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大英雄の大罪人  作者: 親の顔よりみた小指
第五幕 能力専門高校生
52/95

第五十二話 下剋上

 俺達は今、海の上にいた。正確には船上。俺達が何故こんなところにいるのかと言うと、つい数時間前の如月の発言のせいである。


________________________


「さて、今日で一週間だ。何人かはBに落ちる覚悟で臨んでもらう」

 全員が落ち着いてから如月が話し始めた。

「場所は協会が所有している島。そこでお前らには俺が持ってるボールを奪ってもらう。協力するも良し、能力だって自由に使ってこい。ルールはそれだけだ」

「如月先生、期間はどのくらいあるんですか?」

 全員が疑問に思っていたことを凛が聞いた。

「二日間、そんだけだ」


 二日か。それだけあれば何とかなるだろう。ただ、問題なのはこいつらが協力するかどうかだ。アモンとバルバトスは大丈夫だ。オリヴィアとは一週間かけてチームワークを磨いて来た。ただ問題は他の三人だ。

 凛はオリヴィアのファンだから何とかなるだろうが、有馬とはほとんど話したことが無いし、桐乃に至っては……何も分からないな。


 まあ、仕方ない。今ある手札で勝負するしかないな。


________________________


「うっぷ、ひ、光君。ちょっとだけこっち見ないでね」

「オリヴィア、お前船酔いとかするタイプだったんだな」

「ゔゔぅ、こ、これは、船酔いなんかじゃ、うっ」

 海に出てから数時間。オリヴィアはずっとこの有様である。何で強がっちゃうかな。


「お、見えたぞオリヴィア。あれが多分目的の島だ」

「や、やっとついたのかい?はぁ、はぁ、うっぷ」

 こいつはしばらくの間は戦力として見ない方が良さそうだな。



「んーっと、上陸したらもう好きに動け。俺は島のどっかをぶらぶらしてっから。あ、ボールってのはこれな」

 上陸する直前、如月が全員を集めていた。如月はネックレスの様に一つのボールをぶら下げている。

「よし、んじゃあ、解散」

 船がちょうど着いたタイミングで如月の姿は消えていた。相変わらずとんでもないスピードだ。


 全員が自由になった途端、有馬が、

「好きに動けって言ってたよな。俺は一人であいつを倒す。そんでもってお前らを蹴落として俺はAに残ってやる。覚悟しとけ」

と言った。

「おい有馬、お前先週先生にやられてるだろ。なのに一人で勝てると思ってるのか?」

「光……だったか?お前みたいな優等生が俺は一番嫌いなんだよ!それに何より……あそこの女と共闘なんかしたくないんだ!」

 有馬はそう言いながらオリヴィアを指差した。


「有馬君、先週は本当に悪かった。ボクは調子に乗っていたんだ。だからもう一度ボクと戦ってくれないか?」

 オリヴィアは申し訳なさそうに有馬に対して謝罪した。

「フンッ、今更何言ってんだよ。お前の言葉なんて信じられると思うのかよ」

 それだけ言い捨てて有馬は島の奥に姿を消して行った。


「……オリヴィア、気にするな。桐乃、お前はどうする?俺達と動くか?それとも単独で行くか?」

「わ、私は……あまり関わらない方が良いですから」


 俺が使える手札は、アモン、バルバトス、オリヴィア、凛か。想定よりも少なくなったな。

 如月奏は能力以外は姉と大差ないステータスをしている。何とか一発叩き込んでボールを奪いたいが……現状でやり切るしか無いか。


 今の俺達で如月奏を倒す。それだけを考える。

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