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53.ギルド対決観戦

ながーい

学園最大の競技場は、今日だけはまるで別世界だった。


観客席はすでに満員。

一年生から三年生まで、ほぼ全員が集まっている。

その熱気は凄まじいが――

戦場には一切届かない。


透明な巨大魔法障壁が、

戦場と観客席を完全に隔離しているからだ。


音は遮断され、

戦場は“完全な静寂”に包まれている。


だが、透明な障壁越しに戦場ははっきり見える。

さらに上空には巨大な魔法スクリーンが浮かび、

戦場の様子を拡大して映し出していた。


ミナが息を呑む。


「……すごい……

 本当に……こんなに大きいんだ……」


ジンが興奮して身を乗り出す。


「うおおっ!

 これがギルド対決のフィールドかよ!」


ノアが淡々と説明する。


「障壁は完全防音。

 戦っている人たちは、観客の声も実況も聞こえない。

 だからこそ、集中力と判断力が試される」


ユートは静かに戦場を見つめた。


(……これが、上級生の戦いの舞台……

 俺たちがいつか立つ場所……)



魔法拡声器を持ったミレイが立ち上がる。


「みなさーーーん!!

 本日はお待ちかね!!

 ギルド対決、黒曜の盾 vs 白銀の誓いの試合です!!」


観客席が爆発するように沸き立つ。

だが、その声は戦場には届かない。


ロウが冷静に言う。


「今回の対決は陣取り戦。

 小砦9、大砦3、城1。

 旗を奪い合い、ポイントを競う形式です

 ちなみに、1ランク差の対決の場合、最初からランクの低いギルドに3pt支給されます」


ミレイが続ける。


「そして今回の注目はこれ!!

 黒曜の盾がついにAランクへ挑戦するということ!!」


観客席がさらに盛り上がる。



重い足音が響く。

黒い鎧をまとった十五名の戦士たちが、整然と入場してくる。


先頭に立つのは――


グラディウス・ハーケン


黒曜石のような黒い盾を背負い、

無言で戦場を見渡すその姿は、まさに“動く城壁”。


ミレイが叫ぶ。


「黒曜の盾の鉄壁リーダー、グラディウス・ハーケン!!」


ロウが補足する。


「守りの強さは学園でも随一。

 彼の指揮は精密で、無駄がない」


ユートはその姿に息を呑んだ。


(……あれがBランクのリーダー……

 俺たちとは、まだまだ差がある)



次に、白銀の光が差し込むように華やかなギルドが入場する。


白銀の鎧、光魔法のエフェクト。

観客席から歓声が上がる。


先頭に立つのは――


リュシアン・クロード


優雅な動きで剣を掲げ、観客に微笑む。


ミレイが叫ぶ。


「白銀の誓いのリーダー、リュシアン様の登場です!!」


ロウが言う。


「攻撃力、機動力、判断力。

 全てが高水準。

 まさにAランクの象徴ですね」


ミナがぽつりと言う。


「……すごいね……」


ユートは苦笑した。



ミレイが魔法で立体図を映し出す。


「小砦9、大砦3、城1!

 配置は完全自由!

 そして各ギルドには――


土ゴーレム10


鉄ゴーレム5


ダイヤモンドゴーレム1


が支給されます!!」


ロウが補足する。


「守りの黒曜、攻めの白銀。

 どちらも戦略が大きく分かれるでしょう」


ユートは息を呑んだ。


(……これが本物のギルド戦……)



ミレイの声が響く。


「それでは――

 黒曜の盾 vs 白銀の誓い!

 ギルド対決、開始ーーーっ!!」


魔法障壁が光り、

戦場は完全な静寂に包まれた。



開始直後、黒曜の盾は驚くほど整然と動いた。


「第一班、中央小砦を固めろ。

 第二班、左翼の大砦を守れ。

 第三班、城の防衛線を構築する」


グラディウスの指示に、十五名が即座に動く。


土ゴーレムが小砦前に並び、

鉄ゴーレムが大砦を守り、

ダイヤモンドゴーレムが城の階段に配置される。


ノアが感心したように言う。


「……完璧な連携だ」


ユートは息を呑む。


(……これがBランクの組織力……)



一方、白銀の誓いは――


「前衛、突撃。

 中衛、魔法支援。

 後衛は敵陣へ回り込め」


砦を守る気はまったくない。

十五名が一斉に前へ走り出す。


ジンが叫ぶ。


「うおっ!?

 砦ほったらかしじゃねぇか!」


カイルが驚く。


「攻める気満々だな……!」



白銀の誓いの前衛が突撃し、

光の剣が閃く。


だが――


黒曜の盾の前衛が盾を重ねた瞬間、

光の剣は完全に止められた。


ガァァァンッ!!


観客席が揺れるほどの衝撃。

だが戦場は静寂のまま。


ミナが息を呑む。


「……止めた……!」


ユートは目を見開く。


(……守りの強さが異常だ……)



ノアが指差す。


「……右翼だ。

 白銀の誓いの奇襲班が、小砦を三つ同時に狙ってる」


ミナが驚く。


「えっ!?

 そんな……!」


白銀の誓いの後衛が高速で移動し、

黒曜の盾の薄い右翼を突破。


小砦の旗が一本、奪われる。


ユートは息を呑む。


(……これがAランクの戦い方……

 正面だけじゃない。

 戦場全体を使っている)



中央では黒曜の盾が押し返し、

左翼では大砦を守り切っている。


だが右翼が薄い。


その時――


黒い魔力が中央に渦巻いた。


ミナが震える。


「……なに、あれ……?」


ノアが目を見開く。


「黒曜の盾の切り札……

 “黒曜強化ゴーレム”だ」


巨大な黒いゴーレムが立ち上がる。

通常のゴーレムよりも二回り大きく、

黒曜石のような光沢を放つ。


ユートは息を呑んだ。


(……あれが黒曜の盾の本気……)




グラディウスが静かに言う。


「――行くぞ」


黒曜強化ゴーレムが地面を踏みしめ、

白銀の誓いの中央へ突撃。


白銀の誓いの前衛が驚く。


「なっ……!?

 速い……!」


黒曜強化ゴーレムの拳が振り下ろされ、

白銀の誓いの前衛が吹き飛ぶ。


観客席が沸き立つ。

だが戦場は静寂のまま。


ユートは拳を握った。


(……これが、守りのギルドの反撃……!)


少しして、黒曜強化ゴーレムが大砦の旗をもぎとった。



ロウが驚いた声を上げる。


「……白銀の誓いの城、あれ……前線に置いてますね」


ミレイが叫ぶ。


「えええええ!?

 なんと白銀の誓い、城を“前線ギリギリ”に配置していたぁぁぁ!!」


観客席がざわつく。


ユートは目を見開いた。


(……そんなこと、できるのか……!?)


ノアが冷静に言う。


「白銀の誓いは“攻め切る”つもりだ

 守る気はない

 だから城を前に置いた

 奪われる前に勝つつもりなんだ」


ミナが震える。


「そんな……大胆すぎるよ……!」



一方、黒曜の盾の城は――

自陣の最奥、ゴーレムと守護魔法で固められていた。


ユートは息を呑んだ。


(……守りの黒曜

 攻めの白銀

 城の配置だけで、理念が分かる……)



白銀の誓いの奇襲班が、

黒曜の盾の城へ向かって走り出す。


ノアが言う。


「……白銀の誓いの狙いは“城の一階旗”だ

 5pt

 これを取れば一気に逆転できる」


ユートは息を呑んだ。


(……黒曜の盾、守り切れるか……!?)


◇ 黒曜の盾の防衛線

城の階段にはダイヤモンドゴーレムが立ち塞がり、

守護魔法使いが障壁を張る。


白銀の誓いの前衛が突撃する。


だが――


黒曜の盾の第三陣が立ち塞がる。


グラディウスの声が響く。


「――ここは通さん」


白銀の誓いの攻撃が、

黒曜の盾の防衛線にぶつかる。


火花が散り、

魔法が炸裂し、

盾が軋む。


だが戦場は静寂のまま。


ミナが震える声で言う。


「……すごい……

 本当に……“戦争”みたい……」


ユートは拳を握った。


(……俺たちも、いつか……)



中央では黒曜強化ゴーレムが暴れ

左翼では大砦を巡る攻防が続き

右翼では白銀の誓いが小砦を奪い続け

城前では両ギルドが激突する


戦場全体が動き始める。


ロウが言う。


「……これは、どちらが勝つか分からない

 黒曜の盾は守り切れば勝てる

 白銀の誓いは攻め切れば勝てる

 理念のぶつかり合いだ」


ミレイが叫ぶ。


「残り時間、あと10分ーーーっ!!

 勝負はここからです!!」


ユートは息を呑んだ。


(……どっちが勝つ……!?)



白銀の誓いの奇襲班が、

黒曜の盾の城の一階を突破。


ミナが叫ぶ。


「一階の旗が……!」


ノアが言う。


「……白銀の誓い、5pt獲得

 そろそろ逆転する」


ユートは拳を握る。


(……黒曜の盾、どうする……!?)


白銀の誓いはそのまま二階へ突撃。


だが――


黒曜の盾の切り札、

黒曜強化ゴーレムが城へ戻ってきた。


ジンが叫ぶ。


「戻ってきた!?

 あいつ、中央から戻ってきたのかよ!!」


黒曜強化ゴーレムが階段を塞ぎ、

白銀の誓いの奇襲班を押し返す。


ノアが言う。


「……黒曜の盾は“城を守るために”強化ゴーレムを戻した

 攻めより守りを優先したんだ」


ユートは息を呑んだ。


(……これが黒曜の盾の理念……

 “守り切って勝つ”)



白銀の誓いは最後の総攻撃を仕掛ける。

黒曜の盾は全力で守る。


観客席は熱狂し、

戦場は静寂のまま。


ミレイが叫ぶ。


「残り30秒ーーーっ!!」


ロウが言う。


「……黒曜の盾が守り切れば勝ち

 白銀の誓いが突破すれば勝ち

 最後の一瞬まで分からない」


ユートは息を呑んだ。


(……どっちだ……!?)


◆ 第八章:決着

白銀の誓いの前衛が、

黒曜の盾の最後の防衛線へ突撃する。


リュシアンが剣を掲げる。


「光よ――」


グラディウスが盾を構える。


「来い」


光の剣と黒い盾がぶつかる。


ガァァァァァンッ!!


衝撃波が走り、

白銀の誓いの前衛が押し返される。


ミレイが叫ぶ。


「残り10秒!!」


白銀の誓いの奇襲班が横から回り込む。


だが黒曜強化ゴーレムが立ち塞がる。


「残り5秒!!」


リュシアンが最後の一撃を放つ。


グラディウスが盾を振り上げる。


「残り――」


ミレイ「――0!!

 試合終了ーーーっ!!」



ロウが静かに言う。


「……勝者、黒曜の盾」


観客席が爆発するように沸き立つ。


ユートは息を呑んだ。


(……守り切った……

 黒曜の盾が……勝った……)


ミナが震える声で言う。


「……すごかった……

 本当に……すごかった……」


ノアが静かに言う。


「守りの理念が、攻めの理念に勝った

 黒曜の盾の勝利だよ」


ユートは拳を握った。


(……いつか、俺たちも……

 あの舞台に立つ)


ギルド対決は、どちらかのギルドが相手に対戦したいということを伝え、それに同意したらギルド管理局にそれを伝えて、対戦日時が決められます。


あと結局今日は二話しか投稿できませんでしたm(__)m

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誤字報告や文法がおかしいなども是非!!!

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