第四十話 感情と感傷
「でさー、明ってば酷くない?いつもいつも無茶苦茶な要求ばっかりしてくるんだから。私にだって作れないものがあるのに」
如月美蘭の家までついて来た悪魔組を含めて急遽始まった女子会は、最終的に愚痴の言い合い場となっていた。
「分かります。あの人はいつもいつも無茶な要求ばかりして来て……今日なんて私一人で一分間たえろとか、無茶苦茶な人ですよ」
「良いわね、いける口じゃないのアモン」
「あなたも、分かってますね、乃亜」
二人はそう言いながら固い握手をし始めた。
「あの二人、酔ってるんですか?」
「天華ちゃん、あんまり考えすぎないであげて。深夜テンションってやつだよ。明日になったらトラウマになってるだろうから……ね?」
「は、はい、バエルさん」
天華とバエルが小声で話していると、
「あ!そこ二人!何か話してるでしょ!」
「そうですよ。天華さん、あなたもこっちで話しましょう」
と二人が会話に混ざりに来た。
「天華!アンタも何か悩みとか無いわけ?」
「な、悩みですか。えっと、わ、私って身体が色々と小さいじゃないですか。それで……明さんに振り向いてもらえるか心配で」
「なっ!て、天華、アンタ何歳だっけ」
「十四ですけど」
その言葉を聞いた瞬間、二人の間に震撼が走った。
「十四で、そんなに、膨らみが……あ、ああ」
「え、嘘でしょう?私なんて、私なんて……もう、大きく……ならないのに」
二人のそんな絶望的な雰囲気を感じ取ったのか、天華は、
「いや、二人もこれから大きくなりますって。まだ希望を捨てちゃダメですよ」
と言った。
「そうだよ!希望を捨てちゃダメだって!それに、大きい人だって色々苦労はあるんだよ?」
とバエルが横槍を入れたが、火に油を注いだ様に、
「は?アンタはそんだけデカいでしょ。黙ってて」
「そうですよ、バエル、少し黙っててください」
と、猛烈なバッシングが入った。
「んん、私はこれ以上成長しない。だから、二人とも、安心、して」
呆れた様にアスタロトが言ってようやく二人は落ち着きを取り戻し始めた。
「まあ、これよりは良いか」
「そうですね。アスタロトちゃんがいるから許してあげます」
「ふふ、二人とも、許さない、よ!」
「ちょっと!何してるのよ!室内で能力使うなんて!」
「アスタロトちゃん。落ち着いてください!すみませんでした。私ちっちゃいままで良いですから」
段々と騒ぎが大きくなった末に、
「おい!ガキンチョ共!早く寝ないか!」
と、美蘭が乱入してきた。
「うっわ、先生デッ……カ」
「あ?」
最終的にこの結末は乱入した美蘭が能力で全員を眠らせたことにより決着がついた。
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「フー、セエレ、すまなかったな。最期まであんな役回りでよ。よくやってくれた」
新宿の歪な空を見上げながら一人外にいるルシファーが呟いていた。
するとそこに、
「ボス、一人で何をしているのかと思えばそう言うことですか」
と、ノイマンがやって来た。
「ん?ノイマンか……何しに来た。少し散歩に行くだけだと言っただろ?」
「……私も"散歩"ですよ」
「……そうか。好きにしてな」
「セエレのこと、あなたが責任を感じないで下さい。私達だって彼が立候補した時に止めませんでした」
「ハッ、そんなことを俺がわざわざ気にしてると思うか?」
「えっ」
驚いた顔をしているノイマンに対して、
「俺はな、ノイマン、感謝してるんだよ。ただ感謝してるだけなんだ。誰にでも死は訪れる物だ。セエレはそれが少し早かっただけ。そんだけだよ」
と言った。
偶然雲が割れて見えた月の方を向きながらルシファーは、
「あいつは最期まで悪魔組としての使命を全うしてくれた。ならば俺たちも悪魔組として笑って送ってやる。感傷に浸るよりもそっちのが俺達らしくて良いだろ?」
と語った。
「そうですね。セエレも明るい性格でしたし、ずっと暗いと彼も報われませんね」
「ああ、セエレ、お勤めご苦労さん。それと、今までありがとな」
そう言い残し、ルシファーとノイマンは少し焦げている新宿の地を踏んで拠点まで帰って行った。
どうも親の顔よりみた小指です。これにて悪魔編を終わります。次からは別のストーリーを考えているので、もし見てくれるのであれば何卒何卒よろしくお願いします。




