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38.大会前日

ちょい短め?

大会前日。 Sランククラスの教室は、普段の活気が嘘のように静かだった。


誰もが口数が少ない。椅子を引く音、ページをめくる音、深呼吸の音―― そんな些細な音がやけに大きく響く。


ユートは二刀の柄を指でなぞりながら、心の中で何度も明日の戦いをシミュレーションしていた。


ミナは白銀杖を抱え、魔力の流れを整えるために何度も深呼吸を繰り返している。


カイルは落ち着かない様子で足を揺らし、 リオは静かに目を閉じて精神統一。 セリナはノートに魔法陣を書きながら、氷魔法の制御を確認していた。


そんな緊張感の中、教室の扉が勢いよく開く。


「お、全員揃ってるな」


担任のハルドが入ってきた。


「……さすがSクラス。緊張してる顔してるじゃねぇか」


生徒たちは苦笑したが、その表情にはやはり緊張が滲んでいた。



ハルドは教壇に立ち、 黒板に大きく「大会前日」と書く。


「明日はいよいよ新入生闘技大会だ。個人戦も団体戦も、全部“本気”で来るし、俺たちも“本気”で行くぞ」


カイルが手を挙げる。


「先生、Aクラスって本当にそんなに強いのか?」


「強い。お前らが思ってる以上にな」

「だからこそ、今日の作戦会議は重要だ。個人戦も団体戦も、勝つための準備をするぞ」


ハルドは名簿を読み上げる。


「ユート・アルティナール」

「ミナ・リュミエール」

「リオ・フェルナン」

「カイル・ドラン」

「セリナ・クロード」


五人が前に出ると、 教室の空気がさらに引き締まった。



「ユート、お前は“対応力”が強みだ。 剣術、魔法、体術……どれも高水準。 相手の動きを見てからでも十分勝てる」


ハルドは続ける。


「だが、Aクラスには“剣術特化”がいる。剣術に関してはスピードもパワーもお前と同等か、それ以上の奴もいる」


ユートは真剣に頷く。


「油断はしません。全力で行きます」



「ミナ、お前は精霊魔法が強力だが、魔力消費が大きい。個人戦は連戦になる可能性がある。“温存”を意識しろ」


ミナは緊張しながらも答える。


「はい……! 炎と光の精霊は強いけど、無駄遣いしないようにします」


「それでいい。お前は“切り札”だ。使いどころを間違えるな」



「リオ、お前は“技術型”だ。古流剣術は癖が強いが、相手の動きを読む力は誰よりも高い」


リオは静かに目を開ける。


「初見の相手でも、冷静に対処します」


「その冷静さが武器だ。焦ったら負けるぞ」



「カイル、お前はスピードが武器だ。だが勢いだけで突っ込むな。Aクラスには“罠”を仕掛けるタイプもいる」


カイルは苦笑する。


「うっ……気をつけます!」


「お前は“撹乱役”だ。相手を混乱させろ。それがチームの勝利に繋がる」



「セリナ、お前の氷魔法は“制圧力”が高い。相手の動きを封じることを意識しろ。攻撃はその後でいい」


セリナは深呼吸して頷く。


「はい……!氷の結界で相手を止めます」


「その調子だ。お前の魔法は“守り”にも“攻め”にも使える」



ハルドは黒板に大きく「団体戦」と書き直す。


「団体戦は五人一組。お前たち五人で戦う。役割分担はこうだ」


役割分担)

前衛(攻撃):ユート  → 敵の主力を抑える“要”


前衛(速度・撹乱):カイル  → 敵の陣形を乱す“混乱役”


中衛(技術・サポート):リオ  → 状況判断とフォローの“頭脳”


後衛(魔法火力):セリナ  → 氷魔法で制圧する“砲台”


後衛(支援・回復・制御):ミナ  → 精霊魔法で支える“支柱”


ハルドは言う。


「この構成は“バランス最強”だ。だが、団体戦は“連携”がすべてだ」


ミナが手を挙げる。


「連携って……どうすればいいんですか?」


「簡単だ。仲間を信じることだ。それができないチームは、どれだけ強くても負ける」


ユートは仲間たちを見渡し、 静かに頷いた。


「……信じてるよ。みんなのこと」


カイルが笑う。


「おう!任せとけ!」


リオは落ち着いた声で言う。


「僕も、全員の動きは把握してるつもりだ」


セリナは少し照れながらも微笑む。


「私も……みんなを支えるよ」


ミナは胸に手を当てて言った。


「私も……絶対にみんなを守る」



午後は大会前最後の特訓だった。


ユートは二刀の軌道を何百回も繰り返し、 魔力強化の精度を上げる。 汗が滴り落ちても、動きは止まらない。


ミナは精霊たちと対話しながら、 魔力の流れを安定させる。 炎と光の精霊が優しく寄り添う。


カイルは走り込みで速度を限界まで上げる。 風を切る音が訓練場に響く。


リオは古流剣術の型を何度も繰り返し、 無駄のない動きを極める。


セリナは氷魔法の制御を繰り返し、 氷の結晶が美しく舞う。



ジンは拳を叩きつけるように打ち込み、 悔しさを力に変えていた。


エリオットは魔導書を読み込み、 古代魔法の詠唱速度を上げる練習をしていた。


ノアは無色の刃を磨き、 静かに自分の弱さと向き合っていた。


ルナは幻術の精度を上げるため、 何度も幻影を作り出しては消していた。


レオンは的を射抜き続け、 矢が放たれるたびに空気が震えた。


エマは爆発しない薬を作るため、 何度も調合を繰り返していた。


テオはピコと連携を深め、 召喚獣との信頼を築いていた。


彼らの悔しさは、 確かな成長へと繋がっていた。



夕日が沈み、 訓練場が静かになった頃。


ユートは空を見上げた。


「……明日、絶対勝つ」


ミナは杖を抱えながら呟く。


「みんなで……勝ちたい」


カイルは拳を握りしめる。


「燃えてきた……!」


リオは静かに目を閉じる。


「冷静に……確実に」


セリナは胸に手を当てる。


「緊張するけど……負けたくない」


風が吹き、 五人の決意を運んでいく。



こうして、 Sランククラスの大会前日は静かに、 しかし確かな熱を残して終わった。


明日、 新入生闘技大会が幕を開ける。


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