表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

墓地の前

作者: ツヨシ
掲載日:2025/09/15

小さいころ、お墓が怖かった。

なぜ怖いのかと聞かれても、よくはわからない。

ただひたすら怖いのだ。

とはいってもお墓に行くのはお盆の時くらい。

お墓も少し離れた場所にある。

だからそれほどは気にしていなかった。

そんな折、一家で引っ越しが決まった。

お父さんの仕事の都合だそうだ。

少し離れているがそれほど遠くはないところと聞いていた。

お父さんとお母さん、それに僕とおばあちゃんまで一緒になって、引っ越しを手伝った。

そして新しいマンションに向かった。

引っ越し先がそのマンションだと知り、びっくりした。

お墓詣りの時にいつも見ていたマンション。

こんなところには住みたくはないなと毎回思っていたマンション。

引っ越し先はそこだった。

つまりマンションの目の前に墓地があるのだ。

毎年お墓参りに行っていた墓地が。

部屋に入ってさらに絶望した。

一番大きな窓から墓地がばっちり見えるのだ。

――なんでこんなところに……。

と言っても今更どうしようもない。

僕はマンションの部屋にいるとき、できる限り外を見ないようにして過ごした。

それはもう不自然なほどの動きを伴って。

お父さんとお母さんはそれでも全く気が付かなかったが、おばあちゃんは気づいた。

「お墓、怖いよね。でも我慢しな。もうじき怖くなくなるから」

そう言った。もうじき怖くなくなるという意味は分からなかったが。


引っ越してきて数か月が経ったころ、ばあちゃんが突然倒れた。

心臓の病気だそうだ。

入院、そして手術。

しかし家族の想いは届かなかった。数日後に、ばあちゃんは亡くなった。

葬式も終わり、少し落ち着いたとき、僕は気づいた。

ふと目に入った墓地が、少しも怖くないのだ。

僕は墓地を見た。

両の目でしっかりと。

そして思った。

ああ、あそこに今、ばあちゃんがいるんだな、と。



       終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感涙!(T_T)。お祖母ちゃんは死期を予期していたのですね。そして孫を墓地から守ってくれてますのね。 感涙(> <。); お彼岸にぴったりの作品でしたね(ノ≧∀≦)ノ しかし笑いがこみあげます┐…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ