第四十九話 弱いな
「くっ、はっ、あ、あれ?何時間落ちてた?」
「お、お前が一番に起きたか。心配するな。お前は二十分も経たずに起きたからな。やるじゃねーか」
俺達は奴にボコボコにされた。そして目を覚ましたら目の前には如月が立っていた。
今の状況を簡単に説明するとこうである。
「如月先生、アンタ一体何でこんな場所で生徒教えてるんだ?こういう所で働くタマじゃないだろ?」
俺がそう質問すると、如月は微妙そうな顔をして
「んま、その辺は色々とあるんだ。お前なんかが詮索すべき事じゃない。さて、光…だったか?お前、他の奴起こしとけ。その間俺寝とくから」
「はあ、了解」
「おい、オリヴィア、起きろってオリヴィア」
俺は近くで伸びていたオリヴィアを起こすことにした。
「うーん、ヒッ!や、やめて、ボクをこれ以上……あれ?光君?」
「お、やっと起きたな。ちょっと手伝えよ、オリヴィア。こいつら全員起こせだとよ」
「ぐっ、ゴホッ、ひ、光君なんかに…言われ……なくったって……ゴホッゴホッ」
「おい、大丈夫か?お前。如月に何されたんだ?」
「う、うるさい……光君なんか……に……言ったって何の意味が、うっ」
倒れ込んだオリヴィアを俺がギリギリで支えた。
「おい、お前少し休め。その身体でこれからあの教師の授業受け続けるなんて無理だから」
「光…君はさ、ボクを怒らせたいのかそうじゃないのかどっちなんだい?」
「怒らせたくなんてない。第一、お前の事は嫌いでもなんでもないからな」
「そ、そうか」
「ところで……保健室ってあるか?場所が分からなくて、お前を連れて行こうと思ったんだが」
「ほ、保健室?フフッ、知らなかったの?ボク達Aクラスに保健室なんか使えないよ」
え、Aクラスってそんなにハードだったのか?どうするかなぁ。
「まあ分かった。ここは何とかしてやるから、とりあえずお前ちょっと着替えて来い」
「え?何で……」
「気づいて無かったのか?お前の服、腹の部分に大きく穴空いてるぞ?それにズボンも濡れてるしな」
「なっ!み、見たの?どこまで見た?変態が!」
「……早く行って来い。誰も起きてなくて良かったな」
「はぁ、最悪……最低」
それだけ言い残し、オリヴィアは部屋を出て行った。
「アモン、バルバトス、早く起きないとレーザー打つぞ」
そう言いながら俺は二人を激しく揺すり続けた。
「あ、あぁ、何さ、明。こっちは疲れてるんだよ?」
「そ、そうです。何で脅すんですか」
「お前らなら一発二発打った所で問題ないだろ?」
二人はやれやれといった仕草をしながら他の人を起こしに行った。
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「さて、ひと段落したか?今回の訓練を踏まえてまず一つ、お前ら………弱いな」
全員が一通り揃った所で、如月が現実を突きつけて来た。
「このAクラスは強い奴と弱い奴の力量差が激しすぎるんだよ。お前ら、この三人は良い動きだったぞ?」
そう言って俺とバルバトスとアモンを指差した。
「まあほんの少し動きは荒いが……前衛二人に弓矢が一人、布陣としては褒めるべきだ」
如月はこちらを向いて、ゆっくりと拍手をしていた。
「さて、お前ら、何でこの三人に協力しなかった?全員で団結して殴ってくりゃ一撃ぐらい与えれただろうにな」
「そ、それは、先生が想像の何倍も強くて……」
「実践でもそう言い訳するのか?お前は……月島か。今日よく俺に突っかかってくるよな?」
「ひっ」
「すぐ身構えるな。俺は訓練以外じゃ戦闘禁止なんだよ」
「大体、先生よ、実践って何だよ!ここに立つ俺達は選ばれし者なんだ。こんなことしてるってバレたら親父が放っておくと思うなよ?」
「有馬……お前、家族に見放されてるんだろ?お前みたいな高尚な家柄の奴がこんな新興学校に入学させるわけがないもんな。息子が少しでも生きやすい学校に……親からの最後の温情だろう?」
「くっ、うるさい!俺は有馬薫だぞ!なのに何故馬鹿にされなくちゃいけないんだよ!こんな……はず……じゃ」
「はいお終い。お前とばっか話してられないの、こっちは」
如月は手をパチンと叩いて有馬を制した。
「よし、そんじゃ、今日は終わり。また一週間後に実践訓練を行う。来週の内容はその場で教える。それまでは休むなり、訓練するなり好きにしてな」
「ま、三人以外はこのままのうのうとAクラスでいれると思うなよな。それじゃ、自習!お終いだ」
最後にこれからについて軽く報告してからAクラスでのハードな一日目が終わった。
最初からこの空気って先行き不安すぎるな。




