第四十三話 偽りの共生
どうしようどうしよう。こんなつもりじゃなかったのに。学校が四年制だから……四年間も一緒に暮らすことになるの?
「あ、あの、光…さん?」
「どうした?凛」
「あっ、えっと、後ろの人は?」
「ああ、こいつは七瀬天華。色々あって俺に着いてくることになって一緒に住むことになってるんだけど……先生から通達されてなかったか?」
「先生って?」
「この家を貸してる人だよ。お前の母親に伝えといたって言われてるんだが」
お、お母さん、そういう大事なことは伝えといてよ。
「あ、あの、天華さん?」
「はい?何でしょう」
怖っ、敬語怖っ。あれ?というか年下……かな?
「天華さんも能力高校に行くんですか?」
「行きませんよ。あと、あなたの方が年上の様なので敬語じゃなくて大丈夫ですよ?私にそんなに怯えないで下さい」
あれ、もしかして優しい?
「じゃあ……天…華、これからよろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
初めて笑ってくれた。はにかんだ感じで凄い可愛い。何で金髪なんだろう。まるで天使みたいだ。
「よし、それじゃあ凛、夕飯にするか」
「あ、あの、一つお願いがあって」
「どうした?」
「月島って呼んでもらっても良いですか?いきなり下の名前だとちょっと心臓に悪いと言いますか」
そう言った瞬間に天華がムッとした顔になった気がする。
「そうか?凛って良い名前じゃないか。俺は可愛いと思うぞ?」
え、え?今可愛いって言ったの?平然と?普通平然とそんなこと言える?お母さん、これ、心臓もたないよ。
「な、なら、凛とお呼びください」
「俺にも敬語使わなくて良いんだぞ?同じ屋根の下で過ごすんだ。遠慮はいらないだろ?」
「あ、えっと、うん」
そんな会話をみながら天華が羨ましそうに、
「はあ、明さん、あなたはいつもそう見境なく」
と呟いた。
「よし、凛、何が食べたい?」
「えっと、光の得意料理は?」
「ぐっ、俺にそれを聞くか。いつも料理は人任せだったからな、目玉焼きくらいなら」
「じゃあ、えっと、その、目玉焼きが食べたい……かもです」
「ああ、任せとけ」
一時はどうなるかと思ったけど色々と楽しかったな。この感じなら四年間も苦じゃないかも。光もかっこよかったし、天華も可愛いかったし。
でも……なんか隠し事してるようにも見えたな。まあ、時間をかけて二人のことを知っていけば良いかな。それにそろそろ入学式もあるしね。
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「さて、入学まであと一週間だ。演技お疲れ、天華」
「全くです。それにしても、美蘭先生は何で凛さんを巻き込んだのでしょうか」
「それは、今のところよく分からない。少しオドオドしてたし能力が強いわけじゃなさそうなんだよな」
「そうですね。コミュニケーションが得意というわけでも無さそうですし、強い能力者特有の圧倒的な自信というのも感じ取れませんでした」
「それは、お前からも感じられないけどな」
「わ、私のことは良いんですよ。そのうち身につきますから」
明は少し考えた素振りをしながら、
「まあ、俺達の最終目的はβ七位の撃破だ。それは変わらない。凛を巻き込むのは申し訳ないけど、先生には何か意図があるはずだ。先生を信じることにしよう」
と言った。
「そういえば思ってたんですけど……明さん、凛さんに対して馴れ馴れしすぎないですか?」
「え、そうか?意識してたつもりは無いんだけどな」
「余計タチが悪いです!」
「任せてください、アモンさん。乃亜さん。どこぞの馬の骨とも分からないような奴に抜け駆けはさせませんから」
小声で天華はそう呟いた。




