第四十七話 七人と一人
二時間後
「何だったんだ、あのオッサン。一体何者だ?」
目を覚ました俺達はこれからの事について話し合っていた。
「光、あれが多分Aクラスの担任だと思うよ」
疑問そうな目をしている俺に凛が話しかけて来た。
「そういえば担任なんて事言ってたな」
俺は眠る前の曖昧な記憶を思い出していた。
「そうだな、俺がお前らの担任を務めるもんだ。如月奏。奏先生はやめてくれよ、あんま好きな名前じゃないんだ」
こいつ、また気配もなく……待て、奏?如月奏だと?ってことはまさかこいつ……
「人に聞かれる前に言っておく。俺は如月美蘭の弟だ。あんましそこは詮索するなよ」
見た目が随分変わっているせいで気付かなかった。よりによってこいつが担任かよ、関わりずらいな。
「えっと、如月先生。質問良いですか?」
「何だ?」
「これから実践訓練だと言ってましたよね。だと言うのに何故そんなにやる気が見られないのですか?」
オリヴィアが大胆にもそんなことを聞いた。
「ああ、そりゃ言葉通りやる気がないからだ。こんな高校に入って来るゴミ共に元より期待なんてしてない」
そうだ。昔一度だけこの人を見たことがある。「能力者はイメージが全てだ」と言って型にハマった能力者が大嫌いな最強の弟。高校なんて場所には似合わないだろうと思っていたが堂々とゴミとまで言いやがった。
「あの、それはどう言うことですか?我々生徒を馬鹿にしていると受け取っても?」
「ああ構わないさ」
そう言われた瞬間、オリヴィアは如月に殴りかかった。
「ボクがいる生徒を敵に回すなんて良い度胸だ。覚悟はできてるんだよねっ」
「うるせ、ちやほやされたガキはすぐ感情に出すから困るんだ。ほら、黙ってろ」
俺達を眠らせた時と同じく、如月は手を叩いた。
「ぐあっ」
次の瞬間、勢いよく倒れ込むオリヴィアが全員の目に映った。
「ああ、言い忘れていた。反抗はするなよ?面倒だから」
「そんじゃ、まずは自己紹介してけ。名前と……名前だけで良いか。能力は言うなよ?」
そう言って如月は部屋の隅に行き椅子に座った。
「あの、先生、誰からすれば?」
凛が恐る恐る如月に話しかけた。
「ん?じゃあ、そこで倒れてる奴。いつまで倒れてんだ。お前からやってけ」
「くっ、ボクはオリヴィア……以上」
そこから俺と凛が言った後、俺が名前の知らない二人の番になった。
「桐乃……です。あまり私とは関わらないでください」
「俺は有馬薫だ。よろしく」
桐乃と有馬か。この二人も有名人だったりするんだろうか。
俺がそう思っていると、
「思い出した。ねえ光、有馬薫って多分あの天才能力研究家の有馬透の息子だよ」
と小声で凛が教えて来た。
「有馬透?どこかで聞いた覚えはあるんだが」
「え?透さんを知らないの?やっぱり光って結構な世間知らずだよねー」
オリヴィアとは違ってこっちはちゃんと聞き覚えあるんだけどな。誰だったか。
その後バルバトスとアモンが偽名で自己紹介をして全員分が終わった。
「終わったか?そんじゃ、実践訓練やるか」
それだけ言って如月は扉の方まで歩いて行く。
「ついて来い。場所はグラウンド。以上」
ぶっきらぼうに言ってから如月は一人で勝手に外に向かってしまった。
「姉と似て自分勝手な奴だな」
俺達は色々と思いながらも如月に着いて行った。




