53.ギルド対決観戦
ながーい
学園最大の競技場は、今日だけはまるで別世界だった。
観客席はすでに満員。
一年生から三年生まで、ほぼ全員が集まっている。
その熱気は凄まじいが――
戦場には一切届かない。
透明な巨大魔法障壁が、
戦場と観客席を完全に隔離しているからだ。
音は遮断され、
戦場は“完全な静寂”に包まれている。
だが、透明な障壁越しに戦場ははっきり見える。
さらに上空には巨大な魔法スクリーンが浮かび、
戦場の様子を拡大して映し出していた。
ミナが息を呑む。
「……すごい……
本当に……こんなに大きいんだ……」
ジンが興奮して身を乗り出す。
「うおおっ!
これがギルド対決のフィールドかよ!」
ノアが淡々と説明する。
「障壁は完全防音。
戦っている人たちは、観客の声も実況も聞こえない。
だからこそ、集中力と判断力が試される」
ユートは静かに戦場を見つめた。
(……これが、上級生の戦いの舞台……
俺たちがいつか立つ場所……)
◇
魔法拡声器を持ったミレイが立ち上がる。
「みなさーーーん!!
本日はお待ちかね!!
ギルド対決、黒曜の盾 vs 白銀の誓いの試合です!!」
観客席が爆発するように沸き立つ。
だが、その声は戦場には届かない。
ロウが冷静に言う。
「今回の対決は陣取り戦。
小砦9、大砦3、城1。
旗を奪い合い、ポイントを競う形式です
ちなみに、1ランク差の対決の場合、最初からランクの低いギルドに3pt支給されます」
ミレイが続ける。
「そして今回の注目はこれ!!
黒曜の盾がついにAランクへ挑戦するということ!!」
観客席がさらに盛り上がる。
◇
重い足音が響く。
黒い鎧をまとった十五名の戦士たちが、整然と入場してくる。
先頭に立つのは――
グラディウス・ハーケン
黒曜石のような黒い盾を背負い、
無言で戦場を見渡すその姿は、まさに“動く城壁”。
ミレイが叫ぶ。
「黒曜の盾の鉄壁リーダー、グラディウス・ハーケン!!」
ロウが補足する。
「守りの強さは学園でも随一。
彼の指揮は精密で、無駄がない」
ユートはその姿に息を呑んだ。
(……あれがBランクのリーダー……
俺たちとは、まだまだ差がある)
◇
次に、白銀の光が差し込むように華やかなギルドが入場する。
白銀の鎧、光魔法のエフェクト。
観客席から歓声が上がる。
先頭に立つのは――
リュシアン・クロード
優雅な動きで剣を掲げ、観客に微笑む。
ミレイが叫ぶ。
「白銀の誓いのリーダー、リュシアン様の登場です!!」
ロウが言う。
「攻撃力、機動力、判断力。
全てが高水準。
まさにAランクの象徴ですね」
ミナがぽつりと言う。
「……すごいね……」
ユートは苦笑した。
◇
ミレイが魔法で立体図を映し出す。
「小砦9、大砦3、城1!
配置は完全自由!
そして各ギルドには――
土ゴーレム10
鉄ゴーレム5
ダイヤモンドゴーレム1
が支給されます!!」
ロウが補足する。
「守りの黒曜、攻めの白銀。
どちらも戦略が大きく分かれるでしょう」
ユートは息を呑んだ。
(……これが本物のギルド戦……)
◇
ミレイの声が響く。
「それでは――
黒曜の盾 vs 白銀の誓い!
ギルド対決、開始ーーーっ!!」
魔法障壁が光り、
戦場は完全な静寂に包まれた。
◇
開始直後、黒曜の盾は驚くほど整然と動いた。
「第一班、中央小砦を固めろ。
第二班、左翼の大砦を守れ。
第三班、城の防衛線を構築する」
グラディウスの指示に、十五名が即座に動く。
土ゴーレムが小砦前に並び、
鉄ゴーレムが大砦を守り、
ダイヤモンドゴーレムが城の階段に配置される。
ノアが感心したように言う。
「……完璧な連携だ」
ユートは息を呑む。
(……これがBランクの組織力……)
◇
一方、白銀の誓いは――
「前衛、突撃。
中衛、魔法支援。
後衛は敵陣へ回り込め」
砦を守る気はまったくない。
十五名が一斉に前へ走り出す。
ジンが叫ぶ。
「うおっ!?
砦ほったらかしじゃねぇか!」
カイルが驚く。
「攻める気満々だな……!」
◇
白銀の誓いの前衛が突撃し、
光の剣が閃く。
だが――
黒曜の盾の前衛が盾を重ねた瞬間、
光の剣は完全に止められた。
ガァァァンッ!!
観客席が揺れるほどの衝撃。
だが戦場は静寂のまま。
ミナが息を呑む。
「……止めた……!」
ユートは目を見開く。
(……守りの強さが異常だ……)
◇
ノアが指差す。
「……右翼だ。
白銀の誓いの奇襲班が、小砦を三つ同時に狙ってる」
ミナが驚く。
「えっ!?
そんな……!」
白銀の誓いの後衛が高速で移動し、
黒曜の盾の薄い右翼を突破。
小砦の旗が一本、奪われる。
ユートは息を呑む。
(……これがAランクの戦い方……
正面だけじゃない。
戦場全体を使っている)
◇
中央では黒曜の盾が押し返し、
左翼では大砦を守り切っている。
だが右翼が薄い。
その時――
黒い魔力が中央に渦巻いた。
ミナが震える。
「……なに、あれ……?」
ノアが目を見開く。
「黒曜の盾の切り札……
“黒曜強化ゴーレム”だ」
巨大な黒いゴーレムが立ち上がる。
通常のゴーレムよりも二回り大きく、
黒曜石のような光沢を放つ。
ユートは息を呑んだ。
(……あれが黒曜の盾の本気……)
◇
グラディウスが静かに言う。
「――行くぞ」
黒曜強化ゴーレムが地面を踏みしめ、
白銀の誓いの中央へ突撃。
白銀の誓いの前衛が驚く。
「なっ……!?
速い……!」
黒曜強化ゴーレムの拳が振り下ろされ、
白銀の誓いの前衛が吹き飛ぶ。
観客席が沸き立つ。
だが戦場は静寂のまま。
ユートは拳を握った。
(……これが、守りのギルドの反撃……!)
少しして、黒曜強化ゴーレムが大砦の旗をもぎとった。
◇
ロウが驚いた声を上げる。
「……白銀の誓いの城、あれ……前線に置いてますね」
ミレイが叫ぶ。
「えええええ!?
なんと白銀の誓い、城を“前線ギリギリ”に配置していたぁぁぁ!!」
観客席がざわつく。
ユートは目を見開いた。
(……そんなこと、できるのか……!?)
ノアが冷静に言う。
「白銀の誓いは“攻め切る”つもりだ
守る気はない
だから城を前に置いた
奪われる前に勝つつもりなんだ」
ミナが震える。
「そんな……大胆すぎるよ……!」
◇
一方、黒曜の盾の城は――
自陣の最奥、ゴーレムと守護魔法で固められていた。
ユートは息を呑んだ。
(……守りの黒曜
攻めの白銀
城の配置だけで、理念が分かる……)
◇
白銀の誓いの奇襲班が、
黒曜の盾の城へ向かって走り出す。
ノアが言う。
「……白銀の誓いの狙いは“城の一階旗”だ
5pt
これを取れば一気に逆転できる」
ユートは息を呑んだ。
(……黒曜の盾、守り切れるか……!?)
◇ 黒曜の盾の防衛線
城の階段にはダイヤモンドゴーレムが立ち塞がり、
守護魔法使いが障壁を張る。
白銀の誓いの前衛が突撃する。
だが――
黒曜の盾の第三陣が立ち塞がる。
グラディウスの声が響く。
「――ここは通さん」
白銀の誓いの攻撃が、
黒曜の盾の防衛線にぶつかる。
火花が散り、
魔法が炸裂し、
盾が軋む。
だが戦場は静寂のまま。
ミナが震える声で言う。
「……すごい……
本当に……“戦争”みたい……」
ユートは拳を握った。
(……俺たちも、いつか……)
◇
中央では黒曜強化ゴーレムが暴れ
左翼では大砦を巡る攻防が続き
右翼では白銀の誓いが小砦を奪い続け
城前では両ギルドが激突する
戦場全体が動き始める。
ロウが言う。
「……これは、どちらが勝つか分からない
黒曜の盾は守り切れば勝てる
白銀の誓いは攻め切れば勝てる
理念のぶつかり合いだ」
ミレイが叫ぶ。
「残り時間、あと10分ーーーっ!!
勝負はここからです!!」
ユートは息を呑んだ。
(……どっちが勝つ……!?)
◆
白銀の誓いの奇襲班が、
黒曜の盾の城の一階を突破。
ミナが叫ぶ。
「一階の旗が……!」
ノアが言う。
「……白銀の誓い、5pt獲得
そろそろ逆転する」
ユートは拳を握る。
(……黒曜の盾、どうする……!?)
白銀の誓いはそのまま二階へ突撃。
だが――
黒曜の盾の切り札、
黒曜強化ゴーレムが城へ戻ってきた。
ジンが叫ぶ。
「戻ってきた!?
あいつ、中央から戻ってきたのかよ!!」
黒曜強化ゴーレムが階段を塞ぎ、
白銀の誓いの奇襲班を押し返す。
ノアが言う。
「……黒曜の盾は“城を守るために”強化ゴーレムを戻した
攻めより守りを優先したんだ」
ユートは息を呑んだ。
(……これが黒曜の盾の理念……
“守り切って勝つ”)
◆
白銀の誓いは最後の総攻撃を仕掛ける。
黒曜の盾は全力で守る。
観客席は熱狂し、
戦場は静寂のまま。
ミレイが叫ぶ。
「残り30秒ーーーっ!!」
ロウが言う。
「……黒曜の盾が守り切れば勝ち
白銀の誓いが突破すれば勝ち
最後の一瞬まで分からない」
ユートは息を呑んだ。
(……どっちだ……!?)
◆ 第八章:決着
白銀の誓いの前衛が、
黒曜の盾の最後の防衛線へ突撃する。
リュシアンが剣を掲げる。
「光よ――」
グラディウスが盾を構える。
「来い」
光の剣と黒い盾がぶつかる。
ガァァァァァンッ!!
衝撃波が走り、
白銀の誓いの前衛が押し返される。
ミレイが叫ぶ。
「残り10秒!!」
白銀の誓いの奇襲班が横から回り込む。
だが黒曜強化ゴーレムが立ち塞がる。
「残り5秒!!」
リュシアンが最後の一撃を放つ。
グラディウスが盾を振り上げる。
「残り――」
ミレイ「――0!!
試合終了ーーーっ!!」
◆
ロウが静かに言う。
「……勝者、黒曜の盾」
観客席が爆発するように沸き立つ。
ユートは息を呑んだ。
(……守り切った……
黒曜の盾が……勝った……)
ミナが震える声で言う。
「……すごかった……
本当に……すごかった……」
ノアが静かに言う。
「守りの理念が、攻めの理念に勝った
黒曜の盾の勝利だよ」
ユートは拳を握った。
(……いつか、俺たちも……
あの舞台に立つ)
ギルド対決は、どちらかのギルドが相手に対戦したいということを伝え、それに同意したらギルド管理局にそれを伝えて、対戦日時が決められます。
あと結局今日は二話しか投稿できませんでしたm(__)m
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誤字報告や文法がおかしいなども是非!!!




