50.設立パーティー
超短めです。
カスタマイズが終わった小さな家は、狭いながらも温かい空気に包まれていた。
幻術で広く見える壁、魔導棚、魔力循環陣。仲間たちの工夫で、最初は窮屈に感じた空間が、不思議と居心地の良い場所へと変わっていた。
窓から差し込む夕陽が部屋を黄金色に染め、机や棚に置かれた小物が柔らかく輝いている。
ユートは立ち上がり、仲間たちを見渡した。
その視線に気づいたメンバーが次々と声を止め、自然と静けさが訪れる。
「みんな、ちょっと聞いてくれ」
ユートは深呼吸をして、言葉を紡いだ。
「今日から俺たちは《黎明の翼》だ。まだEランクで、家もこんなに小さい。でもここから始めるんだ」
(……ギルドマスターとして、俺が言わなきゃいけない。みんなを導くのは俺の役目だ)
「俺たちの目標は、ランクを上げていくことだ。依頼をこなし、実績を積んで、Dランク、Cランク……そしてもっと上へ。だけど、それだけじゃない」
ユートは少し言葉を切り、仲間たちの顔を一人ひとり見ていく。
ミナの真剣な瞳、リオの穏やかな笑み、ジンの闘志に燃える目、ノアの静かな視線。
その全てを確認しながら続けた。
「俺たちの方針は――誰か一人だけ弱いままにしないことだ。みんなで強くなる。誰かが取り残されるようなギルドにはしない」
ジンが拳を握る。
「おう! 全員強くなるってことだな!」
カイルが笑う。
「いいじゃん! 俺たちなら絶対できる!」
セリナは冷静に頷く。
「……確かに。強さに差があると、依頼の時に負担が偏るものね」
ユートは続ける。
「だから、訓練も依頼も、みんなで支え合う。得意なことは伸ばす、苦手なことは助け合う。そうやって全員で強くなる。それが《黎明の翼》のやり方だ」
リオが微笑む。
「いいね。仲間を大事にするギルド……僕は好きだよ」
ノアは静かに呟く。
「……一人だけ弱いままにしない。いい考えだと思う」
ユートは頷いた。
「そうだ。俺たちは一緒に強くなる。誰も置いていかない」
◇
ミナがぱっと立ち上がる。
「じゃあ……今日は設立パーティーだね!」
カイル「おお! いいな!」
ジン「肉だ! 肉を食おう!」
エマ「爆発しない料理なら任せて!」
レオン「……爆発しないでくれ」
ルナ「ふふ……楽しそう」
テオ「ピコも食べたいって!」
ピコ「ピィ!」
エリオット「ぼ、僕……お菓子作れるかも……」
セリナ「……仕方ないわね。私も手伝う」
小さな家の中で、即席のパーティーが始まった。
机の上には簡単な料理やお菓子が並び、笑い声が絶えない。
窓の外はすっかり夜になり、灯りが部屋を柔らかく照らしていた。
ミナはグラスを掲げる。
「それじゃあ……乾杯しよ!《黎明の翼》の始まりに!」
全員「乾杯!!」
◇
ジンとカイルが腕相撲を始めて大騒ぎ。
エマが作った料理をレオンが必死にチェック。
エリオットが魔法で小さな光を飛ばし、ルナがそれを幻術で彩る。
テオとピコが踊るように走り回り、ミナが笑いながら見守る。
ノアは静かに壁にもたれ、みんなの笑顔を眺めていた。
ユートはその光景を見て、胸の奥が熱くなる。
(……これが俺たちのギルドなんだな。強さだけじゃない。仲間と笑い合える場所。それが《黎明の翼》)
◇
パーティーが終わり、部屋に静けさが戻る。
窓の外には星が瞬いていた。
ユートは窓辺に立ち、空を見上げる。
(アレン……お前は《昇竜の誓団》を作った。俺たちは《黎明の翼》を作った。いつか必ず――ぶつかる時が来る)
ユートは拳を握り、静かに誓った。
「……俺たちは、みんなで強くなる。誰も置いていかない。それが《黎明の翼》だ」
最近編曲で忙しすぎて、毎日一話しか投稿できていなくて、すいません。気が向いたときに、また一気に更新していこうと思います。
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