第三十四話 新宿戦 其の八
同時刻22時
「はぁ、やっと治療が終わった。チッ、あのレーザー君め、想像以上の重傷だよこれは」
それだけじゃない。あの重力女と転移君も中々に厄介だった。まさかボクの分身が倒されるとは思ってなかった。分身がやられたせいで体力も余裕がなくなって来たし、炎壁の維持もしなきゃだし。
「はぁ、上も何でこんな面倒な場所に六位のボクなんかを送り込むかね。四位以上は神話種に匹敵するって話なのにほとんど動かないし、ボクだって強いんだからもう少し労わってほしいね」
まあ、そんなこと言ってても意味ないか。とりあえず最優先は『悪魔』の撃破及び捕縛……ってとこだね。
「最初に目指すべきは……敵本陣!なんてね」
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「天華ちゃん、準備は出来たかい?僕の合図で炎に矢を打つからその穴に入り込むんだ」
「は、はい。待っていて下さい。炎の壁を破壊してきます。それまで二人とも、死なないでくださいね?」
「ハハっ、僕達だってそんなに弱くは無いんだよ?安心しなよ」
そう言ってバルバトスは弦を引き絞る。
「三、ニ、一、今だ!飛んでけ天華ちゃん」
矢の当たった場所にはほんの少しだけ小さな穴が空いた。その小さな穴に天華が飛行して超スピードで入り込んだ。
「よし、成功。あとはお願いね、天華ちゃん」
バルバトスは満足気に笑ってその場に倒れ込んだ。
「あははっ、ちょっと能力の使いすぎかな……慣れない使い方しちゃ、やっぱダメだね」
すると、少し離れた場所から、
「どうするんですか?バルバトス、天華さんに死ぬわけないと豪語しておきながら二人とも動けないなんて」
とノイマンが話しかけて来た。
「そうだね……どうやってアレに勝とうかな」
バルバトスとノイマンは、炎の壁を掻き分けながら入ってくる人影を見ながら会話をしていた。
「ハハっ、そのボロボロの身体でボクに勝てるとでも?」
「そっちだってボロボロじゃないか。明くんにやられたんだろ?」
「そうか、あのレーザー君は明って言うのか」
「それよりも、君達の名前は何て言うんだい?中々名乗られなくてね」
「ん?あぁ、βは序列十位内以外は名乗ることが許されないんだ」
「ということは、お前は何位なんだ?累」
「アハハっ、ピリピリするなよ、教えてやるからさ。ボクは六位。βの序列は完全実力主義だからあまり舐めてかからない方が良いと思うな」
「そうか、じゃあそろそろお前も終わりだな」
「は?………があっ!だ、誰だ!」
累の頭上から超威力の蹴りが降って来た。
「お前が累だな!バルバトスとやら、よく耐えたぞ!」
「ま、全くさあ、ここには『悪魔』しかいないと思ってたんだけどな。今アンタに来られるとまずいんだよね」
「ねえノイマン、あの人ってもしかして」
「はい、あれが如月美蘭。ボスと同じく最強と呼ばれる能力者の一人です」
アスタロトの能力『重力』
重力の強弱、向きを自在に変更できる。出力を高めることで効果範囲は小さいがブラックホールの様な物を作り出すことが出来る。が、厳密にはブラックホールではなく能力由来の特殊な物理法則の物体を生成している。




