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15.ミナとの再会

午後の光が庭の木々の間を斜めに差し込む。

リュミエール家の庭には、風で揺れる葉の音と、遠くで水を打つ音だけが響いていた。

ユートは芝生に座り込み、汗で重くなった服を軽く払う。

一週間に及ぶ父の危機回避特訓は、想像以上に過酷だった。

毎朝早くから始まる訓練、昼過ぎの障害物練習、午後の集中回避練習――一日が終わる頃には全身が鉛のように重くなる。


(……でも、やり切ったんだ……)


木陰に座るユートは自然に意識を集中させる。

この一週間の成果を、数字として確かめずにはいられなかった。

彼は画面をタッチし、自分のステータスを慎重に確認する。


ーーーーーーーーステータスーーーーーーーー

レベル: 13

HP:110

MP: 105

STR: 21

VIT: 20

AGI: 23

DEX: 22

LUK: 20


<武器・装備>

武器:鉄の短剣

防具:ーー

アクセ:ーー


<一般スキル>

魔力系

・魔力感知(上級)

・魔力操作(中級)


物理系

・基本剣術(中級)

・危機回避(中級・NEW)


魔法系

・光の翼

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ユートは指で数字をなぞり、自然に笑みがこぼれる。

(STRもVITも、AGIも……本当にここまで上がったんだ……)


彼の手は自然に鉄の短剣を握り、軽く構える。

空気の中で軽く振り抜くと、腰の回転、踏み込み、腕の角度、剣先の軌道が完全に連動する感覚があった。

体の一部のように剣が動き、攻撃と回避が自然に繋がる――

危機回避の覚醒スキルの感覚が、全身に深く刻まれていることをユートは感じた。


(……五歳の頃は、ここまで自然に動かせるなんて想像もできなかった……)


庭の風が、葉を揺らす。

木々の影が長く伸び、日差しは徐々に柔らかく、夕暮れ色に変わり始めていた。

遠くの空には、薄く雲が流れ、光が反射して金色の筋ができる。


「……うん、いい感じだ」


独り言のように呟き、ユートはそのまま庭を歩きながら、再び剣の動きを確かめる。

前後に踏み込み、横にスライドし、軽く回転して斬撃――

全ての動作が自然で滑らかで、体の中心から魔力が流れ出る感覚が、手に取るように分かる。


その時、門の向こうに見慣れた小さな影が近づいた。

ミナだ。光の翼を通さず、現実世界での再会である。

息を切らしながら、汗で頬が赤く染まったミナが、庭に駆け込んでくる。


「ユート! お疲れさま!」


ユートは笑顔で応え、短剣を少し下げて構える。

「ミナ……来てくれたんだな」

「うん! 久しぶりだね!」


二人の間に、ほんの一瞬の沈黙。

互いの成長を確かめる目で見つめ合い、自然と笑みがこぼれる。

ミナはユートの体格や立ち姿、微妙な動きの変化に気付いた。


「……ユート……体がしっかりしてる……動きも……すごく滑らか……!」

ユートは少し照れたように肩をすくめ、手を振る。

「一週間、父さんの特訓を受けてきたんだ。危機回避スキルも取れた」


ミナの瞳が一瞬輝く。

「危機回避……!? 本当に!?」

「うん。ちょっと見せてやる」


ユートは庭の中央に進み、剣を軽く構えて前後にステップを踏む。

踏み込み、腰の回転、剣の軌道――全てが体の感覚に沿って連動する。

ミナは目を見開き、魔力感知でユートの体の気配や微妙な力の変化を感じ取る。


「……わ、ユート……本当に……体と魔力が一体化してる……」

「うん……最初は全然できなかったんだけど、毎日少しずつ体に染み込ませたんだ」


二人は庭を歩きながら、訓練内容や成果を順を追って話す。

午前中の障害物練習、午後の速攻練習、暗闇での感覚訓練――

ユートの話す一つ一つの動作や疲労の詳細に、ミナは目を輝かせながら聞き入る。


「ユート、一週間でこんなに成長するなんて……」

「まだまだ、もっと上手くなる余地はあると思う」

「……そうだね……でも、今日は本当に成長を感じられたよ」


ミナはふと手を伸ばしてユートの肩に触れる。

柔らかい感触にユートは少し照れながらも微笑む。


夕暮れの光が二人を包み、長く伸びる木々の影が二人の周囲を覆う。

風がそよぎ、髪を揺らし、芝生の草の匂いがほのかに漂う。

庭の静けさと夕方の空気の中で、互いの成長を確認し、会話を交わす二人。


「ねえ、ユート、これからも一緒に稽古しよう?」

「もちろん、今度はもっと新しいことに挑戦しよう」

「うん!」


二人の声が庭に柔らかく響き、日没の色が空を染めていく。

ユートは心の中で静かに微笑む。

(……本当に、体も魔力も、全部が前より滑らかに反応する……)


そのまましばらく、二人は庭で話したり、軽く剣の動作を確認したりして過ごした。

時間の流れはゆっくりで、夕暮れが夜に変わるまで、体の感覚や成長を互いに実感する静かな時間だった。


夜になり、庭に星が瞬き始める頃、ユートは芝生に座り込み、今日の成果をじっくり味わった。

体の力の流れ、魔力との一体感、動きの滑らかさ――全てが、目で見て触れて感じられる成長となっている。

そして、隣で微笑むミナを見ながら、ユートは静かに息をついた。


(……今日も、よく動けた……俺、ここまで来られたんだ……)


庭の夜風が二人を包み、葉のざわめきが穏やかに響く。

ユートは短剣を軽く握り、しばらく空を見上げた。


――体と魔力の一体感を感じながら、危機回避特訓の一日一日が長く、濃く、そして確かに「成長の一週間」だったことを実感していた。


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