第三十九話 過去と愛
真夜中、俺達は関西都市群の先生の家まで来ていた。
「なあ、先生、本当に良かったのか?悪魔組の奴らまで呼んできちゃって」
「仕方ないだろ。大分ボロボロにしちまったからあいつら寝る場所がないんだよ。私が思いつく場所といえば家くらいだしな」
「そうかよ」
先生の家までついて来たのはバルバトス、バエル、ベルゼブブ、アスタロト、アモンの五人だった。
「にしても少し意外だったな。皆来るものだと思ってたんだけどな」
この五人以外は残って戦闘の後片付けをすると言って新宿に残っていた。
「おーい、乃亜、暗、龍!居るか?戻ったぞー」
先生が大声で呼びかけた。
「何よ、私眠いんだけど。先生?って明!何でいるの?もうやることは終わったの?」
「ああ、そこまで時間も経ってないけど久しぶり、乃亜」
「良かった、無事だったんだ」
思ってくれてるのは嬉しいけど、なにもそこまで心配しなくてもな。
そこに、乃亜に続いて二人がやって来た。
「お、明じゃんか、元気にしてたか?」
「兄さん、おかえり。色々大変だったらしいね」
「おう、二人とも」
「ふぁ、ねむ」
「兄さん、そろそろ寝る?」
「そうだなぁ、今日は十分やったし、寝ようかな」
俺達は男子部屋として同じ部屋を割り当てられていた。にしても、この家って随分と広いな。流石は日夜依頼を受けているだけあるな。
「明はもう寝るのかい?」
バルバトスがこちらに話しかけて来た。
「お前は随分と楽しそうじゃないか」
「人の家に泊まることなんて初めてだからね。楽しませてもらってるよ」
「そうか、そっちの奴らって皆大変な境遇なんだったっけな」
「そうだよ。まあ、人によって程度は変わると思うけどね。僕の場合は物心つく前に両親に捨てられちゃったからずっと悪魔組が家族みたいな感じだったんだ」
「そうだったのか、まあ、色々あるんだな」
俺、全然気の利いた返しできてないな。これ。
「良いんだよ、そんな難しく考えなくてさ。君の様に気楽に会話してくれる方がこっちとしては案外ありがたいんだよ」
「そ、そうなのか?」
そんなに分かりやすかったか?俺。顔には出さないでいたつもりなんだが。
「ま、まあ、もっと色々と聞かせてくれよ。次は暗や龍も入れてな」
「そうだね。代わりに君達の過去も教えて欲しいな」
「ああ、俺達の過去は長いぞ?」
「受けて立つよ」
その夜、俺達は色々な話をして結局朝まで盛り上がっていた。
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「女子会をしましょう」
天華がいきなりそう言い放った。
「いきなりどうしたの?天華。さっきまで戦ってて疲れてるんじゃないの?」
真っ先に乃亜が反応した。
「それはそうですが……一度やってみたかったんですよ。乃亜さん、ダメですか?」
「ぐっ、アンタにそう言われて否定なんか出来ないわよ」
そう言われた天華は嬉しそうに、
「ありがとうございます」
と言った。
「え、女子会?天華ちゃんやる事が可愛いねー、私も参加しようかなあ」
「あ、バエルさんですよね。むしろ良いんですか?皆さん疲れているかと思ってましたが」
「良いんだよ、ね?アモン、アスタロトちゃん」
そう言われた二人は、
「ま、まあ良いですけど」
「ん、任せて。気合い、入れる」
と言った。
こうして五人の女子会が始まったのだった。
「いきなりなんだけどさ、皆、明くんのこと好きでしょ」
「なっ」
バエルの発言に数人が同じ反応をした後に、アスタロトだけが、
「ん、大好き、良い人、だよね」
と言った。
「ひょっとして、後の三人はアスタロトちゃんの好きとは違う意味だったりして?」
バエルが煽った様に言うと、
「あ、あのねぇ、私は違うからね?これでも十年近く関わってるし…好きとか…あり得ない……し」
「私だって、えっと、その、歳の差とかもありますし、ありえないですよ」
「私は、その、えっと、こんな見た目だし女として見られてないかも……だし」
見事に三者三様の言い訳が飛び出した。
「良いんだよ?ここには女子しかいないんだから、本音でぶつかり合おうよ。三人はライバルみたいなものなんだしさ」
バエルがそう言うと、
「す、好きだよ。当たり前じゃん。何が悪いの?」
「わ、私だって、最初に優しくしてくれた方ですし、かなり助けられてますし……す…好きですよ」
「私も、能力使ってもかっこいいって言われたし、過去を認めてくれた人なんて初めてですし……はい」
と逆ギレの様な意見を言う者もいれば、自分の発言で照れる者もいた。
「ふっふっふ、ねえアスタロトちゃん。これ結構面白くなりそうじゃない?」
「んん、これは、期待、大かも」
三人の話を聞きながらアスタロトとバエルは後ろでこっそりと笑っていた。




