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大英雄の大罪人  作者: 親の顔よりみた小指
第五幕 能力専門高校生
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第五十一話 スパルタの弟子

 翌日、俺達は学校が自由に開放してるトレーニングルームという場所に来ていた。

「ここ便利だな。貸切だからオリヴィアが能力使ってもバレないし」

「光君……何で知らないのさ。自由に使えるトレーニングルームって高校のパンフレットにすら大々的に載ってたぞ?ボクだってイギリスで見たし」

「そういえばイギリス育ちだったな。あまりにも地味な設定すぎて忘れてた」

「ちょっ!設定って何さ。本当にそうなんだけど?」


「お二人とも、随分と仲良くなりましたね」

 俺とオリヴィアが二人で天華の前を歩いていると、後ろから冷たく声が聞こえて来た。

「ねえ光君、本当に天華ちゃんを連れて来ても良かったのかい?」

 オリヴィアは、天華をあくまでも無視しながら俺に聞いて来た。

「ああ、天華は今のお前には必要な存在だ。そして、手本にするべき能力者だ。ここのトレーニングルームには知り合いを一人までなら連れて来ても良いらしいし、適任だろ?」

「そ、そうなのかな?」



「よし、今日はここでやる。天華、オリヴィアが空を飛べる様になるまでを一週間でやるぞ」

「空って、飛べるんですか?あの能力」

「ああ、『妖精』について先生に教えてもらったんだ。飛行能力。それと、草木を操る能力が使えるらしい」

「草木を操るって……それ本当に私が適任で良いんですか?想像力次第で変わる能力だと、暗さんとかの方が適任じゃないですか?」

「良いんだよ。それにお前ならルシファー直伝のスパルタがあるだろう?オリヴィアを一週間で叩き上げるにはそれしか無いんだよ」


 天華は、大きくため息をついてオリヴィアの前に立った。

「オリヴィアさん、今から私とあるゲームをしましょう」

「ゲーム?何をするんだい?」

 天華はにっこりと笑い、

「鬼ごっこ!」

と言うのだった。


________________________


「もうバテたんですか?私は今のあなたでも十分逃げられる速度しか出してませんよ?」

「はぁ、はぁ、バテてなんか、ない!」

 何なんだよ、ボクよりも年下なのに、何あれ。

 おかしいよあんなの。部屋自体そこまで大きく無いから何とか逃げれてるけど……正直言って怖い。無表情でずっと追いかけてくる。天華ちゃんと如月先生を重ねてしまっているボクがいる。

 うぅ、如月先生にやられた場所がズキズキと疼く。


「オリヴィアさん、強くなるのに一番大切なのは何だと思いますか?」

「え、そりゃあ………普通に努力……とか?あとは……元も子もないけど才能とかかい?」

「いいえ、オリヴィアさん。強くなるのに大切なのは上に行きたいという熱です。強くなりたい理由を胸の中に常に留めておくんです」

「強くなりたい理由……」

 ボクにとって強くなりたい理由って何だろう。お父様の期待に応えたい?違うな。ボクでさえお父様のしていることは理解できないんだ。じゃあ、ボクのことを持ち上げてくれてる人の期待……いや、こんなの絶対違う。


 光君の隣で戦いたい

 なっ、何で光君のことが頭に浮かぶんだ?いやいや、絶対違うって。ボクは光君のことなんて…………嫌い……じゃない。何なら…………ダメだ。この先まで行くと光君とまともに話せなくなるかも。

 よし、決めた。光君、この熱、使わせてもらうね。

「天華ちゃん、ごめん、時間かかっちゃって」

「はい……随分と清々しい顔になりましたね」

「アハハッ、やろうか、鬼ごっこ」


________________________


「クソッ、あと少し……あと少しで何かが掴めそうなのに、その少しが遠い」

 オリヴィアの奴、大分良いところまで自力で来てるな。仕方ない、あと一歩の手助けをしてやるか。


「おい、オリヴィア」

「はぁ、はぁ、な、何かな?光君」

「ちゃんと感覚を覚えるんだぞ」

「え?何のこと……って、ひゃっ!ちょっと!どこ触ってるのさ」

「安心しろ、今は俺に身を任せるんだ」

 俺はオリヴィアのことを後ろから抱き締めていた。

「ね、ねぇ、本当に何する気?」

「よし、行くぞ?」

「え?」


 俺はオリヴィアを抱いたまま飛んでいた。

「ひ、ひああああぁぁ」

「おい、オリヴィア、ビビってないで感覚を覚えるんだ」

「だ、だだだって」

「大丈夫だ。落ちたりなんかはしない。安心しろ」

「そ、それは別に大丈夫だけど、天井だってそんなに高くないし」

「ならどうした?」

「言わない!光君にだけは言わないからね!アハッ」

 急に楽しそうにしてどうしたんだ?こいつ。



「やるじゃないですか。たったの一日で飛べる様になるとは、想像以上でした」

「あの……さ、その割に天華ちゃんの目が怖いんだけど」

「光さんとあんなにベタベタベタベタと……許せない許せない……」

「天華ちゃん、怖いよ!」


 自力で飛べる様になったオリヴィアが俺の近くまでやって来てこう言った。

「光君、ありがとう。この熱なら忘れることはないよ」

「熱?それって一体どんな……」

「君と一緒に飛んで、幸せでドキドキが止まらなかった熱!」

 オリヴィアはにひっと笑いながらそれだけ言ってそそくさと天華の元へと戻って行った。


「幸せね……そりゃ良かったよ」

 オリヴィアの後ろ姿を見て、俺はそう呟いたのだった。

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