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大英雄の大罪人  作者: 親の顔よりみた小指
第四幕 神話種狩り
31/95

第三十一話 新宿戦 其の五

 同時刻21時30分

「ん、なんで?こっちにいるの、雑魚ばかり」

「アスタロトちゃん、私達さっきからずっと同じ様な敵ばかり倒してない?」

「そうですね。制服でもあるのかと思っていましたが、戦闘パターンまで同じなんてことはおかしいはずです」


 それを聞いたアスタロトはしばらく悩んだ素振りをした。

「兄弟?かも」

「多分違うんじゃないかな……私が言いたいのは私達既に敵の能力に嵌ってるんじゃない?ってこと」

「あ、そゆこと、バエルもっと分かりやすく、言ってほしい」

「おそらくあなたに問題があると思いますが……それで、どうします?この状況」

「幻覚、なら、一つしかない、突破方法」

「ほう、一体何ですか?」

「死ぬ!」

「「は?」」



「本当にやるんですか?」

「そりゃ理屈は分かるけど、ほんとに死んじゃったらどうするの?アスタロトちゃんだって嫌でしょ?」

「んん、それは嫌、でも能力ってのはリスクがある、ものだから。逃げる術が無い、なんて幻覚、能力にはできない」

「確かにボスも能力は無限じゃないって良く言ってたけどさ、自分で自分を殺すってなんか抵抗あるっていうか」

「ん、そんなことは、させない。二人とも、抵抗しないで、ね」


「能力、全開!超、高密度!」


「楽しそうにあんなもの作り出してますよあの人」

「まあ、確かに普段だったらボスに被害が大きすぎるって禁止されてるからね、アレ」

「抵抗したところで真正面からアレを防ぐのは無理ですね」

「私も」


「ブラックホール!」

 アスタロトが能力を発動した瞬間空間が歪み、世界がガラスの様に砕け散った。



「かむばーっく、だよ、バエル」

「はぁ、もう二度とアレは受けたく無いです」

「死ぬかと思ったー、いや、一回死んだんだった」

「ブラックホールが、一番手っ取り早い、からね」

 そう言ってアスタロトはニヤリと笑った。


「そういえば気になってたんですけど、目の前で倒れてる人、本体の能力者じゃありません?」

「あ〜……そうだね、完全に伸びちゃってるや」

「まあそれこそ、あの出力を受けながら幻覚を維持するなんて不可能に近いですからね」

「ん、かわいそうに、相手が、悪かったな」

「またそんな言葉を使って!」

「一回、言ってみたかった」

「もう!」


「やはり相変わらず緊張感が無いですねぇ、この中にいると私まで油断してしまいそうですよ」

「何を、今更、ベルゼブブも、仲良く行こう」

「争うメリットなんてありませんからね、そうさせてもらいます」


 そこで、しばらく辺りを見渡していたバエルが口を開いた。

「ちょ、ちょっと二人!私達が幻覚を受けていた間に外が凄いことになってるよ!」


「これは、中々不味そうですね」

「うわ、一面炎だらけ、しかも黒ずんでる」

「これって多分私達を分断しようとしたんだよね。こんな大技打てるとか、一体どんな能力者よ」


「こんな、能力者だよ」


 瞬時に全員の動きが固まった。それは声がしたからではなく圧倒的な殺気と好奇心。そして能力の格を一瞬で感じ取ったからである。

「キミ達も悪魔組とかいう組織なんでしょ?教えてくれないかな……キミ達のボスはどこ?本陣にいるもんだと思ってたんだけどさぁ、これだけ暴れてるのに出てこないってことは新宿にいないのかなぁ、ねぇ、教えてよ」

「ん、まずいかも、この敵は、過去一」

「フフッ、ピンチすぎますね、これは」


「ベルゼブブ、私の手を握って」

「分かりました。やりましょう、付き合いますよ」

 ベルゼブブがバエルの手を握った瞬間、周囲から二人分の気配が無くなった。


「あれ?三人いたと思うんだけど、逃げた?キミもかわいそうだねえ、一人だけ取り残されるなんてさ」

「んん、かわいそうなのは、そっち、今から起こるのは、暗殺」


「は?何言ってんだ?おま、っ!ガハッ!」

「ふふん、やっぱり、食らった、あの二人は暗殺に関しては、最強、だから、ね!」


「まさか、ボクが負けるとはね、こうもあっさりとボクの右半身を消し飛ばすなんてね、天晴れだ」

「な、何で死なない、ベルゼブブの能力は食らったら空間ごと削り取られるんだぞ!」

「うーん、ほぼ百点の戦いだったかな。少し減点するなら……今のボクが分身なことに気付けなかったこと、だね」

「な、何?ということは、本体はもう既に?」


「あははっ、せいかーい。それじゃあ、分身体もそろそろ崩れるから、後は頑張ってね」

 そう言って累の分身体は突然発火し、塵になっていった。

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