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12.5.初実戦(ミナ視点)

前半のようにあまり改行がない感じか、後半の改行が時々ある方が読みやすいですかね?

感想待ってます。

ミナは自室のベッドの上で、膝に魔導書を広げながら魔力操作の訓練をしていた。

光の翼を展開し、ユートとの念話の繋がりを感じながら魔力を巡らせていると──


ふ、と胸が揺れた。


(……ユート?)


いつもより遠くで、けれどはっきりと感じる“構えの気配”。

魔力が静かに外へと向けられるとき、ユート特有の鋭さがある。

『ユート? 今、魔力ちょっと動いたよ?』

声を送ると、少しだけ緊張した返事が返ってきた。

『まだ姿は見えないけど……何か来てる』

その声を聞いた瞬間、ミナの心臓は跳ねた。

(来てる……? な、なにが……!?)

ユートが森の浅い領域へ行っていることは知っている。

父親にも「浅いところまでだぞ」と言われていた。

それでも──魔物は魔物。

ミナは両手をぎゅっと握りしめる。

(ユート……危ないことはしないで……)


すると──

念話越しに、空気が一瞬で“戦いの色”に変わった。


ザッ──!


魔力の動き、風の裂ける気配、跳びかかるような圧。

ユートの視界と同じものは見えないけれど、魔力の波だけで理解できる。

(来た……!)

次の瞬間、


ガッ!


何かが衝突する、鈍い感覚が念話の“向こう”で響いた。

『ユート!? 無理は絶対ダメだからね!?』

叫びながらも、自分の声が震えているのがわかる。


でも──返ってきたユートの魔力は驚くほど冷静だった。


(集中してる……!)


跳びついてきた獣を斬るときの鋭い魔力の伸び。

二匹目、三匹目に囲まれた緊迫した圧の変化。

斬り上げ、横薙ぎ、踏み込み……

動き一つ一つに合わせて魔力が流れる。


(すごい……本当に戦ってる……!

 ユートの魔力、怖いくらい……強くて、静かで……)


だが──

ユートが一瞬足を滑らせた時、魔力が大きく揺れた。


(危ない!!)


牙が掠めたときの衝撃が念話越しに直接伝わってくる。

ミナは息を呑み、胸がぎゅっと痛む。


(お願い……死なないで……ユート……!)


だが、次の瞬間ユートの魔力が“爆ぜた”。

恐怖ではなく、研ぎ澄まされた“反応”。


(……強化!? 自分で……こんな時に……!?)


牙の痛みがかすかに伝わり、続いて


──ズバッ!


斬撃の鋭い感覚。


そして最後の一匹が迫ってきたとき──

ユートの魔力が極端に“静か”になった。


(……え? 気配が……整ってる……?)


周囲の空気がゆらぎ、ユートの魔力がまるで一本の刃のように整う。


まるで世界がゆっくり動いているかのような錯覚まで伝わってきた。


(見えてる……!?)


次の瞬間──


ドスッ!


強く、深く、迷いのない一撃。


ユートの存在を包む魔力から、戦闘の終わりが伝わる。


ミナの息がふっと抜け、声が震えた。


『ユート……! 本当に、本当に大丈夫……?』


息の荒い気配。

でも、意識ははっきりしている。


『大丈夫。浅い傷だけど……動けるよ』


(よかった……本当によかった……)


涙が頬をつたったことに、ミナは気づいていなかった。


その直後──

ユートの魔力が“ふわり”と広がった。


覚醒した魔力の波。

技能が増えた時にだけ起こる独特の変化。


『ユート……スキル、増えた?』


『うん。剣気操作……初級。

 多分、戦いの中で──覚えたんだ』


(……やっぱり!)


ミナは目を大きく見開き、思わず口を押さえた。


(初めての実戦で……スキル覚醒なんて……)


嬉しい。

誇らしい。

でも、胸の奥が少しだけ締め付けられるように苦しい。


『本当に……すごいよ、ユート。

 初めての戦闘でスキルが覚醒するなんて……』

『ミナが声を飛ばしてくれたから、落ち着いて戦えたんだ』

『……ならよかった。

 本当に……無事でよかった……』


声が震える。

でも最後の言葉だけは、しっかりと伝えた。


ユートがわずかに息を和らげる気配がした。


ミナは両手を胸に当て、大きく息を吸い込む。


(よかった……よかった……

 でも、ユート……ちょっとだけ、強くなりすぎだよ……)


それでも。


(負けないように……私も強くならなくちゃ)


ミナは涙をぬぐい、魔導書をもう一度開いた。


ユートが戦って強くなったなら──

自分も、同じように成長したいと強く思えた。


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