第五十八話 対抗
翌日
「んーと、お前ら、突然だが昨日この学校が襲撃された」
あの電話の後、如月はどうやら全員に現状を教えることにしたらしい。
「しゅ、襲撃?一体何が起きたんですか?」
真っ先に凛が反応した。
「そりゃあ俺もよく分かんねーよ。分かることは相手が能力者って事と、おそらく襲撃は一度じゃ終わらないって事くらいだ」
「それで、如月先生はそれをボク達に教えてどうするつもり?」
凛に続き、オリヴィアも反応した。
「お前達はとっとと学校から離れろ。今日からしばらく休校だ。ほら、解散解散」
「んなっ!ボク達は戦力として見てないって事かい?」
「戦力どうこうじゃねーよ、これは俺たち大人が解決する問題だ。子供に背負わせられる内容じゃない」
「なっ、まだ学校に来て間もないとは言えボク達だって生徒だ。色々と背負わせてもらっても良いんじゃないのか?」
「はぁ、オリヴィア、お前な……いい加減人の言う事をだな……」
オリヴィアと如月が口論をしていると、突然教室の扉が開いた。
「おいおい奏、若いやつの気持ちを無駄にするんじゃないぞ?」
俺にとっては聞き慣れた声。
部屋の外には最強・如月美蘭が立っていた。
「はぁ、姉貴、来るまでが早いんだよ」
如月先生は悔しそうな顔を美蘭に向けた。
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「えぇ!本物ですか?」
「本物の……如月美蘭?」
美蘭を見たことのない凛とオリヴィアが真っ先に驚きを見せた。
「ああ、本物だが……そこまで驚くことか?」
「いや!驚きますよ!美蘭さんと言えば最強の能力者として有名なんですから!」
「ボクだってイギリスで何度も聞いたことがあるよ。日本にはイギリスの神話種能力者とは比べものにならないほどの強者がいるって」
そもそもイギリスに神話種がいたのか。先生はロクな情報を持ってこないからこんな少しの情報でも助かるな。
「イギリスの……ってそりゃあそうだろ。アイツの能力は戦闘にはあまりにも向いてないんだ。それにアイツはまだ若いしな。そんなガキに負けてたまるか」
一応対抗心はあるのか……
「それで姉貴、何で来た」
如月先生は面倒そうな雰囲気を醸しながら美蘭に聞いた。
「……単純な好奇心が六割、お前の生徒に会って見たかったのが四割ってところだな」
それにしても、電話してから数時間しか経っていないのに来るとは………それは別として好奇心多いな。
「お、お前凛だな?明……光と同棲してるんだろう?」
「は、はい?ど、どど同棲?あれはそう言う関係じゃなくて……って何で知ってるんですか?」
「顔が月島の奴に似てたからな。お前が月島の娘だろう?月島は昔の先輩でな……懐かしい」
美蘭はどこか思いにふける様にして凛を見た。
「私がお前達が住んでる場所を貸してるんだ。ちゃんと学校生活楽しむんだぞ?」
「は、はいっ!ありがとうございます美蘭さん」
「おう!」
美蘭はニヤリと笑っていた。
ちなみに、その時教室の後ろでは、
「……明さんと…………同棲…………そんな」
アモンが致命傷を負っていた。
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「さて、お前達、奏の言うことには従わなくて良い。このクラスは学校内で一番優秀なんだろ?それなら全員で迎え撃てば良いだろう」
凛達が落ち着いてから、美蘭は如月先生の前を陣取って勝手に話し出した。
「お、おい、姉貴、子供に被害は出させねーよ。今回は避難させるべきだ」
「……奏、久しぶりに見たときは無精髭を生やして随分とオッサンになったと思ったが、お前の子供思いなところは変わってないんだな」
「…………クソッ」
「ならガキ一人に一人ずつ私が強いと思う能力者を付かせる。二人一組だ。それならどうだ?」
「…………分かった。それなら良いだろう」
「良し」
そこで美蘭は改めて全員の方を見て、
「とまぁ、そう言うことだ。お前達にも次襲撃が起きた時には戦ってもらう。各自覚悟を決めろよ?」
と言ったのだった。




