第7話:自戒
それからというもの、私は部屋から出られなくなった。
外に出れば、私の存在そのものが、誰かの邪魔になる気がして仕方ないのだ。
人も、花も、鳥も。
みんな私を邪魔だと言う。
そんな気がするのだ。
ああ、他の自殺志願者は、何を考えながら残りの寿命と向き合ったのだろうか。
死と向き合って、何を思ったのだろうか。
きっと私みたいに、《ほしくず》の影響で「罰を受けなくていい」と考えた人間はいるだろう。
実際、ネットで調べてみると、自殺志願者による犯罪率が急増していると報じられていた。
万引きのような小さな罪から、憎んでいた相手を殺してしまった者まで。
……私はどうだろうか。もちろん、法を犯したことはない。
けれど、きっと誰かを傷つけてきたはずだ。
陰で悪口を言われたり、恨まれていたかもしれない。
そう思うと、胸がざわつく。
死を前にして振り返ると、私が蒔いた小さな不幸も、確かにあったのかもしれない。
やっぱり、死ぬしかない。 それまでは、ここに籠もっていよう。
私は灯も点けず、暗闇の中で膝を抱え、泣き続けた。
苦しい。 胸が、また苦しい。
あぁそういえば、会社も、家も、私は何も言わずに出てきてしまった。
私は既に、会社にも、アパートの管理人にも、迷惑をかけてしまっている。
私は別に、仕返しをするつもりなんてなかった。
ただ——宇宙に行きたかっただけなのに。
本当に、ごめんなさい。 ごめんなさい……。
自然と言葉が溢れてくる。
時間の感覚が消えていく中で、私は泣き続けた。
その涙は——私が自分で選んできた愚かな人生への、遅すぎる供養のようだった。
私は、救いを求めるように、何かに祈るように。
ずっとずっと、泣き続けた。
第7話:自戒 終
お読みいただきありがとうございました!
第8話もお楽しみに!
以上、[期待の大型新人]でした!