第四十八話 圧倒的な差
「よし、全員来たな。これからやることは至って簡単。全員で俺にかかって来い。それだけ」
如月はグラウンドに出た俺達にそう言って距離を取った。
「いつでも良いぞ。始めろ」
「如月先生、質問。武器や能力の使用は?」
「勝手にしろ」
またしても質問した凛に如月は面倒そうに返事をした。
「誰も来ないのか?それならこっちから行くぞ?」
言い終えた瞬間に如月の姿が消えた。
「えっ!どこ?どこ行ったの?」
突然消えた如月に焦った凛の目の前に突如拳が現れた。
「ぐっ、があっ!」
みぞおちに拳が直撃して凛は失神し、地面に崩れ落ちた。
「さあ、次は誰だ?」
「アモン、行くぞ」
「は、はい」
俺達は二人で一気に能力を発動させる。
「逃げ道を無くすぞ。光槍!」
「はいっ!炎壁」
炎壁って、β六位の奴の技か。効果は違うんだろうがバリケードとしての炎だな。強いじゃないか。
「は?マジか」
如月は槍も炎も全てに正面突撃して来ていた。そして当たっても尚速度を維持したまま。
「二、三本刺さってるんだぞ?バケモンかよ」
「私の炎だって触れたら大火傷だと思いますが……」
「ハッ、効かねーよ」
そう言って如月は一気に距離を詰め、みぞおちに一撃を入れて来た。
「ぐっ、ゴホッ!」
「ぐぅっ……あっ!ぐあっ!」
アモンは炎で威力を弱めたか。まあ……俺は……直……撃…………か。
そこで俺は意識を落とした。
「今の二人の協力技は、まあ悪くはなかったな。最初のは動きすら見えてない、論外。さて、次」
あくまでも作業のように如月は言った。
「僕はどうかな?」
バルバトスは距離を取りつつ弓を構えていた。
「喰らえ。乃亜ちゃんに小型化してもらったロビンVer2.0だ。威力はほとんど落ちてないから、受けてみなよ」
バルバトスが打った矢は音もなく如月の背中に近づいていた。だが如月は一目バルバトスの方を見た途端姿を消して一撃を与えた。
「チッ、まだまだ改良の余地……アリ………か」
そう言い残してバルバトスは失神した。
「あと三人。と思ったが戦いもしないか」
「ヒッ!ね、ねぇ君たち二人、早く、戦うんだ!」
「は?俺に指示をするなよ」
「わ、私には無理」
「あ?こいつはダメだな。ここで仲間を見捨てるようじゃな」
一瞬の間に桐乃と有馬を倒して、如月はオリヴィアの元へ距離を詰めた。
「あ、ああああ!やめ、やめて下さい。ボクは、天使なんだぞ!神話種なんだ!」
「あ?神話種がそんなに弱いわけないだろうが。それは俺が一番よく分かってるんだよ」
オリヴィアはここまでの惨状を見て一気に戦意を喪失した。
「ん?漏らしたか。ダメだ、こいつが一番未熟だ。誰がAクラスなんかに選びやがった」
オリヴィアの足元には湯気を帯びた水が滴っていた。
「ヒッ、近づくな。近づくなよぉ」
ドゴッ
オリヴィアの腹部に拳が直撃した時、とてつもなく鈍い音が響いた。
「んー、こんな感じね。今年のやつらは面白いじゃねーか。まあ一部ダメな奴もいたがな。あいつらはBに格下げしときたいが……上が許さねーかな。全く、面倒な役だ」
全員を抱えたまま、男は教室に戻って行った。悪魔にも似たようなシルエットを残しながら。




