40.新入生闘技大会
大会当日の朝。 学園の中央闘技場は、すでに人で埋め尽くされていた。
観客席には上級生、教師、家族、そして冒険者ギルドの関係者まで。新入生の大会とは思えないほどの熱気だ。
ユートとミナは、Sランククラスの仲間たちと一緒に入場口へ向かっていた。
「……すごい人だね」
ミナが小さく呟く。
「まあ、年に一度の大イベントだからな」
ユートは深呼吸しながら答えた。
カイルは興奮気味に笑う。
「よっしゃあ!燃えてきた!」
リオは静かに目を閉じ、セリナは緊張で手をぎゅっと握っている。
「Sランククラス、入場!」
アナウンスが響くと、 観客席から一気に歓声が上がった。
「おおっ、Sランクだ!」
「今年のSランクはレベルが高いらしいぞ」
「二刀流のユートと精霊使いのミナがいるクラスだよな」
ユートとミナは視線を浴びながら歩く。
ミナは少し緊張していたが、ユートが横で小さく頷くと、彼女も落ち着いた表情を取り戻した。
続いてAクラスが入場してくる。
その先頭に立つのは―― 銀髪の剣士、アレン・グレイヴ。
観客席がざわつく。
「アレンだ……!」
「今年のAクラスのエースだって」
「Sランクに匹敵する実力らしいぞ」
アレンはユートを一瞥し、静かに微笑んだ。
(……強いな、あいつ)
ユートは直感でそう感じた。
続いてBクラス、C、D、Eクラスも入場。それぞれに各クラスの個性的な強者が揃っている。
◆
中央の壇上に、学園長が立つ。
「諸君、よくぞこの日まで鍛錬を積んできた。新入生闘技大会は、ただの競技ではない。“己の力を示す場”であり、“仲間と未来を掴む場”でもある」
観客席が静まり返る。
「勝敗に一喜一憂するだけではなく、この大会を通して成長し、自らの可能性を広げてほしい」
学園長は手を広げた。
「――では、開会を宣言する!」
轟音のような歓声が闘技場を揺らした。
◆
開会式が終わり、各クラスは控室へと戻っていく。
Sランククラスの控室では、ハルドが腕を組んで待っていた。
「よし、お前ら。いよいよ個人戦が始まるぞ」
カイルが拳を握る。
「ついに来たな……!」
ミナは杖を抱え、ユートは二刀の柄に手を添える。
「ユート、ミナ」
ハルドが二人に視線を向ける。
「お前らは特に注目されてる。実力を見せつけてこい」
ユートは静かに頷いた。
「はい」
ミナも小さく微笑む。
「頑張ります」
「トップバッターは――ユート、お前だ」
ユートは深く息を吸い、立ち上がる。
「わかりました」
ミナが心配そうに近づく。
「ユート……気をつけてね」
「大丈夫。すぐ戻るよ」
ユートは軽く笑い、闘技場へ向かった。
◆
ユート vs Bクラス代表・ガルド
アナウンスが響く。
『第一試合―― Sランククラス、ユート・アルティナール! 対するは、Bクラス代表、ガルド・バルク!』
観客席がざわつく。
「ユートだ……!」
「二刀流の天才って噂の……」
「Bクラスのガルドもパワー型で有名だぞ!」
ガルドは大柄な体格で、巨大な戦斧を肩に担いでいた。
「Sランクのユートか……悪いが、俺はAクラスに上がるつもりなんでな」
ユートは二刀を構え、静かに言う。
「全力で来い。俺も全力で行く」
『――試合開始!』
ガルドが地面を砕く勢いで突進してくる。
「うおおおおっ!!」
戦斧が振り下ろされる瞬間―― ユートの姿が消えた。
「なっ……!?」
ユートはすでに背後に回り込んでいた。
二刀流が交差し、ガルドの戦斧を弾き飛ばす。
「ぐっ……!」
ユートは一気に踏み込み、刃を喉元に突きつけた。
「……ここまでだ」
ガルドは悔しそうに歯を食いしばる。
「……参った」
『勝者、ユート・アルティナール!』
観客席が大きく沸いた。
「すげぇ……!」
「速すぎる!」
「一瞬だ.......!」
「Sランクの実力……!」
ユートは軽く息を吐き、控室へ戻っていった。
◆
ミナが駆け寄る。
「ユート!すごかったよ!」
「ありがとう。次はミナの番だな」
ミナは緊張した表情で頷いた。
◆
ミナ vs Cクラス代表・リリア
『第二試合―― Sランククラス、ミナ・リュミエール! 対するは、Cクラス代表、リリア・フェンネル!』
リリアは小柄な少女で、 風の魔法を得意とするらしい。
観客席がざわつく。
「ミナだ……精霊使いの」
「Cクラスのリリアも風魔法の天才だぞ!」
ミナは杖を握りしめ、深呼吸する。
(大丈夫……ユートも頑張ったんだし……)
『――試合開始!』
リリアが風の刃を飛ばす。
「《ウィンドカッター》!」
ミナは杖を構え、 静かに呟いた。
「《光精霊・シルフィア》……お願い」
光の精霊が現れ、 風の刃を弾き飛ばす。
「なっ……精霊召喚!?」
ミナは続けて炎の精霊を呼び出す。
「《炎精霊・イグニス》!」
炎と光の精霊が同時に展開され、 観客席がどよめく。
「二種類同時……!? そんなことできるのか!?」
ミナは杖を振り下ろす。
「《光炎連撃》!」
光と炎が融合した魔法が放たれ、 リリアの風魔法を一気に押し切った。
「きゃっ……!」
リリアは膝をつき、 審判が手を上げる。
『勝者、ミナ・リュミエール!』
観客席が大歓声に包まれた。
「すごい……!」
「精霊魔法の天才だ!」
「Sランクの本気だ……!」
ミナは胸を押さえながら、 ほっと息を吐いた。
◆
ユートが微笑む。
「お疲れ。完璧だったな」
「う、うん……ありがとう……!」
ミナは顔を赤くしながらも、 嬉しそうに笑った。
◆
他クラスの試合
『続いて第三試合―― Aクラス代表、アレン・グレイヴ! 対するは、Bクラス代表、ロイド・バーン!』
観客席が一気にざわつく。
「アレンだ……!」
「Aクラスのエース!」
「ユートと同じ剣士タイプだよな……」
アレンは静かに剣を抜き、 ロイドを見据える。
ロイドは炎魔法の使い手で、 攻撃力は高い。
『――試合開始!』
ロイドが炎の弾を放つ。
「《ファイアショット》!」
しかしアレンは微動だにせず、 剣を軽く振った。
「《斬空》」
空気が裂け、 炎の弾が一瞬で消し飛ぶ。
「なっ……!?」
アレンはそのまま踏み込み、 ロイドの懐に入り込む。
「速い……!」
ロイドが防御する間もなく、 アレンの剣が喉元に止まった。
「……勝負ありだ」
『勝者、アレン・グレイヴ!』
観客席が爆発したように沸く。
「強すぎる……!」
「Sランクと互角じゃないか!?」
「ユートと戦ったらどうなるんだ……!」
ユートは控室でその試合を見ていた。
(……やっぱり強いな、アレン)
ミナも不安そうに呟く。
「ユート……あの人、すごく強いよ……?」
「わかってる。でも――」
ユートは静かに二刀を握った。
「勝つよ。絶対に」
こうして、 ユートとミナは初戦を突破し、 Aクラスの強者たちも順当に勝ち上がっていく。
大会はますます盛り上がり、 次の試合へと進んでいく――。
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