第8話:絶望とは違うナニカ
窓から朝日が差し込み、私はようやく冷静さを取り戻した。
果たして私はどれだけ泣いていたんだろう。
時間を確認するためにスマホを開くと、《ほしくず》の役員の人から連絡が1件来ていた。
望月朱理さん、いかがお過ごしでしょうか?
まもなく、あなたのひとつ前の方がロケットによって宇宙へ旅立ちます。
そして、今日より3日後の予定日のロケットの準備も完了しました。
ぜひ、今のうちに思い残しがないか、やりたいことがないか、確認してみてください。
そして、心の準備などができましたら、なるべく早く種子島の発車ステーションに向かってくれると助かります。
よろしくお願いします。
追記
もしよろしければ、1つ前の方の打ち上げられる様子を見てみませんか?
こちらの方は、明日の18:00に打ち上げられる予定です。
きっと、《ほしくず》のことで不安があると思いますが、先に見ておくことで、多少は不安を拭えると思います。
ぜひ、明日の18:00までにお越しください。
長文失礼致しました。
《ほしくず》役員 ○○○○
と、あった。
そうか、もう3日後か。
色々とあったせいで、私は自分の寿命さえ忘れてしまっていた。
あと3日、この宿に泊まるわけにもいかないし、そろそろ発射場に向かってしまおう。
そうして私は、博多駅から新幹線で鹿児島中央駅へ向かった。
道中の私には、もう宇宙に対するワクワクは残っていなかった。
今の私は、ただただ泣いた疲れが溜まって、心もぐしゃぐしゃに崩れていた。
本当にどこで間違えてしまったんだろう。
そんな内省も、全部無駄だろうと思えてきた。
もう、何も考えたくない。
そうして私は、ぼーっと車窓を見つめ続けた。
そして、胸はずっと痛み続けていた。
まるで、何者かに強く握りしめられているかの様に。
第8話:絶望とは違うナニカ 終
お読みいただきありがとうございました!
ここから新規読者を増やすにはどうしたらいいんですかね。
第9話もお楽しみに!
[期待の大型新人]でした!