44.準決勝
悩んですが、結局こうなりました。
準々決勝が終わり、控室に戻ったSランククラスの空気は、 これまでとは明らかに違っていた。
勝ち残ったのは―― ユート、ミナ、リオ、そしてアレン。
ハルドがゆっくりと前に出る。
「……ここまで来たか。お前たちは、すでに学園の“最強候補”だ」
その声は低く、重く、しかし誇らしげだった。
「だが、準決勝は“格”が違う。相手は全員、勝つために全力を尽くしてくる。気を抜けば、一瞬で終わるぞ」
ユート、ミナ、リオは真剣な表情で頷く。
「…勝ち残ってこい.......」
控室の空気が一気に引き締まった。
◆
アナウンスが響く。
『これより準決勝の組み合わせを発表します!』
巨大な魔導スクリーンに名前が映し出される。
準決勝 第一試合
ユート・アルティナール vs リオ・フェルナン
観客席がざわつく。
「Sランク同士……!」
「ユートとリオがここで当たるのか……!」
「読みのリオ vs 二刀のユート……!」
準決勝 第二試合
ミナ・リュミエール vs アレン・グレイヴ
観客席がさらに沸く。
「ミナとアレン……!」
「アレンはセリナを倒したんだぞ……!」
「ミナはどう戦うんだ……?」
ミナは少し震えていたが、 ユートがそっと肩に手を置く。
「大丈夫。ミナなら勝てる」
ミナは小さく頷いた。
◆
『準決勝第一試合―― Sランククラス、ユート・アルティナール! 対するは、Sランククラス、リオ・フェルナン!』
観客席は最高潮の熱気に包まれる。
リオは木刀を構え、静かに言う。
「ユート…… 君とは、いつか戦うと思っていた」
ユートは二刀を構え、微笑む。
「俺もだ。リオ、お前は強い。だからこそ――全力で行く」
リオも微笑む。
「……嬉しいよ。じゃあ、始めようか」
『――試合開始!』
ユートが瞬歩で距離を詰める。
「《瞬歩》!」
だがリオは微動だにしない。
(……見える)
リオの“読み”がユートの動きを完全に捉えている。
ユートの斬撃を、 リオは最小限の動きで避ける。
「速い……でも、読める」
リオの木刀がユートの肩をかすめる。
(くっ……! やっぱりリオの読みは厄介だ)
ユートは距離を取り、 昨日のガチャで得たスキルを発動する。
「《心眼》!」
視界が研ぎ澄まされ、 リオの動きが“線”で見える。
リオが目を細める。
「……なるほど。君も“見える”のか」
二人の動きが一気に加速する。
木刀と二刀がぶつかり合い、 火花が散る。
観客席は息を呑む。
「速すぎて見えない……!」
「Sランク同士の戦いってこんなレベルなのか……!」
ユートが踏み込む。
リオが読みで避ける。
ユートが瞬歩で軌道を変える。
リオが読みで対応する。
完全に互角。
(……このままじゃ勝てない)
ユートは深く息を吸い――
「《魔力刃》!」
二刀に魔力が宿り、 斬撃の軌道が伸びる。
リオの目がわずかに見開かれる。
(軌道が……変わった!?)
読みが追いつかない。
ユートは一気に踏み込み、リオの木刀を弾き飛ばす。
「っ……!」
リオの喉元に二刀が止まる。
「……ここまでだ、リオ」
リオは悔しそうに笑い、 しかし清々しい表情で頷いた。
「……参ったよ。ユート、君は強い」
『勝者、ユート・アルティナール!』
観客席が爆発したように沸いた。
◆
『準決勝第二試合―― Sランククラス、ミナ・リュミエール! 対するは、Aクラス代表、アレン・グレイヴ!』
アレンは静かに剣を抜く。
「ミナ・リュミエール…… 確かに君の精霊魔法はこわい。だが、勝つのは僕だ」
ミナは震える手で杖を握りしめる。
(怖い……でも――)
ユートの言葉が胸に残っていた。
「ミナなら勝てる」
『――試合開始!』
ミナは深呼吸し、 杖を高く掲げる。
「……来て、上位精霊!」
観客席がざわつく。
「上位精霊……!?」
「ミナ、そんなの呼べたのか……!?」
光が集まり、 ミナの前に現れたのは――
《光上位精霊・ルミエル》
そしてもう一体。
《炎上位精霊・イグナート》
アレンの目がわずかに見開かれる。
「……二体同時……しかも上位精霊……?」
ミナは震えながらも、 しっかりと前を見据えていた。
「アレンさん…… 私は、負けない……!」
アレンが一瞬で距離を詰める。
「《剣速強化》!」
だが――
「ルミエル!」
光の盾が展開され、 アレンの斬撃を弾く。
「……っ!」
ミナは続けて叫ぶ。
「イグナート!」
炎の槍がアレンを襲う。
アレンは剣で弾くが、 炎の威力が強すぎて後退する。
観客席がどよめく。
「ミナ……強すぎる……!」
「上位精霊ってこんなに強いのか……!」
アレンは息を整え、 静かに呟く。
「……本気で行く」
剣に魔力を纏わせる。
「《斬空・連式》!」
空気が裂け、 光の盾が砕ける。
ミナが息を呑む。
(強い……!)
アレンが一気に踏み込む。
だが――
ミナは叫ぶ。
「ルミエル、イグナート! 二重結界!!」
光と炎が重なり、 巨大な結界が展開される。
アレンの斬撃が結界に当たり――
「……っ……!」
結界は砕けたが、 アレンの動きも止まった。
ミナは最後の魔力を振り絞る。
「――光炎衝!!」
光と炎が融合した巨大な衝撃波が放たれ、アレンを吹き飛ばす。
アレンは膝をつき、 剣を支えに立ち上がろうとするが――
「……ここまで、か」
審判が手を上げる。
『勝者、ミナ・リュミエール!』
観客席が爆発したように沸いた。
「ミナがアレンに勝った……!」
「上位精霊……強すぎる……!」
「決勝はユート vs ミナ……!?」
ミナはその場に崩れ落ちそうになったが、 ユートが駆け寄って支えた。
「ミナ……すごかったよ」
ミナは涙を浮かべながら微笑む。
「ユート…… 私、勝てたよ……!」
◆
決勝へ進むのは――
ユート(S)
ミナ(S)
観客席は興奮の渦に包まれていた。
「Sランク同士の決勝……!」
「ユート vs ミナ……!」
「どっちが勝つんだ……!」
大会は、ついに最終決戦へ向かう。
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