20.二人での初戦闘
少し遅れました!すいません!
ここでいう森は屋敷裏の森ではなく、ミナとユートが住んでるとこの間らへんにある都合のいい森です。
名前はとりあえず「魔の森」とかで行きます。
翌朝。
朝の光が薄く差し込み、屋敷の窓から柔らかな輝きが広がっていた。ユートはベッドから起き上がり、深く息を吸い込む。冷たい空気が肺に満ち、頭が冴えていく。外を見れば、庭の霜が朝日を受けてきらめき、まるで世界そのものが新しい一日の始まりを祝福しているようだった。
「今日も……稽古だな。」
彼は剣を手に取り、庭へと足を運ぶ。剣は普通の鉄の剣だが、長年の鍛錬でその扱いは体に染みついている。構え、振り、踏み込み
――一つ一つの動作を丁寧に繰り返す。剣が空を裂く音が静かな庭に響き、霜を散らす。
ユートは剣を振り終えると、額の汗を拭い、空を見上げた。昨日の戦いで光の矢を獲得したミナのことを思い浮かべる。彼女も今頃、また新たな戦いの準備をしているはずだ。
その時、頭の奥に柔らかな声が響いた。
『ユート、起きてる?』
『ああ、起きてるよ。そっちはどうだ?』
『昨日の戦いが頭に残ってて……まだなんか緊張してる。』
ユートは微笑み、剣を握り直す。
『大丈夫だ。ミナならできる。俺も剣の稽古を続けてる。もし良いなら次は二人で挑まない?』
『……うん。ユートとなら、もっと強い魔物にも勝てる気がする。』
しばし沈黙が流れた後、ミナの声が少し弾んだ。
『じゃあ、森の入口で会おう。遠いけど、必ず来てね。』
『分かった。約束だ。』
遠く離れていても、二人の心は確かに繋がっていた。
◇
さらに翌朝。
ユートは屋敷を出て、森へ向かう街道を歩いていた。道は長く、馬車を使っても数時間はかかる。だが彼は徒歩で進むことを選んだ。剣を腰に差し、魔力の流れを意識しながら歩くことで、稽古の延長になるからだ。
途中、小さな魔物が現れる。ユートは剣を抜き、淡々と斬り伏せて進む。彼の剣筋は無駄がなく、魔力を通さずとも鋭い。倒れた魔物を振り返ることもなく、彼はただ前へ進み続けた。
やがて森の入口に到着すると、ミナが姿を現した。彼女の瞳はこれからの戦いへの期待に満ちていた。
「ユート、来てくれたんだね。」
「もちろんだ。約束だからな。」
二人は並んで森の奥へと進んでいった。
◇
森の奥深く、冷気が漂う場所に巨大な影が立ちはだかっていた。氷の棍棒を持つ巨体の魔物
――フロスト・オーガだ。
身の丈は三メートルを超え、全身を氷の鎧のような鱗で覆っている。その目は赤く光り、二人を睨みつけていた。
「……でかいな。」
ユートが剣を構える。
「ユート、気をつけて。あれは普通の魔物じゃない。」
ミナが精霊召喚の準備を始める。
オーガが咆哮を上げ、地面を揺らしながら突進してきた。
ユートは前へ踏み出し、剣を振り抜いた。刃がオーガの棍棒にぶつかり、火花が散る。衝撃が腕に走るが、ユートは踏ん張り、押し返した。
「ミナ、今だ!」
ミナは光の精霊を召喚し、バリアを展開。オーガの次の一撃を防ぎ、その隙にユートが剣を振り抜いた。刃は氷の鱗を裂き、オーガの肩に傷を刻む。
「効いてる……!」
だが、オーガは怯むことなく咆哮を上げ、さらに猛攻を仕掛けてきた。棍棒が振り下ろされ、地面が砕ける。ユートは横へ飛び、剣で受け流す。ミナは炎の精霊を召喚し、火球を放つ。しかし、オーガの耐久力は凄まじく、簡単には倒れない。
ユートは剣を構え直し、呼吸を整える。オーガの動きを見極め、次の一撃に備える。ミナは光の矢を放ち、オーガの足を射抜く。巨体が一瞬揺らぎ、その隙をユートが突いた。剣が閃き、オーガの胸に深い傷を刻む。
「まだだ……!」
オーガが怒りの咆哮を上げ、氷の棍棒を振り回す。ユートは剣で受け流し、ミナは炎の精霊で援護する。二人の動きは次第に噛み合い、連携が生まれていった。
ユートは深く息を吸い込み、剣を構え直した。ミナの声が背中を押すように響く。
「ユート、合わせて!」
ミナの両手が輝き、炎の精霊が姿を現す。精霊は彼女の呼吸に合わせて燃え上がり、その炎をユートの剣へと流し込んだ。瞬間、鉄の剣が赤く染まり、熱を帯びて空気を震わせる。刃の周囲に揺らめく炎が舞い、まるで剣そのものが生きているかのようだった。
「これなら……!」
ユートは地面を蹴り、オーガへと突進する。巨体が棍棒を振り下ろすが、その動きは重く、炎を纏った剣の速さには追いつけない。ユートは剣を振り抜き、オーガの胸へと突き立てた。
炎が爆ぜる。轟音と共に氷の鎧が焼け崩れ、白い蒸気が立ち上る。オーガの咆哮が森を震わせ、周囲の木々に霜が降り落ちるほどの衝撃が走った。
「まだだ……!」
ユートは剣を押し込み、さらに力を込める。その瞬間、ミナが光の矢を放った。矢は真っ直ぐに飛び、ユートの剣と同じ場所を貫いた。炎と光が交差し、融合する。
「光炎斬――!」
二人の声が重なり、剣と矢が一つの技へと昇華した。炎の赤と光の白が混ざり合い、眩い閃光となって爆発する。森全体が昼間のように明るく照らされ、オーガの巨体を包み込んだ。
オーガは苦悶の咆哮を上げ、氷の鎧が次々と砕け散る。炎が肉を焼き、光が魂を貫く。巨体が揺らぎ、膝をついた。地面が震え、霜が砕け、冷気が吹き飛ばされる。
ユートは剣を使い、最後の一撃を振り下ろした。炎と光が剣先から奔流となり、オーガの胸を真っ二つに裂いた。
「ぐぉぉぉぉぉぉ……!」
咆哮が森に響き渡り、オーガはついに倒れ込んだ。地面が揺れ、雪のような氷片が舞い散る。静寂が訪れ、ただ白い蒸気だけが残った。
ユートは剣を収め、肩で息をしながらミナを振り返った。彼女も額に汗を浮かべていたが、その瞳は輝いていた。
「やったね、ユート。」
「ああ……二人なら、これほどの敵でも倒せる。」
炎と光の残滓がまだ空気に漂い、森を淡く照らしていた。二人は互いに微笑み合い、確かな絆を感じていた。
ちなみに、鋼鉄の短剣は壊れた。
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