞬だけユートの背中を見つめた。


(……やっぱり、すごいな)


ユートの横顔。

戦場を見つめる眼差し。

拳を握りしめていた姿。


アレンは胸の奥がざわつくのを感じた。


(あの人は……きっと、もっと強くなる。

 俺なんかより、ずっと先へ行く)


仲間の一人が声をかける。


「アレン?どうしたんだ?」


「……ううん、なんでもないよ」


アレンは微笑んだ。


だがその瞳の奥には、

静かに燃える決意が宿っていた。


(追いつきたい。

 あの背中に……いつか)


まだ声をかける勇気はない。

まだ“並ぶ資格”もない。


だからこそ、アレンは胸の中で誓う。


(俺も……強くならなきゃ)



学園の石畳を歩きながら、

黎明の翼のメンバーは自然と戦いの話に戻していた。


ジンが興奮気味に言う。


「黒曜強化ゴーレム、やべぇよな!

 あれ、どうやって作ってんだ?」


ノアが淡々と答える。


「黒曜石の魔力伝導率と、

 ゴーレム核の魔力圧縮率の問題だと思う。

 でも、あれを扱えるのは相当な技量が必要」


「へぇ……」


ミナは少し不安そうにユートを見る。


「……ユート。

 私たち、本当に……あそこまで行けるのかな……?」


ユートは立ち止まり、

ミナの頭にそっと手を置いた。


「行けるよ。

 俺たちなら」


ミナの頬が少し赤くなる。


「……うん」


その様子を見て、ノアが小さく微笑む。


「……まあ、ユートが言うなら大丈夫でしょ」


ジンも笑う。


「だな!

 俺たちのリーダーだしな!」


ユートは照れくさそうに頭をかいた。


(……俺が、みんなを強くする。

 そのために……もっと強くならなきゃ)



黎明の翼のギルドハウスは、

学園の外れにある小さな建物だ。


まだ新しく、

家具も最低限しかないが、

それでも彼らにとっては“拠点”だった。


玄関を開けると、

ふわりと木の香りが漂う。


ミナが靴を脱ぎながら言う。


「ただいま……」


ユートも続く。


「ただいま」


ジンが大声で言う。


「腹減ったー!なんか食おうぜ!」


ノアが呆れたように言う。


「……さっき食べたばかりでしょ」


カイルが笑う。


「ジンは燃費悪いからなぁ」


エマが台所から顔を出す。


「ご飯なら作ってあるよー!」


ジンが飛び跳ねる。


「神かよ!!」


ミナがくすっと笑う。


「エマちゃん、ありがとう」


エマは照れくさそうに笑った。


「みんなのためだしね!」



テーブルに並ぶ料理は、

エマが作った温かいスープとパン、

そして簡単なサラダ。


ジンが一口食べて叫ぶ。


「うまっ!!」


ミナも嬉しそうに食べる。


「エマちゃん、料理上手だね……!」


エマは照れながら言う。


「えへへ……ありがとう」


ユートは静かに食べながら、

今日の戦いを思い返していた。


(……強くなりたい。

 もっと、もっと)


その表情を見て、ミナが心配そうに声をかける。


「ユート……?」


「ん?ああ、大丈夫」


ユートは笑ってみせた。


だがミナは気づいていた。


(ユート……無理してる)



食事が終わり、

みんなが部屋に戻った後。


ユートは一人、庭に出て木剣を握った。


月明かりが静かに照らす中、

ユートは黙々と剣を振る。


――ザッ。


――ザッ。


――ザッ。


静かな音だけが夜に響く。


(強くなりたい。

 あの舞台に立ちたい。

 ミナを守りたい。

 仲間を守りたい)


その想いが、剣に乗る。


ふと、気配を感じて振り返ると――


ミナが立っていた。


「……ユート。

 まだ練習してるの?」


「うん。

 なんか……落ち着かなくてさ」


ミナは少しだけ笑った。


「ユートらしいね」


そして、そっと近づく。


「……私も、強くなりたい。

 ユートの隣に立てるくらいに」


ユートは目を見開いた。


「ミナ……」


「だから……一緒に頑張ろう?」


ユートは静かに頷いた。


「……ああ。

 一緒に強くなろう」


二人の影が、月明かりの下で重なる。



学園の屋根の上。

アレンは一人、夜風に吹かれながら

ユートたちのギルドハウスを見つめていた。


(……やっぱり、すごいな。

 ユートも……ミナさんも)


胸の奥が熱くなる。


(俺も……負けてられない)


アレンは拳を握りしめ、

夜の闇へと消えていった。


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