28.新たな家
け、決して、この後の展開がめんどくさくなるから無理やりねじ込んだわけじゃないデスヨ。m(_ _)m
ユートの十二歳の誕生日を前に、王都の宿の一室には二つの家族が集まっていた。窓から差し込む冬の光が木の床を照らし、暖炉の火が柔らかく揺れている。ユートの両親とミナの両親は、互いに向かい合いながら、子どもたちの成長を誇らしげに語り合っていた。
「ユートももう十二歳。剣の腕も上がってきたし、ミナと一緒に戦う姿は立派なものだ。」
ユートの父が深い声で言う。
「ええ。ミナも精霊との契約を深めて、魔法の力を安定させています。二人が組めば、どんな魔物にも負けないでしょう。」
ミナの母が微笑みながら答える。
しかしユートの母は少し心配そうに眉を寄せた。
「でも……二人は遠くに住んでいるでしょう?毎回行き来するのは大変だし、危険もあるわ。まだ子どもなのに、無理をさせてしまっているんじゃないかしら。」
ミナの父が頷き、真剣な声で言った。
「確かに。村から王都までの道は安全とは言えない。……それに、今はミナがユートの家に住まわせてもらっている。ユートの家族には感謝しているが、私たちも親として申し訳なく思っているんです。」
ミナの母も静かに言葉を重ねた。
「そうね……本来なら私たちが娘を支えるべきなのに、ユートの家族に負担をかけてしまっている。だからこそ、二人にきちんとした拠点を用意してあげたいわ。」
ユートの父はしばらく考え、やがて笑みを浮かべた。
「なるほど。王都に屋敷を買ってやればいい。二家族でお金を出し合えば、十分に立派な家を用意できる。」
ミナの母も安心したように言った。
「それを誕生日の贈り物にしましょう。ユートとミナに、二人の家を。……ただ、まだ十二歳だから心配もあるわ。きちんと見守っていきましょうね。」
◇
ユートの誕生日当日。両親たちは二人を王都の新しい屋敷へと案内した。石造りの門をくぐると、広い庭と二階建ての屋敷が目の前に広がった。
「ここが……俺たちの家?」
ユートが目を見開き、声を震わせる。
「そうだ。ユート、ミナ。二人のために用意した屋敷だ。これからはここで暮らし、共に成長してほしい。」
ユートの父が誇らしげに告げる。
ミナは驚きと喜びで声を震わせた。
「本当に……私たちの家……?」
「ええ。二人が安心して暮らせるように、私たちからの誕生日プレゼントよ。」
ミナの母が優しく微笑む。
ユートの母は少し真剣な声で付け加えた。
「ただし、まだ十二歳。生活のことも、戦いのことも、私たちが見守っているからね。無理はしないこと。」
ユートは拳を握りしめ、胸に熱が広がった。
「ありがとう……!俺たち、必ず強くなって、この家を守る!」
ミナも頷き、ユートの隣に立った。
「ユートと一緒なら、どんな未来でも乗り越えられる。」
◇
屋敷の前に立ちながら、ミナは胸の奥に小さな痛みを覚えていた。これまでの一年間、彼女はユートの家に住まわせてもらっていた。ユートの両親は温かく迎えてくれ、食事も寝床も与えてくれた。だがミナは時折、申し訳なさを感じていた。
「私、ユートの家に住まわせてもらって……ずっとお世話になってきた。ユートの家族には感謝してる。でも、私の居場所を作ってもらってばかりで……本当にいいのかなって。」
ユートはその言葉に振り返り、真剣な瞳で答えた。
「ミナ、そんなこと思わなくていい。僕たちは《黎明の双星》だ。君がここにいるのは当然だし、僕は君と一緒にいることが嬉しいんだ。」
ミナは少し涙ぐみながら微笑んだ。
「ありがとう……ユート。でも、この屋敷ができたことで、私も胸を張って“ここが私の家”って言える。だから、これからはもっと頑張るね。」
その会話を聞いていた両親たちも、互いに目を合わせて頷いた。
「やはり、これまでミナをユートの家に住まわせてしまったことは申し訳なかった。でも、これからは二人の家がある。私たちも安心できる。」
◇
こうしてユート十二歳の誕生日に贈られた屋敷は、二人の生活の舞台であり、《黎明の双星》というパーティー名に込めた「共に輝き続ける」という理由を象徴する場所となった。 ミナが「ユートの家に住まわせてもらって申し訳ない」と感じていた思いも、親たちが「負担をかけてしまって申し訳ない」と思っていた心も、この屋敷によってようやく解き放たれた。
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