第四十四話 ランク
一週間後
「光、いよいよ入学式だよ。学校まで近いし一緒に行こうよ。色々話しながらさ」
入学式……か。俺達は昔事故に巻き込まれて以来先生のところで過ごしていたから学校に行ったことが無い。
まあ今回のも一時的に入学してるだけで目的を果たしたら辞めることになるだろうが、少しの間でも学生気分で入れると嬉しいところである。
「分かった。一緒に行くか」
ちなみにだが、この後明が天華から冷たい視線を浴びたのは言うまでもない。
「光はどこから来たの?私は九州の田舎の方なんだけど。電車で来るの大変だったよー。都会ってさあー……」
どうしよう。話を合わせるのが大変すぎる。先生に言われた通りに偽名を使ったけど、他の部分も偽る必要無かったなこれ。質問続きで段々と考えるのが面倒になって来た。
「あ、光ってランク何だった?」
「ランク?何のことだ?」
「もー、能力ランクのことだよ。入学が決まった時の書類に一緒に入ってたでしょ?」
「え、そうなの?」
あの書類、開けたきりほとんど見てなかったんだよな。
「え、本当に知らなかったの?有名なんだよ?能力高校に入ると、あの能力協会が自分の能力にランク付けをしてくれるって」
「何だそれ。能力なんて安易に人に教えるべきじゃ無いだろ。何されるか分かったもんじゃ無い」
「ふふっ、光ってなんか大人みたいなこと言うんだね。そういう考えは結構遅れてるんだよ?」
な、何だと。能力は個人情報だぞ。俺は能力者であることも赤の他人に中々明かしたく無いのに。
「今の時代は能力協会が能力者の管理をしてくれるからね。大人達みたいに心配しなくて良いんだよ」
能力協会ね、ずっと思っていたがなんか胡散臭いな。ただまあ平和な方が良いのは間違いないが。
「ちなみに凛のランクはどのくらいなんだ?」
「ふっふっふ、聞いて驚け、私はなんと…Aランクだよ」
「そうか」
「え!反応薄くない?何そうかって!」
「仕方ないだろ。Aがどの程度か分からないんだから」
「あ、そっか、Aってのはね、なんと、なんと、能力ランクの最上位!一番上!凄くない?」
「おー、やるじゃんか。凛って案外凄かったんだな」
「なんかさっきからちょっと言葉に棘を感じるなぁ。そうだ!私をそんな雑にあしらったってことは明のランクは凄いんでしょ?見てみてよ」
凛が強引に鞄の中の書類を取った。
「あった〜。えっと、稲野光様、能力『光』Aラン……ク?え、え?え?『光』ってあの光?本当に?」
「え、あ、ああ。それがどうした?」
先生め、能力は一番隠すべきだろ。何でそのまま書いちゃうかな。裏口入学させるならさせるで、もっと慎重に考えてほしい。
「光は覚えてる?十年前の大事故」
「えっと、研究所が爆破したってやつか?」
「そう、それのこと。一般にあの事件ってさ、四人組の凶悪犯罪者が引き起こしたってされてるじゃん」
凶悪犯罪者呼ばわりかよ。世間への悪評がどんどん広がってる気がするんだが。
「光の能力ってその一人と同じなんだよ。知ってた?」
俺がその一人なんだよな。リアクションに困る。
「えっと、そうだったのか。初めて知った……かも」
「あまり能力を人に教えない方が良いかもね。良くない印象を与えちゃいそうだし」
能力に善も悪もないと思うんだけどなぁ。結局は使い手の問題だろうに、こんな風に言われるとは思ってなかったな。
「そうだ、そういえば凛の能力は何なんだ?」
「私?私はね〜」
そこで凛はニッと笑いながら、
「操水!Aランク!水を自在に操れるんだ!」
と言った。




