第六十二話 決別
「バルバトス、凛さんがβの七位と接敵したそうです」
バルバトスとアモンは二人で
「………アモンちゃん、前々から思ってたんだけどβって何が目的なのかな」
「確かに………能力者の生きやすい世界……とかですかね」
「うーん、それはあるかもね」
「神降ろし、らしいぜ?」
バルバトスとアモンが話していると、校舎の入り口の方向から有馬の声がした。
「なっ!」
「……君ら二人も来てたんだね。有馬君、桐乃ちゃん、てっきりもっと序列の高い奴らが来るのかと思ってたよ」
バルバトスが冷静にコメントをすると、桐乃の眉がピクリと動いた。
「序列………晴人さん、貴方は"どこまで"知ってるんですか?」
「あはは、僕に何を期待してるんだい?僕はただの学生だよ?初めて喋ったね、桐乃ちゃん?いつから眼帯をするようになったんだい?」
「………そりゃあスパイをしているので。関わるべきじゃ無いでしょう。眼帯については……教える義理がありません」
「フフッ、それもそうだね」
「………チッ」
桐乃は目の前の男への不安からなのか苛つきを隠せずにいた。
「さて、結局。戦うかい?君達二人」
バルバトスは煽るように軽く聞いた。
「はぁ、晴人。俺達に勝てると思って言ってるのか?それに桐乃は落ち着け。あの野郎の言ってることはでまかせだ。何より俺達が戦って勝てば不安なんて無くなるだろう?」
有馬が桐乃の肩をポンと叩きながら言った。
「そう、戦うんだね。それじゃあ、お疲れ様」
バルバトスは二人に手を振りながらその場から少し後ずさった。
「はぁ?何言って………亜門はどこだ?」
「……え?本当だ。どこに行って………っ!」
二人が後ろを見ると、そこには既に逃げ場のない火球が迫ってきていた。
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「あーあ、これで終わりかな。お疲れ、アモンちゃん」
「そうですね。やはりあの二人が内通者だったのでしょうね。………それにしても有馬さんの言っていた『神降ろし』とは何だったのでしょうかね」
「そうだね。それについては僕も気になっていたよ。明や美蘭さんに伝えないとね」
「はい、そうですね」
二人はその場から撤収をしようとしていた。だが、突然二つの気配が現れた。それは、今まさに消えゆこうとしている火球の煙の中からだった。
「ははっ、あははっ。驚いた。今ので無事だったなんて。………一体、どうやって回避したんだい?」
「はぁ、はぁ、有馬君、無事?」
「ああ、俺は平気だが………桐乃!お前、その足!」
「ああ、大丈夫。ただ間に合わなかっただけだから。それより、あの二人を!」
桐乃の右足は先程の火球により焦げて黒く炭のようになっていた。
「クッソ!晴人!亜門!テメェら良くもやってくれたな。同じ目に合わせてやるよ!」
「はぁ、何故そこまで怒るのかが理解できませんね」
「ぐっ、亜門!お前、慈悲ってもんは無いのかよ。つい数日前まで仲間だったろうが!」
「君らが選んだ道だろう?内通者という生き方はそういうものだ。決別したのはあくまで君達。もう仲間じゃない」
「ああそうかよ。テメェらに何を言っても意味無さそうだ。俺がケリをつけてみせる。少しの間安静にしてろ桐乃」
「うん、ありがとう。有馬君」
桐乃は壁にもたれかかって目を閉じた。
「さあ、晴人、亜門。テメェらは俺が終わらせてやる」
有馬が手を前に突き出すとバチバチと音を立てて発光し始めたのだった。




