第三話 能力
俺は能力を発動する。俺の能力は『光』だ。簡単に言うと光を操ることができる。太陽光を凝縮してレーザーのようなものが打てたり、光を凝縮して熱源として使うこともできる。
正直に言ってしまえばかなり強い。俺達四人の中で勝負事は俺が一番強いと思う。
「さあ、覚悟しろよ!」
俺は手を上に掲げる。
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なんだあいつは、この時代に旧日本に防護服なしでくるだと?最近の旧日本はイカれてる能力者共が蔓延っていたり、異常現象が起きまくっているってもっぱらの噂なのによ。一体どんな異常者なんだ……まあいい、あいつは拳が発光している。おそらく能力は身体強化だ。それなら俺とは相性がいい。
俺の能力は『刃物』
近距離で攻めてくる脳なし相手には負けなし能力だ。さっきまで随分と威勢が良かったが、ガキに負けるほど俺は落ちぶれちゃいないんだよ!
「どうした?覚悟させるんじゃなかったのか?」
「……あぁ、良いだろう。しっかり受けろよ!」
来る! 足を刃物にして………なんだ……あれは。
まさか、レーザー……光か!
最悪だ……防護服無しで平然としている四人組な時点で気づくべきだった!こんなところで四大罪人と出逢っちまうとは……ツイてねぇぜ全く。
「罪人のくせにヒーローごっこか?全く……クソだな」
「………罪人だからこそ……だ」
その言葉を聞き終わった瞬間、俺の意識は落ちていった。
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「もうあそこまで出力が高かったら雷だよな」
戦闘が終わってすぐ龍が煽ってくる。
「やっぱり兄さんの能力って最強格だよね。明るい空間なら無条件でこんなことができるんだから」
「まあ滅茶苦茶疲れるけどな」
「あんな雑魚相手ならただのレーザーで勝てたでしょ、自業自得よ」
乃亜の能力だってとんでもない体力使うだろうに…哀れな奴だ。
「まあ良いじゃんか、ここは旧都だ。好き勝手暴れても誰も責めはしないよ」
俺達は雑談をしながら拠点への帰り道を進んでいた。
そんな時、
「止まれ、誰か人の気配を感じる」
少し先を歩いていた龍が声を張って俺達に警告してきた。
「……旧都荒らしか?」」
「いや、そんな感じはしないんだよな」
「俺がちょっと見てくるよ」
「兄さん、一人で行くなんて危ないだろ」
「俺は『光』だぞ?逃げの速度も速いんだ」
「何もかっこよくないわね」
中々辛辣な仲間達である。
「んじゃ、行ってくる」
俺は、龍が示した方角に向かって進み始めた。
見つけた、あれだな。
見た目は……あれは……何だ?
俺は違和感を覚えた。おそらく能力者でしか感じ取れない違和感を。
少女の見た目に何一つ異常はなかった。ただの中学生くらいの女の子だ。背中以外は……。
俺の感じた違和感の元凶。それは一目で分かる。
彼女には背中から翼が生えていた。それも何か異常な翼が。
『刃物』体の一部を金属製の刃に変化させる。形状は問わず長さは4メートルまで。大きな変化には体力を多く使うため使用には注意が必要。この能力で作られた刃を止める手段は少なく、近接系の能力の中ではかなり上位の部類に入る。