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閑話 それぞれの想い

ちょい長めかも

新入生闘技大会が終わった翌日。 学園はまだ興奮の余韻に包まれていた。


廊下を歩けば、誰もが昨日の決勝戦の話をしている。


「ユートの最後の一撃、見たか?」

「ミナの上位精霊、あれ反則だろ……!」

「Sクラス、団体戦も優勝とか……今年の新入生どうなってんだよ」


そんな声があちこちで飛び交っていた。



アレンは朝早くから訓練場にいた。 昨日の準決勝――ミナとの戦いを思い返している。


(……あの二重結界、完全に破りきれなかった)


剣を振るたびに、 ミナの光と炎の結界が脳裏に浮かぶ。


(ユートだけじゃない。 ミナも……あの子も、間違いなく“本物”だ)


アレンは剣を握り直す。


「……負けたままで終わるつもりはない」


そこへ、同じAクラスのミリアがやってきた。


「アレン、朝から訓練?相変わらずね」


「ミリアか。君も早いな」


ミリアは苦笑しながら肩をすくめる。


「昨日のミナちゃんの精霊…… 正直、あれは反則級だったわね」


アレンは静かに頷く。


「だが、あれを使いこなせるだけの精神力がある。 あの子は……強い」


ミリアはアレンの横顔を見て、ふっと笑う。


「悔しいんでしょ?」


「……当然だ」


アレンは剣を構え直す。


「次は勝つ。 ユートにも、ミナにも」


その瞳は、昨日よりもさらに強い光を宿していた。



Bクラスの教室では、 ダグラスが机に突っ伏していた。


「うおおおお……悔しい……!」


周りのクラスメイトが笑いながら声をかける。


「お前、ユートに負けたのそんなに悔しいのかよ」

「いや、あれは仕方ないだろ。相手が悪かったって」


ダグラスは勢いよく顔を上げる。


「違うんだよ!  あいつ、強いのはわかってたけど……  あんなに強いとは思わなかったんだよ!!」


クラスメイトたちは苦笑する。


「でもさ、ダグラス。 お前、ユートに“悪くなかった”って言われてたじゃん」


「……あれは嬉しかったけどよ」


ダグラスは拳を握りしめる。


「次は勝つ。 絶対に勝つ。 あいつに一撃でも入れられるように……鍛える!」


クラスメイトたちは笑いながらも、 その目に宿る本気を感じていた。



Cクラスのリリアは、 ミナの準優勝を聞いて目を輝かせていた。


「ミナちゃん、すごい……! 上位精霊なんて、本当に呼べるんだ……!」


友達が苦笑しながら言う。


「リリアも風魔法で頑張ってたじゃん。 ミナちゃん相手にあそこまでやれたの、普通にすごいよ」


リリアは頬を赤くしながら首を振る。


「でも……もっと強くなりたい。 ミナちゃんと、また戦いたいから」


友達は笑顔で頷いた。


「じゃあ、練習付き合うよ。 次は勝てるようにね!」


リリアは嬉しそうに笑った。



レナードは図書館で魔法書を読み漁っていた。


(リオ・フェルナン…… あの“読み”は異常だ)


氷魔法は本来、 相手の動きを封じるのが得意だ。


だが――


(僕の魔法は、全部読まれていた)


レナードは本を閉じ、 静かに呟く。


「……次は、読ませない」


その瞳には、 静かな闘志が宿っていた。


学園のあちこちで、 Sクラスの話題が飛び交っていた。


「ユートの二刀、マジでやばいよな」

「ミナの上位精霊、あれどうやって呼ぶんだ?」

「リオの読み、あれ反則じゃね?」

「セリナも強かったし……Sクラス全員化け物かよ」


中にはこんな声も。


「でもさ…… あの二人、決勝戦の後に一緒に帰ってたよな?」


「えっ、マジで?  なんかいい雰囲気だったって聞いたけど……」


「……まさか、そういう関係?」


「いやいや、まだ早いだろ……多分」


そんな噂話が、 学園中に広がっていった。


夜。 アレンは一人、寮の屋上に立っていた。


月明かりが静かに照らす中、 アレンは剣を見つめる。


(ユート……  君は強い。  だが、僕は――負けるつもりはない)


ミナの上位精霊。 ユートの二刀。 リオの読み。 セリナの氷。


(Sクラス……  本当に、とんでもないクラスだ)


アレンは剣を握りしめる。


「……次は、勝つ」


その声は静かだが、 確かな決意に満ちていた。


――一方、Sクラス


新入生闘技大会が終わった翌日。 Sクラス専用ラウンジには、 大会に出場しなかったメンバーたちが集まっていた。


ユートやミナ、リオ、カイル、セリナは インタビュー対応やギルド勧誘の対応などで忙しく、 ここにはいない。


残されたメンバーは―― エリオット、ジン、ルナ、テオ、ノア、エマ、レオン。


彼らは大会に出場しなかったが、 昨日の戦いを見て、胸に様々な思いを抱えていた。



眼鏡を押し上げながら、 古い魔導書をめくるエリオット。


「……ユートくんの《心眼》、 あれ……魔力の流れを読む技術……?」


彼は昨日の決勝戦を何度も思い返していた。


「ミナさんの上位精霊…… 召喚の構造が……普通じゃない……」


隣で見ていたルナが苦笑する。


「エリオット、昨日からずっと研究してるね」


エリオットは顔を赤くしながら本を閉じる。


「だ、だって…… あんな魔法、見たことないんだ…… 僕も……もっと強くなりたい」


控えめな声だが、 その瞳には強い光が宿っていた。



ジンは腕を組み、悔しそうに唸っていた。


「くっそー! ユートのやつ、あんなに強かったのかよ!」


エマが笑いながら言う。


「ジン、悔しそうだね〜」


「そりゃ悔しいだろ! 俺も出てたら、絶対あいつと殴り合えたのに!」


レオンが冷静に突っ込む。


「いや、殴り合いにはならないと思うけど…… ユート速いし」


ジンは拳を握りしめる。


「次の大会は絶対出る! ユートと真正面から勝負するんだ!」


その声は、ラウンジ中に響いた。


「次はもうなくない......?」



ルナは窓辺に座り、 昨日の決勝戦を思い返していた。


「ミナちゃん…… あんなに強かったんだね」


ノアが隣で静かに頷く。


「上位精霊……普通じゃないよね」


ルナは自分の手を見つめる。


「幻術って…… あの二人の前じゃ、通じるのかな……?」


ノアは少し考えてから言う。


「通じるよ。 ルナの幻術は……本物だから」


ルナは驚いたようにノアを見る。


「ノアくん……ありがとう」


彼女の瞳に宿る光は、 昨日よりも強くなっていた。



テオは肩の上のピコを撫でながら言う。


「ピコ、見た? ミナちゃんの上位精霊……すごかったね!」


ピコが「ピィ!」と元気に鳴く。


エマが笑いながら近づく。


「テオも召喚術得意なんだから、 上位召喚とかできるんじゃない?」


テオは首を振る。


「まだ無理だよ…… でも、ミナちゃんを見て思ったんだ。僕も……もっと強い召喚獣を呼びたいって」


ピコが胸を張る。


「ピィ!」


テオは笑った。


「うん、ピコも一緒に強くなろうね」



ノアは黒いローブを揺らしながら、 静かに紅茶を飲んでいた。


ジンが声をかける。


「ノア、お前は悔しくないのか?」


ノアは少し考えてから答える。


「悔しいよ。 でも……僕は僕のやり方で強くなる」


エリオットが興味深そうに聞く。


「ノアくんの魔力…… 昨日、ちょっとだけ見えたけど…… あれ、本当に“無属性”なの……?」


ノアは微笑む。


「さぁ……どうだろうね」


その言葉に、 エリオットは思わず息を呑んだ。


「でも、本当に悪いものではないから、安心してよ」



エマは机の上に薬瓶を並べながら言う。


「ミナちゃんの光炎衝…… あれ、錬金術で再現できないかな〜?」


レオンが慌てて止める。


「やめてくれ。 また爆発するだろ」


エマは頬を膨らませる。


「むー! ちゃんと安全にやるもん!」


ジンが笑う。


「エマの爆発、嫌いじゃないぜ!」


エマは嬉しそうに笑った。


「じゃあ、次はジンくんに協力してもらおうかな〜?」


「えっ!? 俺!?」


ラウンジに笑い声が広がった。



レオンは静かに弓を磨きながら呟く。


「ユートの動き…… あれ、弓で追えるかな」


ノアが言う。


「レオンなら追えるよ。 君の弓は……本当に速いから」


レオンは少し驚いたようにノアを見る。


「……ありがとう。 でも、もっと鍛えないと」


彼は弓を背負い、立ち上がる。


「 遠距離からでも、勝てるって証明したい」


その背中は、 昨日よりもずっと頼もしかった。



大会に出られなかった彼らも、 それぞれの場所で悔しさと憧れを胸に抱き、 静かに、しかし確かな決意を固めていた。


エリオットは魔導書を開き


ジンは拳を握り


ルナは幻術を磨き


テオはピコと共に召喚陣を描き


ノアは静かに魔力を整え


エマは薬瓶を振り


レオンは弓を引く


(次こそは――)


(次こそは、あの舞台に立つ)


(ユートやミナと肩を並べて戦う)


その想いは、 Sクラス全体の士気をさらに高めていく。


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誤字報告や文法がおかしいなども是非!!!

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